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インターナショナルなJAWS DAYS 2018で聞いた極上のエンジニアトーク

“Learn and Be Curious”- AWSエバンジェリスト対談が教えてくれたもの

2018年03月27日 10時30分更新

文● 谷崎朋子 編集●大谷イビサ 写真●JAWS-UG写真班

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 Amazonには「Our Leadership Principles」というのがある。社員一人ひとりがリーダーだという考えのもと、リーダーとして実践を心がけたい行動規範が14か条でまとめられたものだ。

 その1つに、「Learn and Be Curious」がある。つねに学び、新しいテクノロジーや動向に好奇心を持ち続けること。2018年3月10日に行われた「JAWS DAYS 2018」の午後の基調講演「AWS Technical Evangelists Special talk session -スペシャルトークセッション AWSとユーザーコミュニティが生み出すNo borderな未来-」で登壇したAWSエバンジェリストたちは、まさにそれを実践、体現する人たちだった。AWSジャパンの亀田治伸氏をモデレーターに、プログラミングを初めて学ぶ人にお勧めの言語、AWS認定資格試験に合格するためのポイント、10年後も通用するエンジニアであるためのヒントなど、一般公募した質問含むさまざまなテーマで4人のエバンジェリストたちが熱いトークを繰り広げた。

4人のエバンジェリストたちが熱く語った

1430のアップデートを乗り切るヒント

 最初の質問は、2017年にAWSが行った1430のフィーチャーアップデートについての感想だ。

「あれを一人で全部読んで理解し、実装するなんて正直無理だよ」と笑うのは、AWSのチーフエバンジェリスト、ジェフ・バー氏。2002年から在籍し、AWSブログでは最新のAWSサービスの技術解説含めて3000記事以上を執筆、AWSを知り尽くす重鎮だ。

「まずは今関心ある機能や、将来的に関係するだろう機能を試すのがいいと思う。あとは、同僚に別の機能の検証をお願いして、協力しながら網羅していくのはどうかな」(バー氏)

Amazon Web Services チーフエバンジェリスト Evangelismディレクター ジェフ・バー氏

 そんな提案に、「なるほど。AWSのアップデートに追いつくにはシャーディングが必須なんだ」と冗談めかすのは、寿司・餃子・枝豆・Pythonが大好きなランドル・ハント氏。「アップデートには、30秒あれば理解できるバージョン改善程度のものから、何時間もかけないと把握できない大型アップデートまである。まずはどのくらいで理解できるものかなどを整理して、計画立てて見ていくのがいいと思う。あと、大型サービスは、たとえ今興味なくても勉強しておくといいと思うよ」。

Amazon Web Services テクニカルエバンジェリスト ランドル・ハント氏

 最新情報を追うことの大変さに言及したのは、ブラジルのAWSコミュニティをよく知るジュリオ・フェイルマン氏だ。バー氏の記事をチェックしながら常に新しい話題を吸収していると述べるフェイルマン氏は、それ以外にも過去に自分が携わったプロジェクトを振り返ることがあると述べる。「特にダメなプロジェクトほど、学びが得られる。時折、振り返るのもおすすめだ」(フェイルマン氏)

Amazon Web Services テクニカルエバンジェリスト ジュリオ・フェイルマン氏

 何よりも大切なのは、学び続ける姿勢と好奇心だ。韓国のWeb標準化プロジェクトのコミュニティリーダーでもあるチャニー・ヤン氏は「Learn and Be Curious」を挙げ、「発表された機能のあまりの多さにお手上げの気分になるかもしれないが、ぜひ知的好奇心を発揮して立ち向かってほしい」と檄を飛ばす。

Amazon Web Services テクニカルエバンジェリスト チャニー・ヤン氏

興味を持ち続け、学び続けるためのアドバイス

 学びに関係する質問も、いくつか取り上げられた。たとえば、AWS認定資格試験に合格するための勉強方法について、「資格はすべて取得した。今は作問していて答えも知っているから、合格は楽勝」と笑いをとるハント氏も、プロフェッショナル向け試験は最高の難易度と断言。特に「AWS Certified Advanced Networking Specialty」は最高に難しく、むかし試験勉強していたときは、AWSのPDFドキュメントを全部ダウンロードし、飛行機での移動時間などを使って必死に読み込み、2年がかりで合格したと明かす。なお、NetworkingとBig Dataの2つの認定資格はまだローカライズされていないことから、今後に期待していると亀田氏が合いの手を入れた。

 勉強方法は、「オンラインであれば、A Cloud Guru(https://acloud.guru/)やCloud Academy(https://cloudacademy.com/)などがある。あと、APIやSDKだけでなくアーキテクチャを理解することも大切で、最高の参考書は顧客事例。AWSの活用例にたくさん触れる機会が作れるので、認定試験を受けるのも悪くない」(ハント氏)。

 ほぼすべての認定資格を保有するフェイルマン氏も、試験対策や模擬試験を受けられるAWSトレーニングのワークショップを推奨。また、ヤン氏はハンズオンで基本をしっかり身につけることの大切さを語った。

 最初に学ぶべきおすすめの言語については、「テキストエディタ並みに議論を巻き起こしそうな質問だね」と苦笑いするバー氏は(バー氏「Emacs」、ハント氏「Vim」という掛け合いを挟みながら)、組織に所属するエンジニアであれば、その組織が投資しているものや同僚が使っているものを参考に選ぶのが自然と述べ、AWSは最新のスクリプト言語やコンパイル言語のSDKをほぼそろえているから、状況に応じて選ぶといいとアドバイスした。

 ハント氏が「Python!」と力強く発声する横でフェイルマン氏は「JavaScriptを最初に選ぶといい」と発言。壇上から立ち去ろうとするハント氏を見て「だって、JavaScriptから始めれば、そのあとやるどんな言語も最高にしか感じないから」と、にやりと笑う。

「宇宙開発に携わっていたときはC++を使ってたけど、あれがPythonだったらロケットは爆発しなかったよ」と冗談半分に語るハント氏に、みんなも大笑い

 自分はCからPerlに進んだと明かすヤン氏は、言語はあくまでも問題解決のためのツールであり、言語を選ぶことよりも問題を解くことに主軸を置いて検討するといいと提案。その上で、「ビルド言語を右手に、スクリプトのインタープリタ言語を左手に、PythonとJava、GoとC++/C#といった具合に、2つの言語を使いこなせるよう目指すのが理想的」と述べた。これに対して、バー氏も「プログラミング言語を学ぶきっかけをいろいろ見てきたが、解決したい問題があって、検索して発見したコードに手を加えようとその言語を学ぶ、というのが多い気がする」と言及。最初から言語を決め打ちで学ぶのではなく、偶然の出会いもあるとほほえんだ。

 このほか、勉強すべきフレームワーク/ツールの質問については、変化の激しい世界でどれと断言するのは難しいとしながら(ハント氏「Python!」)、フェイルマン氏はテクノロジーやツールに依存しないAWSのベストプラクティスガイドである「AWS Well-Architected Framework」を推奨。またバー氏は自身のキャリア全体を通して役立った方法として、ドキュメンテーションを一度読み、ツールやフレームワークを使い始めた3か月後、半年後にもう一度読み返すことを提唱。これまで十分理解できていなかった部分がすっと頭に入ってくると述べた。そして、「1つのナレッジだけで何十年もやっていける世界ではない。1日に1回、1週間に1回でいいから、定期的に新しいツールやテクノロジーを学ぶ時間を作り、それを習慣化してほしい」と強調した。

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