企業において在宅勤務を承認するというのは、機材の問題だけでなく人事制度といった企業のルール作りにもかかわるので、なかなかハードルは高い。でも、その前段階である外出先でのモバイルワークは、働き方改革の第一歩として従業員にモバイルPCやスマートフォンを持たせたり、あるいはBYODを認めたりして会社の業務をオフィス外でもできる環境作り(機密事項の取り扱いに関してはルール作りが必要だが)をすれば実現できるので、在宅勤務に比べればハードルは低い。今回は、モバイルワークを実践するためにすべきことについてご紹介する。
従業員が使用する端末をどう管理するか
従業員がオフィスで使用している端末をどのように管理しているのでしょう? そもそも企業でマシンの導入や管理する人たち、いわゆる情シスのみなさんは、大企業だと複数名いるところもあるが、中小企業だと居ても1人。総務の人が兼任している例も少なくない。そんな状況で、数10人から数100人規模の従業員が扱うマシンを1つ1つ管理するのはかなりの労力が必要だ。
マシンの管理も、単に型番とネットワークのMACアドレスなどを記録し、管理番号を付け、利用するアプリをインストールして従業員へ渡しているだけ。あとは、社内ネットワークへアクセスするマシンをMACアドレスで制御するけど、マシンをどう使うかは従業員に委ねられているケースも多いことだろう。そんな状態だと、オフィス外へ持ち出したときに紛失してしまったり、従業員が勝手にインストールしたアプリが悪さをしていたら、セキュリティ的にかなり危険だ。
そこで最近企業で導入されているのがMDM(モバイルデバイス管理)と呼ばれる管理システムだ。アプリの管理(MAM:モバイルアプリケーション管理)やコンテンツの管理(MCM:モバイルコンテンツ管理)まで総合的に管理・運用するEMM(エンタープライズモビリティ管理)と言われる場合もある。こうした管理システムの利点は、導入できるアプリを制限したり、プライベートのデータと社内のデータを分けたり、あるいはマシンを紛失してしまった場合も、リモートでロックを掛けたりデータを削除したりできるため、万が一のときでも安心だ。
また、OSやアプリのアップデートなども制御できるので、従業員に任せることなく、いつでも最新の状態に保てるのでセキュリティ的にも安全。モバイルPCだけでなくスマホも含め、さまざまなOSに対応しているので、従業員が利用する端末はすべてしっかり管理できる。また、これらのシステムはクラウド型サービスなので、導入も簡単でコストも安くすむ。少人数の情シスもしくは総務の兼任者であっても、少ない負担で管理・運用できるので、まだ導入していない企業はすぐにでも検討すべきだ。
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