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昨年度は国内で20%以上の成長、「総合ITソリューションベンダー」としてDX支援をさらに強化

2019年は顧客と“Real Transformation”へ、Dell EMC国内戦略

2019年03月18日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 デルとEMCジャパン(Dell EMC)は2019年3月13日、2019年度(2020会計年度、2019年2月~2020年1月期)の国内事業方針説明会を開催した。デル 代表取締役社長の平手智行氏、EMCジャパン 代表取締役社長の大塚俊彦氏が揃って出席し、グローバルのDell Technologiesグループとしての戦略、国内市場における業績や今後の具体的な施策を説明した。

“Dell Technologiesグループの8ブランドと、顧客企業における「4つのトランスフォーメーション」を支援する主要ソリューション群

デル 代表取締役社長の平手智行氏

EMCジャパン 代表取締役社長の大塚俊彦氏

国内ビジネスは20%超の伸び、100以上のトランスフォーメーション案件を支援

 まず平手氏が、世界180カ国に展開し、14万人の従業員を抱えるDell Technologiesグループとしての事業実績(2019会計年度、2018年2月~2019年1月期)を報告した。Dell Technologiesグループでは、Dell EMC、Dell Inc.、Pivotal、Virtustream、RSA Security、Secureworks、VMwareという7ブランドで、幅広いITソリューションを展開してきた(ちなみに新年度からデータ統合SaaSの「Dell Boomi(ブーミー)」ブランドも追加され、8ブランドに増えている)。

 昨年の業績は堅調であり、年間売上は906億ドル(約10兆円)と前年比15%の2ケタ成長となった。製品分野別に見ると、サーバー/ネットワーク製品は前年比28%、ストレージ製品は同9%、インフラソリューションは19%の売上増加。またハイパーコンバージドインフラ(HCI)の「VxRail」も2ケタ成長を続けており、「特に第4四半期は成長が加速して“3ケタ台”の成長を記録した」と平手氏は説明する。

 そして日本国内のビジネスはグローバルの成長率を上回っている。大塚氏が紹介した昨年度の国内ビジネス(グループ全社)の売上は、前年比20%以上の伸びを示した。製品分野別の成長率は、サーバーが39%、ストレージが25%増、CI/HCIが165%、法人向けPCが38%などとなっている。

 「特に成長を牽引した製品分野としてはCI/HCI、それからSoftware-Definedインフラ。顧客規模別では大手から中小、公共まで、また産業別で見ても全産業が揃って伸びている」(大塚氏)

昨年度のグローバルの業績と日本市場における業績

 国内市場における業績について、大塚氏は、ITインフラのSoftware-Defined化推進と、デジタル(ビジネス)/IT&データセンター/ワークフォース(働き方)/セキュリティという「4つのトランスフォーメーション」の支援による、大きなプロジェクトがこの成長を牽引したと説明する。4つのトランスフォーメーションについては昨年度の重点ビジネスの1つに掲げていたが、これまで100を超えるトランスフォーメーション案件に関わってきたという。

幅広い業種/分野でデジタルトランスフォーメーションのプロジェクトを支援してきた

 新年度の国内事業テーマは、引き続き「お客様の変革に貢献する真のパートナーへ」だという。「ただし、昨年度は(トランスフォーメーションの)実現に向かおうという意味で『Make It Real』を掲げていたが、今年度はグローバルで『Real Transformation』という言葉を掲げている。本当の意味でのトランスフォーメーションを、広さ、幅の両面で追及し、顧客に貢献していく」(大塚氏)。

 Dell EMCとして国内市場で取り組む具体的なテーマも大きくは変わらないが、取り組みの内容は大きく強化/進化させていくという。たとえば「日本発イノベーションプロジェクトの推進」では、GTO(Global Transformation Office)を設置しさまざまなトランスフォーメーションプロジェクトにおけるグローバルの知見を国内顧客に提供していく。またパートナー施策では、既存のパートナーにより幅広いDell Technologiesのプロダクトを扱ってもらえるよう働きかけていく方針だと説明した。

新年度の国内における事業戦略

「一般企業も『DXには関係ない』とは言っていられない状況になっている」

 平手氏は、あらゆる産業においてDXの取り組みが強く求められている背景について、デジタルテクノロジーが主導するかたちで「価値創造サイクル」が回り、それが企業競争力を創出する時代になっているからだと説明した。

 「企業において『攻めのIT』への移行加速が著しい。もはや『先駆的な企業だけがDXの対象で、一般企業は関係ない』とは言っていられない状況になっている」(平手氏)

 さらに平手氏は、自身の主観、感覚値ではあるものの「大半の顧客がDXに着手しており、そのうち4割ほどの顧客が、AIを念頭に置いたDXを推進している」とも述べた。Dell Technologiesでは、GPU対応サーバーや企業におけるAI/機械学習導入を簡素化するパッケージソリューション「Dell EMC Ready Solutions for AI」を提供しているほか、さまざまな次世代技術の研究プロジェクトも推進している。

AI/機械学習領域でのさまざまな取り組み。「Project Milky Way」では、GDPRのような法規制で地理的移動が制限されるデータに対し、分析/学習を行うワークロードの側を移動させて処理を行う仕組みを研究開発している

 「2019年も『Real Transformation』を目指し、Dell Technologiesの全社員を挙げて、顧客の利益に貢献し、デジタルトランスフォーメーションにおける真のパートナーを目標としていきたい」(大塚氏)

 「いまだに(新聞などでは)『米パソコン大手のデル』といった見出しが出ることもあるが、今日ご説明したのが現在のDell Technologiesの姿。『パソコン大手のデル』はもうやめていただければ(笑)」(平手氏)

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