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JAWS-UG中部・北陸勉強会レポート 第17回

これだけ情報を得られれば、ラスベガスに行く必要はない?

年末のJAWS-UG名古屋はre:Inventの振り返りLT(ただしLong Talk)

2018年02月28日 07時00分更新

文● 重森大

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AWSJオフィスやカラオケ、ファミレスなどを結んで全国で乾杯!

 さて、20時の乾杯に向け、会場のモニターはWeb会議システム「Zoom」に切り替わった。映し出された8分割の画面は、ちょっとしたカオス、もしくはコメディだった。筆者がいた名古屋会場と同じく、どこかの会議室と思われる部屋、AWSJのオフィスからの中継もある。それらに混じってカラオケボックスやファミレスとしか思えない中継画面もある。カラオケボックスは金沢組、ファミレスは長野組だ。どうでもいい情報を付け加えておくと、筆者がいまこの原稿を書いているのは、長野組がいるのと同じチェーンのファミレスだ。本当にどうでもいいって編集部から注釈が入りそうだが、安くて美味しくて自由でいいですよね、ここ。

全国8会場をつないだ映像はある種のカオス

 映像の調整をしている間に、参加者たちはそれぞれビールやチューハイ、ピザや寿司などを手に乾杯の準備をしていた。筆者はこの後にも運転が控えていたので、ノンアルコールビールを手に中継映像を見て楽しんでいた。大きな声で喋っている中継先の音声が優先されるという仕組みは会議にはいいのだけど、この場合はいまひとつだったかもしれない。進行打ち合わせのために特定の会場に向けて高野さんが話しかけている途中で、東京のAWSJオフィスから「重森さーーん!」とか呼ばれちゃうと、音声がそっちに持っていかれてしまうんだもの。甘い声で呼びかけるのは、対面のときにしておくれ、子猫ちゃんたち。

 みなさん待ちに待った乾杯、音頭を取ってくれたのはAWSJの沼口 繁さん。「2017年おつかれさまでした、かんぱい!」というシンプルな発声とともに、各会場から歓声が上がる。高野さんが改めて仕切りに入り、各会場からひとことずつコメントをもらうことになった。名古屋からは川路さんが「みんな楽しく飲みましょう、来年もよろしくお願いします」とコメント。その他の会場も順にコメントしていたが、歌唱をバックにカラオケボックスからコメントしてくる金沢組とファミレスからコメントしてくる長野組のぶっちぎり具合がここでも目立った。この画は新しい。もしチャンスがあれば、筆者もぜひファミレスからこのような中継に参加したい。

長野組は雰囲気といいグラスの模様といい、完全にあのファミレス

 ともあれ、ひととおり盛り上がって全国中継による乾杯は大成功。これは楽しい仕掛けだった。音声フォーカスがいまひとつだった感はあるが、我々の盛り上がりに技術がまだ追いついていないのだと考えるしかない。まだまだ、最終的には人間によるキュレーションが必要なんですよ、と最近AI記事に脅かされつつある界隈から申し上げておきます(保身)。

また同じの作っちゃった……来栖川電算の山口さんのぼやきに大笑いのLT

 後半は、いわゆるLT大会。Long Talkではなく、Lightening Talkの方だ。トップバッターは、今回ドリンクやピザ等をご手配くださった来栖川電算から、山口 陽平さんが登場だ。取り上げたのは、Amazon SageMaker。

「機械学習モデルを素早く簡単に構築し、トレーニング、デプロイを行います。あれ、どこかで聞いたことがありますね。そう、昨年(2016年)のJAWS-UGでうちが発表したものです。また同じの作っちゃった……」(山口さん)

来栖川電算 山口 陽一さん

 こうあったら便利だろうと思ってエンジニアが作る、並行してAWSも同じことを考えて機能開発を行なう。その結果、虚構新聞と現実の追いかけっこみたいな事態がAWS界隈でも多数発生している。これも、そういった事案のひとつだ。「1年か2年待てばAWSのサービスとして出てくるので、欲しい機能があっても少し我慢した方がいいのかも」と言い、山口さんは会場の笑いを誘った。説明の仕方も斬新だ。

「こちらが、昨年うちが作ったサービスです。で、ここを変えるとSageMakerです」(山口さん)

来栖川電算の「実験スケジューラー」との違いでSageMakerを説明

 わかりやすいが、これにはまたしても一同大笑い。ざっとした機能説明ののち、ハンズオンなどで手軽に使えることや、機械学習モデルの訓練、配備にかかる手間がかなり自動化されていると特長を紹介。自前で機械学習環境を用意するのが難しい小規模な組織で役立つだろうと語った。

「ただし料金は、自前のものより4割強高めです。大規模なものになると結構なコストになると思うので、そういう場合には弊社の実験スケジューラーを使うといいと思います」(山口さん)

 最後まで笑いの絶えない、楽しいLTだった。

時間をかけて準備したデモを交え、AWS Media Servicesを川路さんが紹介

 山口さんに続いて登壇したのは、豪勢に寿司を差し入れしてくれたJAWS-UG名古屋の川路 義隆さん。差し入れ貢献度の高い順?(笑)

 川路さんは「AWSを利用した動画配信のススメ」と題して、AWS Media Servicesについて紹介してくれた。従来AWSで動画配信を行なう場合によく使われていたのは、動画をS3に置き、EC2でWebサーバーを立て、さらにCloudFrontを追加した構成。

「従来の構成に比べてAWS Media Servicesがどう素晴らしいのかというと、とても長くなるので説明はPollyに任せます」(川路さん)

JAWS-UG名古屋 川路 義隆さん

 Pollyが読み上げてくれたはずの内容をまとめると、AWS Media Servicesは様々な放送品質に対応し、End to Endのビデオソリューション構築が可能。インフラセットアップにかかるスタートコストを削減できるうえにサービスはスケール可能、100万ユーザーにも対応するとのこと。そんな風にPollyが説明してくれたのを、筆者の心はとらえた。耳には届かなかったかもしれないけれど、会場にいた参加者全員の心に届いたはずだ。そして音声再生がうまくいかなかったことにはまったくめげず、川路さんは同サービスを次のようにまとめた。

「ざっくり感想を言うと、広告やDRMを管理できるので、頑張ればAmazonプライム・ビデオみたいなものを自前で作れそうです。サーバーを維持する必要も冗長化を考える必要もなくなり、ライブ配信も可能です」(川路さん)

AWS Media Servicesを使えばEC2を使わずライブを含めた動画配信が可能に

 ここで、実際に川路さんは自身のiPhoneを使って会場からライブ配信してみせた。同じ会場にいながらわざわざライブ配信映像を見るという無駄はともかく、実にわかりやすいデモンストレーションだ。準備には相当の時間がかかったそうである。

「AWS Media Servicesを使って配信の仕組みを構築するのは難しくありませんでしたが、iPhoneからライブ配信できるアプリを探すのに7時間かかりました」(川路さん)

実際にその場でライブ配信された映像(筆者のiPadでキャプチャ)

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