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これからRyzen自作するならMSIのマザー「X370 GAMING PRO CARBON」がいいぞ!

2017年04月30日 12時00分更新

文● 林 佑樹(@necamax) 編集●北村/ASCII.jp

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 Ryzen販売開始から2ヵ月になろうとしているが、AM4に対応するATX、およびMicro ATXマザーボードが出そろってきた。また販売開始からしばらく続いていた混乱も収束気味であり、落ち着いた頃合いを見計らって、これからRyzenで自作する人もいるハズ。

 ところがRyzenでは、メモリーの相性問題とUSB 3.0周りにおける不都合報告がネットなどでも散見されている。できることなら、こういう不都合には出会いたくないものだ。そこで今回は、編集部で検証してそれらの不都合が発生しなかったMSIのミドルクラスマザーボード「X370 GAMING PRO CARBON」をピックアップしてチェックしていこう。

AMD X370チップセット搭載のMSI製マザーボード「X370 GAMING PRO CARBON」。実売価格は2万4000円前後

 MSIのRyzen用マザーといえば、「B350 TOMAHAWK」が話題になった。他の製品よりやや割高だったため、売直後に完売しなかった製品だが、その後不都合報告がほとんどないことから人気に火がつき、同製品を使用する人を“トマホーカー”と呼ぶ現象にまで発展した。

 今回紹介する「X370 GAMING PRO CARBON」は、「B350 TOMAHAWK」と同じMSI製。Ryzenで自作するなら、AMDチップセットマザーで実績のあるMSIを選ぶのは必然といえるだろう。

カーボン調でタフな「ミリタリークラス4」準拠

 X370 GAMING PRO CARBONは、X370チップセットを採用するATXマザーボードになる。ゲーミング環境を重視しており、MSI独自の高品質基準「ミリタリークラス4」に準拠。DARK CAPやDARK CHOKEなどを採用し、またメモリー回路を独立させるDDR4 Boostに加えて、CPU-メモリー間の配線の長さを均一し、オーバークロック時でも安定化を狙っている。

メモリー回路を他のコンポーネントから完全に独立させることにより、最良のメモリー信号を保つDDR4 Boost。そのうえ、CPUとメモリー間の配線の長さを均一にすることで、同じタイミングで信号が行き届くようにしている

 マザーボード上を見ていくと銀色に光って目立つのは「Steel Armor」と呼ばれるもので、PCI Express Gen 3.0×16スロットとメモリースロットに採用されている。PCI Express Gen 3.0×16スロットのSteel Armorは最近の重量級ビデオカードに耐えるため、メモリースロットのSteel Armorは物理ダメージからの保護だけでなく、電磁信号からデータ信号を保護する目的で用意されたものだ。

 とくにPCI Express Gen 3.0×16スロットは経年劣化で根元が緩むことがあるため、端子だけでなく、マザーボードとの接点数も増やされているのは、地味ながら重要な部分だ。

PCI Expressスロットを補強するSteel Armor。スロットを鉄板で覆うことで剛性を上げ、重量級のビデオカードを差してもゆがまないようになっている

 また、M.2スロットには、SSDに被せるように装着するM.2 Shieldを装備している。冷却性能の向上が期待できるもので、M.2の性能ダウン抑止を狙ったものだ。これは他社製マザーには装備されていない、MSI独自の機能となる。

SSDの温度上昇を抑えるというM.2 Shield。SSDに長時間負荷をかけ続ける極端な使用状況では、逆に熱がこもってしまう可能性があるが、通常の使用状況であればヒートシンクによる放熱効果を期待できる

 基本的なスペックを見ていくと以下のようになっている。

「X370 GAMING PRO CARBON」スペック表
フォームファクター ATX
チップセット AMD X370
メモリー DDR 4 1866/2133/2400/2667(OC)/2933(OC)/3200(OC)+(4スロット、最大64GB)
拡張スロット PCI Express (Gen3) x16×2(x16または、x8×2動作)、PCI Express (Gen2) x16×1(x4動作)、PCI Express (Gen2) x1×3
マルチGPU NVIDIA SLI、 AMD CrossFireX
ストレージ M.2×2(PCI Express Gen3 x4/SATA3.0 6Gbps、PCI Express Gen2 x4/SATA3.0 6Gbps)、SATA3.0 6Gbps×6
インターフェース DVI×1、HDMI×1、USB 3.1 Gen2×2(Type A×1、Type C×1)、USB 3.1 Gen1×8(背面×4、ヘッダピン×4)、USB 2.0×6(背面×2、ヘッダピン×4)、PS/2×1
ネットワーク ギガビットLAN(Intel I211AT)
サウンド 7.1ch HD Audio(Realtek ALC1120)、「Nahimic 2」

 下段のM.2スロットはX370 GAMING PRO CARBONの右下にあるSATAポートと排他になっているほか、接続もSATA3.0になるため、速度を求める場合は上段のM.2スロットを選ぶといい。有線LANには定評のあるIntel I211ATを採用しており、オンラインゲームにおいての安心感につながるチョイスである。

 また有線LANとその下にあるふたつのUSB 3.0ポートは赤色LEDで点灯する仕様で目立つ。なお、USB 3.1はHDMI Alt ModeおよびDisplayPort over USB-Cには非対応だ。

最下段のSATAポートが排他対象だ。ストレージもりもり+M.2も全部埋めのときは留意しよう

 オーディオ方面もノイズ対策がなされており、左右の音でオーディオレイヤーを分離させていたり、S/N比120dBのRealtek製オーディオチップ「ALC1120」を採用したりと、ていねいな作りである。

サウンド部が、基板から分離しているのがわかるようにラインが敷かれている。また、独立設計のオーディオ回路をはじめ、暖かいサウンドを実現するオーディオ専用コンデンサーやポップノイズ防止回路を装備している

 3DMARK Fire Strikeを実行しながらヘッドフォンを接続してみたがノイズが入ることもなく、別途USB DACを用意しなくても、けっこういい音でゲームを遊べると感じた。

 また、ゲーム向けとしてサウンド管理ユーティリティー「Nahimic 2」も用意されているため、X370 GAMING PRO CARBONに慣れてきたら試してみると、自分にとって都合のいいゲーム環境に近づけられるだろう。

サウンド管理ユーティリティー「Nahimic 2」。とくにボイスチャット時に周辺ノイズを拾いにくくなり、音量も自動で調整してくれるので便利だ

 組み立てにあたって便利な部分を見ていこう。まず、ファン用の電源ピンだ。マザーボードの6ヵ所に分散して用意されており、通常の構成であれば、ケースの形状に関係なく強引な配線になる可能性は極めて低い。また水冷環境も前提になっており、ポンプ用の電源もアリと細かい。

 さらに細かい部分としては、フロント用のUSBヘッダーピンだ。前上から見ると「USB」とプリントされており、「どれだよ」とマニュアルを見る必要がなく、組み立て時のストレスを減らしてくれる。

USBと書いてあるのは、なんのヘッダーピンだかわかりやすく地味に評価が高い

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