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最新パーツ性能チェック 第235回

GeForce GTX 1080超えの3D描画性能

最安7万円台から手に入るTuring三兄弟の末弟「GeForce RTX 2070」のコスパやいかに?

2018年10月18日 22時00分更新

文● 加藤勝明 編集●ジサトライッペイ

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GTX 1070にGTX 1080、GTX 1080 Tiと比較

 それでは検証環境を紹介しよう。ASUS製の「ROG-STRIX-RTX2070-O8G-GAMING」の比較対象として、GTX 1070 FE及びGTX 1080 FEのほか、2ランク上だが現行価格が近しいGTX 1080 Ti FEも用意した。リアルタイムレイトレーシングを使う上での必須コンポーネントである「DXR」を実装した「Windows 10 October 2018 Update」は導入していない状態での検証となる。

【検証環境】
CPU:Intel「Core i7-8086K」(6C12T、4GHz~5GHz)
マザーボード:GIGABYTE「Z370 AORUS Gaming 7」(Intel Z370)
メモリー:G.Skill「F4-3200C14D-16GFX」×2(8GB×4、DDR4-2666で運用)
グラフィックス:ASUS「ROG-STRIX-RTX2070-O8G-GAMING」(GeForce RTX 2070)、NVIDIA「GeForce GTX 1080 Ti Founders Edition」、NVIDIA「GeForce GTX 1080 Founders Edition」、NVIDIA「GeForce GTX 1070 Founders Edition」
ストレージ:Intel「SSDPEKKW010T7X1」(NVMe M.2 SSD、1TB)、Crucial「CT1050MX300SSD4/JP」(M.2 SATA SSD、1.05TB、データ用)
電源ユニット:SilverStone「ST85F-PT」(850W、80PLUS PLATINUM)
OS:Microsoft「Windows 10 Pro 64bit版」(April 2018 Update)

GTX 1080を喰らうRTX 2070、GTX 1080 Tiには及ばず

 まずはいつもの「3DMark」から検証を始めよう。テストは“Fire Strike”以上のテストを試す。

「3DMark」のスコアー。

 RTXやDLSSを除くRTX 2070のパフォーマンス傾向の大半が、このグラフに凝縮されているといってよい。RTX 2080がGTX 1080 Tiを上回り、RTX 2080 TiがTITAN Vを打ち負かしたように、RTX 2070はその1ランク上のPascal世代のGPU、すなわちGTX 1080を上回った。

 GTX 1070とRTX 2070のCUDAコア比率は1:1.2だが、Fire Strikeのスコアーは1.3倍強に増加している。メモリーまわりの強化やキャッシュまわりの改善などが施された、Turingアーキテクチャーの勝利と言えるだろう。CUDAコア数が2560基と多いGTX 1080をも上回っているのだから、RTコアやTensorコアがなくてもRTX 2070のポテンシャルは十分に高いものと言える。余談だが、SNS界隈でRTコアやTensorコアのないGTX 2070を望む声が多いのも頷ける話だ。

 ちなみに今回検証用に用意したのはGTX 1080のFEなので、広く市販されているOC済みのGTX 1080だともう少し差が縮まると思われる。RTX 2070は実質的にRTXテクノロジー対応のGTX 1080相当と言い換えてもよい。1世代前のGTX 1070を基準にするとえらく価格が上がったように感じられるが、、次世代規格(レイトレーシング、DLSS、VirtualLink、8Kなど)のための投資と言えば少し納得ができるだろうか。

 ではここでシステム全体の消費電力もチェックしておこう。システム起動10分後を“アイドル時”、3DMarkの“Time Spyデモ”実行中のピーク値を“高負荷時”として計測した。電力計測にはラトックシステムのBluetooth対応ワットチェッカー「REX-BTWATTCH1」を利用している。

システム全体の消費電力。

 3DMarkのスコアーが高いボードほど消費電力も順当に高い。各ボードのTDPはGTX 1080 Ti FEが250W、ASUS製RTX 2070が215W、GTX 1080 FEが180W、GTX 1070 FEが150Wなので、高負荷時の消費電力もこの序列に沿ったものとなった。言うまでもないが、RTコアとTensorコアをフル回転させたらRTX 20シリーズの消費電力はもう少し上がることは容易に予想されるが、それにはまずWindows 10 October 2018 Updateの再配布と、RTX対応ゲームの登場を待たねばならない。

 もうひとつ基本的なベンチマークとして「VRMark」も試してみた。3つあるテストのうち“Cyan Room”だけはDirectX12ベースのテストになっている。

「VRMark」のスコアー。

 RTX 2070は最も軽い“Orange Room”でスコアーが伸び切らなかった。今回の検証ではGTX 1080よりも低く計測されたが、フレームレートは200fpsを余裕で超えているため、Orange Roomの想定環境であるHTC VIVEやOculus Riftといった現行VRシステムではむしろパワーが余るほどだ。

 そして、Cyan Roomのスコアーが突出して高いのは、GDDR6メモリーの採用と新しいメモリー圧縮技術といったTuring特有の設計とCyan Roomの描画システムが上手く噛み合った結果と言えるだろう。超重量級のBlue Roomのスコアーも大きく伸びているが、まだこれをVRMarkの目標fps(110fps)まで1GPUで出せるGPUは存在していない。

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