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「MOVERIO」が活躍!! あらゆる観客に映画の楽しさを提供するチネチッタ

2017年10月06日 11時00分更新

文● 小山安博、編集●ハイサイ比嘉

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 映画館で映画を観たいという聴覚障害者、あるいは耳が聞こえにくい高齢者向けに、字幕付き邦画が上映されている。セリフなどが字幕で表示されるため、聴覚に障害があっても映画を楽しめるのだが、対応する映画は多くない。またこういった字幕付き邦画は決まった上映時間にしか上映されておらず、観られる時間が限られている。

 これに対して、エプソンのスマートグラス「MOVERIO」を使って字幕を表示して映画を楽しめるサービスがスタートした。「MOVERIO」を装着した観客のみ目の前に字幕が表示されるため、ほかの映画鑑賞者に影響せさせることなく、従来よりも手軽に映画を楽しめるようになったのだ。技術的には、対応する字幕データが提供されている映画なら、いつでも、どこの映画館でも字幕付きで映画を視聴でき、聴覚障害者の映画鑑賞の機会がさらに拡大することが期待できる。

 この仕組みを用いて、立川シネマシティ(東京都立川市)、チネチッタ(神奈川県川崎市)、ミッドランドスクエア シネマ(愛知県名古屋市)、大阪ステーションシティシネマ(大阪府大阪市)の4館でMOVERIOを貸し出すサービスが9月9日から開始されている(主催:全国興行生活衛生同業組合連合会)。

 今回は、そのひとつである神奈川県のチネチッタの担当者に、MOVERIOを使った字幕付き上映のメリットについて話を聞いた。

チネチッタの営業部劇場運営課・野澤健人氏(写真左)と、布施木大氏(写真右)にお話を伺った

バリアフリー上映に力を入れ続けるチネチッタ

 今回のサービスは、エプソンに加えて、字幕表示アプリ「UDCast for Moverio」を開発したPalabra(パラブラ)、音響通信ソリューション「Another Track」を開発したエヴィクサーの3社が協力して実現した。UDCastは、これまでもスマートホンなどの携帯端末を使った視覚障害者用音声ガイドの提供、字幕・手話映像の表示などを提供しており、今回、新たにMOVERIOを使った聴覚障害者用字幕を実現した。

 チネチッタでは、これまでもUDCastの視覚障害者用音声ガイド用にiPod touchの貸し出しをしていたほか、スマートホンにアプリをダウンロードすれば誰でも利用することが可能だった。さらに今回、聴覚障害者向けにMOVERIOを使った字幕サービスの提供が加わった。

8台の「MOVERIO BT-350」を活用

 今回の試みで貸し出している機材は「MOVERIO BT-350」だ。コンシューマー向けの「MOVERIO BT-300」と同スペックの商用モデルに位置づけられており、テンプルや鼻パッドに改良を加えたもの。複数の「MOVERIO BT-350」の充電・アプリなどの更新が一括でできるクレードルもあり、チネチッタでも8台の「MOVERIO BT-350」が用意されている。

「MOVERIO BT-300」と同スペックの商用モデルにあたる「MOVERIO BT-350」
複数の「MOVERIO BT-350」の充電・アプリなどの更新が一括でできるクレードルも用意

 使い方は簡単で、利用者は「MOVERIO BT-350」の事前予約を行なった上で現地で貸し出しを受けて装着し、スクリーンの前に座るだけだ。あらかじめアプリを起動した状態で渡されるので、ユーザー自身が特別な操作を行なう必要がない。また、Androidベースのため操作にまごつく利用者もほぼいないようだ。この「MOVERIO BT-350」には専用マイクが追加されており、専用マイクが映画本編の音声を聞き取り、事前ダウンロードされた字幕が自動的に表示される。

「MOVERIO BT-350」には専用マイクが追加されており、この専用マイクが映画本編の音声を聞き取り、事前ダウンロードされた字幕が自動的に表示される

 技術的には、音声電子透かしと音声解析データを使ったフィンガープリントという2種類の方法が用いられており、これを映画の時間情報と紐付けている。映画の音声を認識するため、映画が始まらないと字幕は表示されないし、時間情報と紐付いているので、唇の動きと字幕もズレずに表示される。途中入場しても、きちんとこのリップシンクが一致する。

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