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NETGEAR製品導入事例

厳しい電波環境の中で、100台のPCに安定した無線LAN接続を提供するには

オフィスNWの全面リニューアル、シーオスがネットギアを選んだ理由

2017年10月16日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: ネットギア

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ミニマムなコストで要件をかなえる「ちょうどいい」選択肢

 新ネットワークの大まかな構成はシーオス側で考えていたものの、具体的に導入するモデルの選定やネットワーク設計などはデンケンが行った。森氏は、デンケンへの要望として「削れるところはできるだけ削って、コスト的にミニマムになるようお願いしました」と語る。

 デンケンによる現地での電波調査(サイトサーベイ)の結果、フロア全体を最小6台の無線LAN APでカバーできることがわかった。802.11ac対応APとしては「WAC720」(2×2 MIMO)や「WAC730」(3×3 MIMO)などがラインアップされているが、青木氏はクライアント端末が対応するストリーム数などを考慮し、今回は安価なWAC720で必要十分だと判断した。

オフィス天井に設置された「WAC720」。合計6台でフロア全体をカバーしている

 6台のAPを管理するコントローラーには「WC7500」を採用している。将来的にAPを増設する可能性はあるものの、その場合でもWC7500の管理上限である15台は超えないこと、また他機種との性能差やコストパフォーマンスを鑑みてこの機種を選んだと、青木氏は説明する。なお6台のAPを収容しているのは、PoE給電に対応した24ポートのアンマネージプラスL2スイッチ「JGS524PE」だ。

 有線LANのコアスイッチには、冗長構成と管理の利便性を考えて、スタック可能な48ポートL2スマートスイッチ「GS752TSB」を2台導入した。2台のスイッチを同梱のスタックケーブルで接続(スタッキング)することにより、いずれかのアップリンク(ルーターとの接続)が停止しても、接続を維持することができる。また、スタッキングした2台のスイッチでは設定が共有されるため、管理作業は1台ぶんで済む。万が一、2台のスイッチのどちらかに障害が起きた場合も、機器交換するだけで対処できる。青木氏は、同製品はスタックケーブルが付属しているため、追加コストなしで導入できる点も大きかったと語った。

新たに設置されたネットワークラック。上から、スタッカブルL2スマートスイッチの「GS752TSB」×2台、APを接続しているPoE対応アンマネージプラススイッチ「JGS524PE」、無線LANコントローラーの「WC7500」、ルーターを設置。なお最下段のL3スイッチ「M4300」は検証機として試用中のもの

 また、フリーアドレス化されたフロア内のテーブルには、タップ型スイッチの「GSS116E/GSS108E」(16/8ポート)が設置されている。シーオス側からは「今回、新しいフロアの内装にはこだわっているので、スイッチをデスク上には置きたくない」(森氏)という要望があったという。それならば、と青木氏は、テーブルのパイプ脚にタップ型スイッチを取り付ける方法を提案した。

共用テーブルの脚に取り付けられたタップ型スイッチ「GSS116E」

 なお、今回はVLAN対応もシーオス側の要件だった。青木氏は、VLANのニーズに応えつつコストをミニマムに抑えるという点で、ネットギア製品の優位性があったと説明する。

 「VLAN対応のために、中小規模のネットワークでも他社製のインテリジェントスイッチが入っているケースは多々あります。ただ、実際にはその他の機能はほとんど使われていません。ネットギアでは、そうした“リッチすぎる”機能をそぎ落とした製品(スマートスイッチやアンマネージプラススイッチなど)をラインアップし、そのぶん価格を抑えています。今回はそれがちょうどいい選択肢になりました」(青木氏)

シーオス本社の新しい社内ネットワーク概要図

オフィスビルに囲まれた厳しい電波環境に、細かなチューニングで対応

 6月上旬のケーブル配線から始まったネットワーク施工作業は、中旬のネットワーク機器設定へと続いた。ここでは無線LANのかなり細かなチューニング作業が行われたという。

 実は、前述したデンケンによる電波調査の結果、シーオス本社が入居するビルの電波環境には大きな問題があることがわかっていた。ここは周辺にもオフィスビルが林立する地域であり、それぞれのオフィスが発する膨大な数の無線LAN電波が飛び交っていたのだ。断定はできないが、従来の無線LAN環境で接続が不安定だった理由のひとつかもしれない。

 「入居するフロアと敷地内で電波調査を行い、検出できた無線LANの一覧を資料として提出したのですが、数が多すぎて300ページほどになってしまいました。かなり電波状況の悪い、スパルタな環境です」(青木氏)

 無線LAN接続の安定性を高めるため、青木氏は無線LANコントローラーを使って、ビーコン間隔など数多くのパラメーターを調整していった。ここでもネットギア製品の優位性が感じられたという。

 「一般的な環境ならば、標準設定のままで使っても問題ありません。ただし、ここ(恵比寿)や渋谷、赤坂など、オフィスや店舗の無線LANが密集している特殊な環境では、安定した接続のためにチューニングが必要になります。ネットギア製品の場合、一般にはエンタープライズクラスの製品でしか調整できないようなパラメーターも調整できるようになっているので、今回の厳しい電波環境にも対応できました」(青木氏)

 そのほかにも、クライアント接続が特定のAPに集中して負荷が偏らないよう、各APの上限接続数を標準値よりも抑えるといった調整も行ったという。

懸案事項をすべて解消、コストパフォーマンスの高さに満足

 今回リニューアルされたネットワークに対し、シーオスの従業員からは「ネットワークのスピードが速くなった」と評価する声が上がっているという。管理面でも満足していると、森氏は語った。

 「無線LANに関しては、コントローラーが自動的に(電波強度やチャンネルなどを)調整してくれるので、自分たちが心配しなくてよくなりました。また、GUIによる操作は直感的で、仮に担当者不在のときにトラブルが起きても、社内のスタッフで最低限の対応はできます。画面上で無線LANの利用状況が見られるのもいいですね」(森氏)

シーオスが導入した無線LANコントローラーWC7500の管理画面。各APや各SSIDにそれぞれ何台のクライアントが接続しているかが一目でわかる。フロア図を使ったヒートマップ表示も可能

 VLANに関しては、懸案事項だったゲスト用回線だけでなく、管理部門用や開発テスト環境用、ネットワーク機器管理用などのVLANも切り分け(合計8セグメント)、各セグメント間の通信に細かな制限を設けることで、情報セキュリティ対策や不慮の事故への備えとしている。

 ちなみに、8つのVLANセグメント間の通信制限はルーター内蔵のソフトウェア機能で実現しているが、それぞれに制限内容が異なり、ソフトウェア的に処理するには負荷が高いという。その影響を軽減するため、取材時にはネットギアのL3スイッチ「M4300-28G」検証機を導入して、効果を測っていた。

 また、クライアント接続用の有線LANについては、設置したスイッチのポートをジャックガードで物理的にふさぎ、管理者に申請があった場合にのみ開放する原則とした。無線LANも同様で、申請のない“野良デバイス”は接続させない。今後も、新しいネットワークを利用しながら少しずつ管理面の整備を行っていくと、森氏は語った。

 「今回、コスト的に削れるところは削っていただき、ミニマムな構成で導入をお願いしましたが、十分満足のいくコストパフォーマンスが得られたと思っています」。森氏は笑顔でそう語った。

(提供:ネットギア)

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