本連載は、Adobe Acrobat DCを使いこなすための使い方やTIPSを紹介する。第53回は、複数担当者による文書チェックを「共有レビュー」機能でスマートに処理してみる。
Acrobat DCの「共有レビュー」で効率的に処理
ビジネスで、何らかの成果物をレビューすることは多い。部下が作った提案資料から、取引先から納品されたカタログや原稿、たたき台など、チェックしなければいけない文書は枚挙にいとまがない。それを従来のように、人数分コピーして配布して赤入れをしてもらい、FAXや手渡しやスキャンしたデータで戻してもらい、集約するというのは非効率すぎる。
PCでチェックする場合でも、WordにExcel、PowerPoint、テキストファイルをはじめ、さまざまなファイル形式それぞれでレビューコメントを入れるのはとても手間がかかる。さらに、ワークフローが決まっていないと、それに複数の担当者で同じ文書をレビューする際に、混乱を来たしてしまう。
そんな時、PDFファイルとAcrobatなら、とてもスマートにレビューできる。ファイル形式に依存せず、手軽にレビューでき、複数担当者での共有レビューもスムーズに処理できる。操作ミスやレビューの抜けを防ぎ、作業時間を短縮できるので、業務効率の改善に大きく役立ってくれるはずだ。
早速、共有レビューの方法を紹介しよう。まずは、「ツール」から「注釈用に送信」を開き、第2ツールバーの「共有注釈用に送信」をクリックする。まずは注釈の収集方法を設定する必要がある。ファイルそのものはメールに添付して送ればいいのだが、注釈情報のデータはサーバーに集約するためだ。SharePointやウェブサーバー、クラウドストレージなどを利用できる。ここでは、OneDriveを利用してみる。
レビューしてほしい相手のメールアドレスを入力し、送信する。本文には定型文が入っているが、カスタマイズすることも可能。レビューを依頼された人は、添付ファイルを開けばいい。Acrobat DCはもちろん、無料のAcrobat Readerでも共有レビューに参加することができる。
レビューする人は、「環境設定」の「ユーザー情報」で氏名やメールアドレスが登録されている必要がある。未記入の場合は、メッセージが出るので設定しよう。その後、「共有レビュー」ウィンドウが開き、ファイルが誰と共有されているのかが表示される。特に不要な情報なら「次回から表示しない」にチェックしておけばいい。
「注釈」の第2ツールバーと、共有注釈の黄色いツールバーが表示された画面が開くので、レビューしよう。注釈ツールで普段通りにコメントなどを入れられる。一通りチェックが終わったら、「注釈をアップロード」をクリックする。これで、その人のレビューは終了だ。もちろん、期日までは追加でコメントを入れて、注釈をアップロードすることもできる。
複数人でレビューする場合
複数ユーザーでレビューする場合は、ほかの人のコメントを見ながら作業できる。コメントに返信することも可能だ。こちらも、レビューが終了したら、注釈をアップロードする。
ちなみに、PDFファイル内のすべての注釈を削除することはできるが、ほかのユーザーが入れた注釈を指定して削除することはできない。何か取引先に見せたくない注釈が付いているなら、該当ユーザーに連絡して削除してもらおう。
「新しい注釈を確認」をクリックすると、ほかの人が入力した注釈を表示できる。全員のレビューが終わったなら、「サーバーのステータス」アイコンから「レビュートラッカー」を開く。どのファイルを誰と共有し、注釈をいくつ入れてもらったかなどが表示される。完了したなら「レビューを終了」をクリックすればいい。もし、レビューを忘れている人がいるようであれば、追加のメールを送信することも可能だ。
レビューをお願いするユーザーは、「共有注釈用に送信」機能でメールアドレスを入力するだけでいいのが手軽。勝手に注釈がアップロードされてくるし、作業が遅れている人もトラッカーで確認できる。集まったら、レビューを終了させて保存したファイルを相手に送るだけだ。複数の赤入れを集約するという手間のかかる作業から解放され、ミスは防げるし作業時間も短縮される。一度使ったら、元の方法に戻れなくなること請け合いだ。
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