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「シギラベイサイドスイート アラマンダ」が宿泊客向けWi-Fi環境を更新した背景を聞く

宮古島のリゾートホテル、ネットギア無線LANで「ストレスなし」実現のワケ

2017年01月23日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 沖縄県・宮古島の南端に位置する「宮古島シギラリゾート」。約100万坪(東京ドーム70個分)の広大な敷地内に、ダイビングやシーカヤックといったマリンアクティビティが楽しめるビーチ、すべてのホールから海が望めるゴルフ場、ジャングルプールや天然温泉の露天風呂、リゾートウェディング向けチャペルなどを備えた高級リゾートである。

 シギラリゾートの敷地内には4つのホテルがあり、そのうちの1つが、アジアンリゾートテイストの「シギラベイサイドスイート アラマンダ」(以下、アラマンダ)だ。173の客室すべてがスイートルームであり、プライベートジャグジーやプールを備えたスイート、コテージ型やコンドミニアム型のスイートなど多彩な客室を用意している。

ホテル全体がアジアンリゾートテイストで統一された「シギラベイスイート アラマンダ」。全客室が個性豊かなスイートルームだ

 今年、このアラマンダがネットギアのコントローラー型無線LANシステムを導入し、ゲスト(宿泊客)用のWi-Fi環境を刷新した。すべての客室内と館内レストランに無線LANアクセスポイントを設置し、ゲストがいつでも快適にWi-Fiサービスを利用できる環境を提供しているという。

 今回はアラマンダの客室支配人を務める時田哲雄氏、そしてシステム導入を担当したインテグレーターである沖縄エジソンの嵩原(たけはら)安治氏に、ゲストWi-Fiシステムの刷新に至った背景や、コントローラー型無線LANを選択したポイントなどを聞いた。

ユニマットプレシャス シギラベイサイドスイート アラマンダ 宿泊部 客室支配人の時田哲雄氏(右)、沖縄エジソン 通信営業部 第一営業課 課長の嵩原安治氏(左)

コンシューマー製品で構築したゲストWi-Fiがスタッフの“ストレスの元凶”に

 シギラリゾート内にアラマンダがオープンしたのは、今から11年前のことだ。当時から全客室に有線のゲストネットワークが敷設されており、ゲストは持ち込んだノートPCなどをインターネット接続することができた。そして数年前からは、有線ではなく無線LANを利用したいというニーズが一気に高まったと、時田氏は語る。

 「特にこの2、3年は、国内からのお客様、海外からのお客様を問わず、ゲストWi-Fiの利用ニーズが高まりました。もはや電気や水道と同じように、Wi-Fi環境もインフラとして『あって当然』という感覚をお持ちなのだと思います」(時田氏)

現在(リニューアル後)は、客室内だけでなくベランダやプライベートプールなどでもゲストWi-Fiが利用できる

 こうしたニーズの変化に応え、アラマンダでは4、5年ほど前に、全客室でのゲストWi-Fiサービスを開始した。各客室へ敷設済みの有線ゲストネットワークに、ポケットタイプの無線LANルーターを接続して、ゲストが自由にWi-Fiを利用できるようにしたのだ。

 「その製品(ポケットタイプの無線LANルーター)を200個ほど買ってきて、ホテルのスタッフが1室ずつ、手作業で設置していきました」(時田氏)

 これで立派なゲストWi-Fi環境が整った――かのように思えたが、実はここからが、ホテルスタッフにとっての苦難の始まりだった。

 このときアラマンダが導入したのは、ビジネスマンが出張先でホテルの有線LANを無線LANに変換したいときなどに使う、コンシューマー向けの簡素な製品だった。これを170以上ある客室に1つずつ設置した結果、頻繁にトラブルが発生する事態を招いてしまったのだ。

 アラマンダから沖縄エジソンの嵩原氏のもとに相談が持ちかけられたのは、2014年7月のことだった。ちょうどホテルが夏の繁忙期を迎えたころである。

 「最初にご相談いただいた際のメールを見ると、ゲストから毎日のように『Wi-Fiがつながらない』『つながる部屋に変えてほしい』とクレームが発生している、と書かれています。早急にこれを解決できないか、というご相談でした」(嵩原氏)

 那覇市に本社を置く沖縄エジソンは、県内のリゾートホテルやシティホテル、ビジネスホテルに多くの顧客を持つ。嵩原氏の所属する通信営業部では、ホテルのネットワークインフラやPBX(電話交換機)で、これまで数十施設の構築/導入を手がけてきた。

 アラマンダが導入した製品は、しばしばフリーズするなど安定性が低く、全室ぶんを集中管理できる仕組みもなかった。フリーズした場合は電源を投入し直す必要があったが、設置場所は各客室内なので、そのたびにスタッフが足を運ぶことになる。そもそも、ゲストが宿泊している客室にスタッフが出入りすること自体、ホテルとしては好ましいことではない。

 また、既設の有線ゲストネットワークそのものも、単純にレイヤー2スイッチを多段接続した構成で、ネットワークループが発生している箇所もあったという。

 しかし、この時点ではゲストネットワークを改修する予算も時間もなかった。嵩原氏は、ひとまず応急処置としてできる範囲のことをアドバイスした。「タイマー設定でWi-Fiルーターを毎日リブートさせる」「ループが発生していると思われるポートのケーブルを抜く」といったことだ。

 もちろんこれは“次善の策”でしかなく、根本的な問題の解決には至らなかった。敷地が広く、障害が起きるたびに客室に出向かなければならないホテルスタッフにとって、ゲストWi-Fiの運用は重い負担になっていたと、時田氏は振り返る。

 「Wi-Fiがつながらないのは、お客様にとってもストレスですが、実はスタッフにとっても大きなストレスでした。本来、ホテルサービスの向上に費やすべき時間を、Wi-Fiトラブル対応のために奪われていたわけですから」(時田氏)

ゲストWi-Fi環境が抱える課題を調査し、改善策を提案した沖縄エジソン

 こうして2014年の夏が終わり、アラマンダではあらためて、ゲストWi-Fi環境のリプレースを検討することにした。社内での予算申請に向け、沖縄エジソンを含む複数のインテグレーターに見積もりと製品提案が依頼された。

 既存の有線ゲストネットワークは、沖縄エジソンではなく他のインテグレーターが敷設したものだった。そのため沖縄エジソンでは、たとえば別棟のコテージまでどうやってネットワークを延伸すればよいのかといった、現地の詳細な事情までは把握できていなかった。そこで嵩原氏らは、最終提案を前に、あらためて現地調査を行うことを決断する。

 「説得力のある提案を行うためには、提案する“根拠”が必要です。そのために、現状をしっかり調査して課題を洗い出し、そのうえで解決策を提案するかたちにしたいと考えました」(嵩原氏)

 アラマンダ側の協力を得て、沖縄エジソンではホテル内の施設やネットワーク敷設状況、電波の干渉状況などを調査していった。偶然にも、旧知の地元施工業者がアラマンダの建設に携わっていたことがわかり、別棟へのネットワーク延伸に使える業務用通路の存在を教えてもらうこともできた。

 この調査に基づいて現状の課題と原因を分析し、その解決策をまとめたものを、沖縄エジソンでは「調査報告書」として提出した。提案を受けた側である時田氏は、単なる製品提案ではなく、現状の課題をふまえた解決策が提示されたことで、予算を承認する立場の経営陣にも、その必要性が伝わったのではないかと評価する。

 「経営陣には、『ゲストWi-Fiのリニューアルをしたい、予算がこれだけ必要だ』と言うだけではなかなか意図が伝わらないですし、技術知識のないわたしたち自身で細かく理由を説明するのも難しい。この報告書のおかげで、導入済みのWi-Fi機器ではなぜつながらないのか、なぜリニューアルが必要なのかを理解してもらえたのだと思います」(時田氏)

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