素晴らしい理由その3 持続時間5日間のバッテリー
というわけで、私は充電時以外にCharge 2を外さずに済ませてきた。頻繁に充電が必要な活動量計はダメだ。毎日充電しなければならない腕時計型のアレなどはまったくもって、以下省略である。
Charge 2のバッテリーの持続時間は5日間。チャージに2時間もかからない。が、その間私はライフログ的には死んでいる。これには不満もないではなかったが、すぐに肯定的に考えられるようになった。
それは同時にGARMINの活動量計「vivofit 2」を使ってきた経験からだ。このGARMINのデバイスは、バッテリー消費の大きな光学式心拍計を搭載していない代わりに、ボタン電池式でバッテリー寿命1年を実現している。防水性能もGARMINらしく水深50mまで耐える。最低1年は機器側の都合で外す必要はないのだ。完璧だ。
かといって外さずにずっと着けっぱなしだとどうなるか。詳しい描写は避けたいが、要するにバイオハザード的な状況を呈してくる。これはいくら毎日お風呂でじゃぶじゃぶ洗ってもダメだ。
だからCharge 2の5日間隔のバッテリー充電というのは、このバイオハザードを防ぐためと考えれば、納得できる頻度なのではないか、という気がしてきたのだ。
しかし、欲を言うなら、もう少し長く持って欲しい。もし7日以上バッテリーが持てば「毎週◯曜日は洗って充電する日」というように、わかりやすいスケジュール設定ができる。5日ごとだと、年や月の日数がコロコロ変わり5で割り切れないような世界では、どうしても覚えにくいスケジュールになってしまうのだ。
素晴らしい理由その4 ルーズに締めててもかまわない心拍センサー
バッテリー充電の手間があるのに、わざわざCharge 2を選ぶのは、心拍計を使いたいからである。これによりエネルギー消費量の推定精度が上がる。
この心拍センサーはルーズに締めても計測しているのが素晴らしい。光学式だから皮膚から離れて光が入り込んでしまうとアウトだが、ちょっと接している程度でも計測している。キッチキチに締めないと測れないものでは、結局センサーと皮膚の接触部分がかゆくなってきて、長い時間着けていられない。でも、Charge 2は寝ている間も着けていられるし、違和感も最小だ。
もちろんゆるゆるな状態だと、たまに欠測が起きる。でも、いざ気合を入れてエクササイズに及ぶ際には締め直せばいいのだ。
心拍センサーと加速度センサーを使って、運動状態を自動認識する機能もある。私の普段の運動といえば、歩くか、自転車に乗るかのどっちかでしかないが、正確に検出してトラッキングしているのが驚きだ。
ただ自転車の場合は、運動状態を認識はしても、その間の加速度センサーの揺れを歩数としてカウントしているところが、若干ヌルい。自転車で走っている状態を正確に記録したい場合は、リストウォッチ側から運動の内容を指定して計測する手もある。
なお、人類がする運動の内もっとも重要で比較的頻度の高いセックスは自動検出項目に入っていない。これだけ正確に加速度と心拍から運動を割り出すのだから、ああした単純な動きは簡単に認識できるはずなのに、検出項目に入っていないということは、いろいろと、まあ、なんというか、推して知るべしである。
数少ない欠点も挙げておこう。OLEDディスプレーが明るすぎることだ。Charge 2のディスプレーは、Apple Watchなどと同様に、手首をくるっと回してディスプレーを目に向けると表示がオンになる。加速度センサーを使った便利機能だが、これが布団の中では仇となる。
寝返りを打った際など、目の前で白くまばゆい光を放つ異常ななにかを目撃することになるのだ。最初の頃は、すわ宇宙人の襲来か核戦争かと、いちいち飛び起きていたし、ボタンを押さないとディスプレーが点灯しない安眠モードくらい欲しいよな、とも思っていたが、もう最近はすっかり慣れてしまっていて、夜なにかが白く光っても気にすることなくぐっすり眠れている。おかげで宇宙人も核戦争も、もうちっとも怖くなんかない。
そんなわけで、FitbitのCharge 2、オススメです。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ