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個人/法人PCからデータセンター製品までをカバー「Dell EMC 宮崎カスタマーセンター」訪問記

宮崎で聞いた、デルとEMCの統合でサポート体制はどう強化されたか

2019年05月29日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 2019年5月21日と22日、宮崎県宮崎市の「Dell EMC 宮崎カスタマーセンター」で開催された「Dell EMC テクニカルセミナー 宮崎キャンプ」では、デル サービスビジネス営業統括本部の高橋歩本部長と、Dell EMC 宮崎カスタマーセンター長の石口靖信氏が出席し、デルとEMCの統合後におけるサポート体制や取り組みの強化に関する記者説明会を開催した。

Dell EMC宮崎カスタマーセンターの外観

デル サービスビジネス営業統括本部 本部長の高橋歩氏

Dell EMC 宮崎カスタマーセンター長 兼 カスタマーサポートサービス部長の石口靖信氏

創業時はPCメーカーではなく保守サポート会社だった!? デルの意外な“DNA”

 デルとEMCジャパンは、日本国内において現在、サーバー/ストレージ/ネットワーク製品で約35万台、ミッドレンジ/ハイエンドストレージで約2万台をサポート対象としている。そのサポート業務のために約600人の保守エンジニア体制を敷くと同時に、年間およそ30万件に及ぶ顧客からのコールに対応すべく、電話サポートの中核拠点である宮崎カスタマーセンターでは約450人の正社員が勤務している。

Dell EMC 宮崎カスタマーセンターの概要。デルのサポート拠点として2005年に設立され、今年で14年目を迎えた

近年ではSNSを通じたサポートも行う

製品の不具合を再現、検証するためのエリアも

 説明会はまず、高橋氏による意外なエピソードの披露から始まった。

 「デルは1984年に創業したが、最初の仕事は『PCの保守管理会社』であり、その後、自らでPCの製造を開始した。つまり保守サポートが先で、PC製造はそのあとだった」

 そうした創業時の“DNA”を継承し、製品だけでなくサポートの分野でも世界初、日本発を発信し続けてきたのがデルだと高橋氏は語る。たとえばクライアント製品向けに世界で初めてオンサイトサービスを開始し、個人/SOHO/中小企業向けのノートPCでも、業界で初めて出張修理サービスの「翌営業日オンサイト保守サービス」を提供している。「コンピューターメーカーとして、日本初の24時間年中無休テクニカルサポートを開始したのもデルだった」(高橋氏)。

 さらに2018年9月の北海道胆振東部地震、2018年7月に西日本を襲った豪雨(平成30年7月豪雨)の際に、被災したユーザーに対して修理部品代や作業費用を無償にしたのはデルだけだと述べる。

 「保守会社からスタートしたデルは、創業時から顧客満足を得るための取り組みを行っており、マイケル・デルCEO自らが顧客に寄り添ったサービスに力を注いできた。デルのサポート部隊はそのDNAを継承している」(高橋氏)

 日本国内では前述したような保守サポート体制を敷いており、サポートに対する顧客満足度も「91.3%」と高いことを高橋氏は強調する。

デルとEMCの合併、両社のサポート体制とノウハウを組み合わせてより強化

 2016年9月のデルとEMCの統合に伴って注目を集めていたのが、両社サポート体制の再編だ。

 クライアントPCからサーバーまでを取り扱ってきたデルは、個人から企業まで幅広いユーザーを対象としたサポート体制を構築していた。一方で、ハイエンドストレージを事業の中心としていたEMCジャパンでは、個別企業に対応するかたちでサポート体制を構築。つまり、両社のサポート体制には大きな違いがあった。

 高橋氏は、サポート面におけるデルとEMCの統合において、マイケル・デル氏が打ち出した方針は「無理に統合しない」ことだったと明かす。期限も定めず、着実にステップを踏んで「最適な体制を構築すること」を重要視し、具体的には「協業体制の構築」「インフラの統合」「サービスの統一化」という3つのステップで統合が進められた。

宮崎カスタマーセンターを含む、現在のデル/Dell EMCテクニカルサポート拠点

 2017年11月からは、両社のエンタープライズ製品における「Dell EMCサービスポートフォリオ」として、緊密な保守体制を再構築。コンサルティングサービスにおいても、コラボレーションを進めた。サービス名称も、デル(BasicSupport、ProSupport)とEMC(ベーシック、エンハンス、プレミアム)では異なったため、これをデルのProSupportに一本化した。

 デルとEMC、双方のエンタープライズ製品を利用しているユーザーに対しては、両社が連携して一元化したサービスを提供する「ProSupport One for Data Center」も用意した。これは、デルのテクノロジーサービスマネージャー(TSM)とEMCのサービスアカウントマネージャー(SAM)が連動して提供するもので、個々のハードウェア単位のサポートだけでなく、Dell EMCによる「システム全体でのサポート最適化」を実現したという。

 「EMCの従来の体制ではリモートサポートをオフショア対応としていたが、デルが国内からのサポート体制を敷いてきたノウハウを活用して国内サポートに切り替えるなど、双方のいいところを活用しながら、サービス体制を強化していった」(高橋氏)

 デプロイメントサービスについても、2017年2月からポートフォリオ(Basic Deployment、Pro Deploy、Pro Deploy Plus)およびブランドを統一している。製品がデルとEMCにまたがる場合でも、1人のプロジェクトマネージャーが統括するかたちにしており、今年7月以降はデプロイメントサービス組織も統一すると述べた。そのほか、個別のデプロイ案件にも対応するカスタムサービスも用意している。

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