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この濃厚コミュニケーションはもはや東京では体験できない?

少人数での勉強会の楽しさを再確認したJAWS-UG長野

2018年03月26日 07時00分更新

文● 重森大

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2018年1月のJAWS-UG長野は、参加者は主催者も私もひっくるめて8名! ひさしぶりの小規模勉強会だったので取材前から期待が高かった。大人数での勉強会、懇親会も楽しいんだけど、地方の少人数勉強会には他にはない楽しさがある。ゆるさも含めて、筆者は大好きなのだが、なかなか取材の機会がないのが残念。今年は小規模勉強会をもっと拾って行くぞという思いを込めて、2018年一発目の取材は長野県松本市からお届けする。

開始前にすでに馴染める規模が、心地いい

 松本駅から徒歩数分の場所にある公民館。その一室がJAWS-UG長野の会場だった。部屋を訪れると、テーブルが4つ並んでいた。それぞれに座席が2つ。合計8席だ。「これで座れる規模なんですか」と聞くと、「満席です」とのこと。満席はすばらしい。なかなかありませんよ、満席。人数が人数なので、開始時刻前から「松下さん、まだ来ないね」「もうどこかで飲んでるんじゃない?」などと、和気あいあいと会話が弾む。

 前半は、おそらく日本最後となるre:Invent 2017の振り返り。時間の都合で映像系に特化して新機能が取り上げられたのだが、AWSに限らずCDNの最近の動向なども聞けて勉強になった。個人的に意外だったのは、分散型よりも中央集中型の方がCDNとして今は有利だという話。各ISPが大規模IXにつなぎ込んでいるので、東京に大きなキャッシュサーバを設置するのがCDNとして有利だというのだ。いつのまにか、インターネットトラフィックまで東京一極集中が進んでいたとは。

組み込み系の話に会場が沸いた、沖さんのFreeRTOS談義

 re:Invent 2017の話題から、Amazon FreeRTOSを取り上げたのは沖 幸一郎さん。IoT関連の話題は花盛りだが、RTOSに注目するところがニクい。沖さんはまず、FreeRTOSがAmazonから提供される意義について語った。

「もともとReal Time Engineersが開発を主導して権利も持っていたのですが、ライセンスがGPL v2だったため、カスタマイズして使おうとするとソースを公開しないといけなかったんです。でも今回Amazonが権利を買ってMITライセンスに変えたことで、いじりたい放題になったと」(沖さん)

 組み込み系で使われるRTOS、ハードウェアの制約が厳しいところで使われるのでカスタマイズは必須。そのたびにソースを公開しなければならないのは手間がかかる上に、ビジネス上の不安もある。その制約がなくなったことで、組み込み系からは歓迎されているようだ。

一般的なOSとRTOSとの違いを説明する沖さん

 RTOSと一般的なOSの違いを説明し始めると、これまで賑やかだった会場が一気に静まり返った。RTOSや組み込み系の細かい話を聞く機会はAWS勉強会ではあまりない。へえ、そうだったのか、となったところで会場の雰囲気は再度大変貌。各氏から質問が飛んだ。沖さんはそれらに丁寧に答えてくれて、そこからさらに生じた疑問が別の人から飛び出す。8名という規模だと、話者と大勢の観客という関係ではなく、活発な対話を楽しめる。これこそ、小規模勉強会の醍醐味だ。

Qiita記事にいいね!が少ないと嘆くMAX、ぶっつけ本番デモで会場を盛り上げる

 続いてはソラコムの松下 享平さん、本人は一般参加枠で申し込んだつもりだったのに、周囲の人はみんな「LTやるんだろ」と思い込んでいた。そこは引き出しの多いMAX松下。ほかの人がLTをやっている間に資料を作り、「Amazon MQとSORACOM Beamのいい関係」と題してLTに臨んだ。

 Amazon MQはフルマネージドなメッセージブローカーで、VPCの中で動くMQTTのPub/Subの仕組みを使える点が既存のメッセージブローカーに比べたメリットだ。

 「使い方はQiitaに書いてあるんですが、いいね!が7つしかついていません。毎回マイナーなサービスを取り上げてしまうなあと」(松下さん)

 松下さん、いいね!の数が勝負じゃありませんよ。必要な人に必要な情報が届くよう、リソースを用意していることが重要なのです(なかば自分に言い聞かせ)。

 フルマネージドなメッセージブローカーといえば、SORACOM Beamと相性がいいはず。ということで、なんと松下さんは会場でデモ用のコードを書いていたらしい。デモの内容は、Wio LTEからUptimeとLED状態をPublishし、クラウドからはLEDの色変更指示をPublishするというもの。カラーを指定できるLチカだ。

「まだ一度も試してもいませんが、これからデモします」(松下さん)

 爆笑しつつ、小さなLEDに注目する参加者一同。コードを打ち込む松下さん。REDと指定するとWio上のLEDが赤く、Blueと指定するとLEDが青く点灯した。SORACOMと指定するとソラコムのコーポレートカラーが、AWSと指定するとオレンジ色が点灯するというネタも仕込まれており、Lチカで大盛り上がりする会場。

LEDの色を変えるだけのデモも、参加者8人なら全員で見守れる

 「いやあ、動いてくれてよかったあ」(松下さん)

 なお一般参加枠からの飛び込みLTだったので、ソラコムの公式情報としてのトークではなく、Amazon MQとSORACOM Beamを個人的に使ってみた例としてお納めいただきたい。それにしても行き当たりばったりでその場でデモを作っても成功させるあたりに、芸人人生の積み上げを感じる。尊敬しかない。

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