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事例に厚みが増したAWS Summit 2017レポート

スマホアプリからIoT、ECサイト、基幹システムまで全方位でのAWS利用

新サービス登場とともに旧システムを捨ててきたJINSのAWS活用

2017年06月06日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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AWS Summit 2017の2日目、アイウェアブランド「JINS(ジンズ)」を手がけるジンズはAWS導入の背景と概要を語るセッションを行なった。ジンズの澤田和寿氏は、スマホアプリやウェアラブル端末、Webサイトのリニューアル、基幹システムなどでのAWS導入の経緯を説明し、クラウド時代のシステム構築の考え方をアピールした。

デジタル分野に積極的に仕掛けるJINSがAWSを導入した背景

 ジンズ(旧ジェイアイエヌ)が手がける「JINS」は国内・グローバルあわせて約430店舗を抱える国内大手アイウェアブランドだ。デザイン、生産、販売までを一環して行なっており、レンズ込みで5000円、8000円、1万2000円という戦略的な価格で、ユーザーにニーズにフィットした多彩な商品群を展開。2016年の販売本数は520万本に達したという。

ジンズ システム企画室マネジャー 経営企画室 事業開発グループ 澤田和寿氏

 JINSは新ジャンルを作り出すアイウェアブランドとしても知られており、2009年に販売を開始した「Airframe」は軽量メガネの草分けとなっているほか、ブルーライトをカットする機能性メガネ「JINS SCREEN(旧JINS PC)」も知られている。デジタル分野への取り組みも先進的で、後述するスマホアプリ「JINS PAINT」のほか、ウェアラブル端末「JINS MEME(ミーム)」も手がけている。

 さらにメガネの試着をオンライン上でできる「JINS Virtual Fit」やAIを活用することで似合うメガネを提案する「JINS BRAIN」などのサービスも展開。「店頭で、自分に似合うメガネはなんですかと聞かれることが多かったので、販売員含め約3000人で、どういったメガネが似合うのかというパターンを機械学習させ、似合う商品をリコメンドするWebサービスとして作った」(澤田氏)。

JINSが手がけるさまざまなデジタルサービス

Lambdaがなかったため、EC2で構築したJINS Paintのシステム

 現在、ジンズは電通国際情報(ISID)などのパートナーとともにAWSのシステム構築や運営を行なっており、その範囲は新規事業系からWebサイト、基幹システムまで及んでいる。

 なぜジンズはAWSを導入したのか? 澤田氏は、「デジタルサービス」「IoT」「コスト削減」「グローバル」「内製化」などの5つを挙げた。

 前述したとおり、同社はもともとデジタルサービスに対して積極的で、2013年頃には国内クラウドを導入していたという。とはいえ、「今から考えればデータセンターに毛が生えたようなサービスで、これが本当にクラウドなのかな?という迷いがあった」(澤田氏)とのことで、より洗練されたクラウドへの移行を検討していた。

 また、JINS MEMEのようなIoT製品も1つのきっかけだった。こちらも商品化は決定していたが、同社にはそもそもIoT製品の基盤を作るようなノウハウはなく、マネージドサービスにあたるクラウドが必要だと考えた。その他、運用コストの削減やグローバル展開、内製化の推進といったさまざまな背景があり、AWSの導入に至ったという。

 最初にAWSで作ったのは、2015年2月にリリースされたJINS PAINTで、iOSやAndroidのスマホアプリでユーザーオリジナルのメガネを作れるというサービスになる。フレームのデザインを自由に行なえるほか、サングラスのレンズにペイントすることもできる。

オリジナルメガネを作れるJINS PAINT

 JINS PAINTのサービスを構築した頃はLambdaのようなサーバーレスサービスがなく、EC2を利用するしかなく、ミドルウェアやアプリケーションでの工夫が必要だった。また、新規のデジタルサービス事業であるため、売り上げや利用者の予想が難しかったという。「パートナーにお願いしたのは、とにかく運用コストを下げてほしいということ。事業自体が必ず成功するとは限らないし、コストだけかかっても収益が出ない。とはいえ、大量アクセスが来ても、スケールできるようにしたかった」という。

運用コスト削減を重視したJINS PAINTのAWS基盤

 サービス開始から2年が経ったが「お客様には驚きの体験を提供できた」という点で成功だったと澤田氏は振り返る。また、グローバル展開させても、コストがまったく上がっていないところもAWSならではのメリットだった。

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