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有機ELテレビメーカー4社を巡って技術を解説! 第1回

プラズマの技術で自然な再現! 他社はマネできないパナソニックの有機ELテレビの秘密を聞いた

2017年06月12日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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とても自然な感触になっている映像と音に感動

いよいよ視聴

いよいよ視聴

 取材ではTH-65EZ1000で、デモ用コンテンツやUHD(4K)ブルーレイを見せていただいたが、そのときの印象を紹介しよう。

 有機ELの大きな特徴である完全な黒はノイズ感のない清潔そのもので、そこに豊かな色が浮かび上がる。

 特に感心したのは、鮮やかな色だけでなく、暗い部分でのくすんだ色がリアルに描かれること。美しいドレスで踊るダンサーを見ていても、肌のきめの細かさや筋肉の質感が生々しいし、ドレスの生地の質感や光をうけてデリケートに色合いを変化させる様子まで、きめ細かく描いている。

 また、高輝度の力強さもしっかりと出ている。比較として同社の液晶テレビとも見比べてみたが、明るい場面の輝度もほとんど差を感じない。これならば、外光が入るような明るいリビングでも力強い映像を楽しめるはず。

 スムーズな階調表現と漆黒の黒から眩しい光の輝きまで丁寧に描かれるため、UHDブルーレイの映画もより生々しい再現となる。映像のリアリティーについては誰もが驚くものになっている。

 そして、その音もかなりの出来映えだ。激しいリズムが刻まれるようなダンス・ミュージックでも、低音がしっかりと出て迫力のあるものになっている。

 感心したのは音像がしっかりと画面の前に定位し、画面から音が出ているような再現になっていること。65V型のサイズにふさわしい豊かな広がりのある音場を含め、細部まで丁寧に仕上げられた音だとわかる。

 映像と音に共通して感じるのは、ギラギラとした派手さや一見目を引くような華やかさではなく、実に自然な感触になっていること。こうした自然なリアリティーは今までにないもの。じっくりと見るほどに良さがわかってくる、味わい深い映像と音だと感じた。

国内生産により製品ごとのバラつきも抑えた
厳重な品質検査を実施

 最後は、国内の宇都宮にあるパナソニックモノづくり革新センターでの生産についても触れたい。

 この生産工場は、場内を自動運転の運搬車が走り回るなど最新鋭の設備を備える一方で、テレビの組み立てだけでもいくつかの要素に分け、それぞれに十分な技量を持ったスペシャリストが生産を行っている。そのスペシャリストを育成するための教育・研修のための設備も持っているのだ。

 そうした質の高い生産工場で、TH-65EZ1000とEZ950シリーズは生産されている。生産のための工程も有機ELのための一新され、液晶テレビの2倍以上の品質検査、エイジング工程なども盛り込まれ、1台1台が有機ELの優れた実力をきちんと引き出した状態となって送り出されるのだ。

 品質検査では正確な機械による測定だけでなく、職人の目による感能的な性能のチェックも実施するなど、きめ細やかな製品づくりが行われている。

 このような厳しい生産体制のため、製品によるバラつきも極めて小さく、どのモデルも設計通りの優れた性能が保証される。

 価格的には高価な有機ELテレビだけに、こうした生産体制で行われていると知ることはユーザーとしても安心感があるはずだ。

 次回はソニーの有機ELテレビについて紹介していく。

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