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上場会見で読み解く同社のこれから:

メルカリ上場の理由と課題

2018年06月20日 08時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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■赤字はいつ回収するのか

 冒頭に述べた投資をいつ回収するかが難しそうだ。

 同社は昨年度連結27億7900万円の経常損失、今年度第3四半期累計でも連結19億5100万円の経常損失を出した。世界展開をふくむ先行投資の赤字が大きい。

 山田会長は海外展開についての質問を受けた際、「赤字も大きいが、規律をもって投資をしていきたい。見込みがあるからやっているのであって、むやみに赤字を拡大をすることは考えていない」と、赤字に対する考えを示した。

 現状赤字の北米市場については「数字を見ながら投資をしている状況だ。この調子で伸びていけば十分黒字化は可能だと思っている。調子が良ければさらに踏んで大きなマーケットをとりにいくこともありうる。費用対効果が難しいということならディシプリンをもって投資をおさえることもありえる」と話した。

 メルカリは2013年のサービス開始から赤字を出してきた。

 2014年度に13億7300万円、続く2015年度も10億990万円の経常損失を出した。単体で122億5600万円の売上、32億6200万円の経常利益を出し黒字化したのは2016年度だ。翌2017年度には同じく212億5400万円の売上、44億6900万円の経常利益を出したが、上述のように連結でふたたび赤字を出した。

 赤字を出すこと自体は悪くない。

 山田会長がメルカリの強みの1つにあげたのが成長力だ。メルカリ流通額は年率50%以上で成長し、アリババグループの「TMall」「Taobao」に匹敵する成長力を見せているという。売上および流通額の成長率を根拠にキャッシュを手元に残さず投資に回すのはセオリーだが、今後も株主の理解は得られるか。自社株式については「出来高のある株式ではありたいと思っている」と山田会長は話していた。

 山田会長はグローバル展開について話す際、これから数十年という長い時間をかけて新興国をふくめた世界全体に展開したいと、遠い未来への展望を語っていた。メルカリにとって上場は遠いゴールへ向けてのスタートと言えそうだ。



書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)

1983年生まれ、家事が趣味。赤ちゃんの父をやっています。育児コラム「男子育休に入る」連載。Facebookでおたより募集中

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