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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第558回

ミラーレス一眼に合うオールドレンズ3本で猫を撮る

2018年05月05日 10時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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日本製のオールドレンズも試してみる

 次の古いレンズは日本製。ペンタックスの「SMCタクマー 200mm F4」だ。これ、200mmという望遠レンズだけど値段(3000円弱だった)と、デザインが気に入ってつい買ってしまったもの。1970年代のレンズだ。

 それで撮った猫がこちら。

 とあるお寺の墓地で、オッドアイ(左右で目の色が違う)のシロネコがちょこんと真新しい墓石に座ってたので、思わず狙ってみた。こっちがピントを合わせてる間、じーっと見ててくれたのでその隙に。

ちょっと彩度高めでオッドアイの猫。望遠だと被写界深度が浅い(ピントの合う範囲が狭い)ので慎重に合わせて撮影。表情がカッコいい(2017年12月 富士フイルム X-T2+SMC TAKUMAR 200mm F4)

ちょっと彩度高めでオッドアイの猫。望遠だと被写界深度が浅い(ピントの合う範囲が狭い)ので慎重に合わせて撮影。表情がカッコいい(2017年12月 富士フイルム X-T2+SMC TAKUMAR 200mm F4)

 1970年代というと、だいたい40年前くらいか。このくらいになると写りもしっかりしてる。

 去っていく猫の背中をモノクロで。

 X-T2はボディー内手ブレ補正を持ってないので、望遠で構えつつマニュアルフォーカスでとなると手持ちでは難易度が高いのだが(でも当時の人はこれで普通に撮ってたのだからえらいもんである)、望遠ならではの味わいもまたよし。

去っていくキジトラを背中から、いやお尻から、いやしっぽから。小雨が降りそうな夕刻でISO感度をぐっと上げたのでいい感じのざらつきが出てくれた(2017年12月 富士フイルム X-T2+SMC TAKUMAR 200mm F4)

去っていくキジトラを背中から、いやお尻から、いやしっぽから。小雨が降りそうな夕刻でISO感度をぐっと上げたのでいい感じのざらつきが出てくれた(2017年12月 富士フイルム X-T2+SMC TAKUMAR 200mm F4)

 古いレンズっぽい渋い写真を撮りたくなるのが面白いですな。これ、カラーでも撮ってるんだけど、モノクロの方がいい雰囲気になったのでこちらで。

 3本目は、気軽にスナップ写真を撮れる広角気味のレンズ。

 X-T2はAPS-Cサイズのセンサーなので、35mm相当のスナップ用の画角で撮るには24mmくらいのレンズが必要だなあ、でも気軽にさっと撮れるオールドレンズが1本あると楽しいよなあと思っていたところ、うちに1本転がってたのである。

 1970年代終わりから80年初頭くらいに作られたニコンの「AI Nikkor 24mm F2.8」。実は「AI Nikkor 24mm f/2.8S」というマニュアルフォーカスレンズが現役で売られているのだが、うちに転がっていたのはその1つ前の型。

 40年前のだから十分古い。無造作に転がっててかなりガタが来てたので修理代がかかってしまったが……。

 ボケを楽しむというよりは、F5.6くらいに絞り、だいたいの距離を勘で測ってさっと撮る、という素早いスナップを撮れるレンズといってもいい。

 勘どころが分かれば、AFで撮るより楽なくらい。

 この写真は、2匹の猫がとことこと足下にやってきたのでおおよその距離でさっと撮ったもの。

 2匹がちょうど平行になって足下にきた瞬間を狙ってみた。

キジトラが足下に来たので上を向いたとこを狙おうと思ったら、シロネコもやってきてこんなことに。平行になってるのが面白い(2017年12月 富士フイルム X-T2+Nikon AI Nikkor 24mm F2.8)

キジトラが足下に来たので上を向いたとこを狙おうと思ったら、シロネコもやってきてこんなことに。平行になってるのが面白い(2017年12月 富士フイルム X-T2+Nikon AI Nikkor 24mm F2.8)

 意外に実用的で当人もちょっとびっくり。

 最後はモノクロで、黒猫をわざと明るめに撮ってみた。

公園にいた逆光の黒猫をわざと明るめに(2018年1月 富士フイルム X-T2+Nikon AI Nikkor 24mm F2.8)

公園にいた逆光の黒猫をわざと明るめに(2018年1月 富士フイルム X-T2+Nikon AI Nikkor 24mm F2.8)

 で、マニュアルフォーカスでじっくり合わせて絞りを自分で決めて撮るって楽しいわ。オールドレンズで遊んでる人の気持ちがわかってきた。

 趣味道楽の世界ではあるが、AFでサクサク撮るのとはまた違った楽しみがあり、古いレンズだとモダンなレンズとは違った味わいがあり、なかなか面白いのである。

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筆者紹介─荻窪圭


著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/


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