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あらゆる製品にWatsonの力を、「InterConnect 2017」現地レポート

IBMの新発表を「クラウド+コグニティブ+データ」戦略で読み解く

2017年03月27日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 「IBMクラウド」と「コグニティブ(Watson)」を主要テーマとするIBMのプライベートイベント「IBM InterConnect 2017」が、先週、米国ラスベガスで開催された。今回も多くの新製品やアップデートが発表されたが、個別に見てもわかりにくい部分があるのは否めない。そこで本稿ではIBMが考えるエンタープライズITの戦略を俯瞰したうえで、新発表された製品の位置付けを紹介していきたい。

IBM InterConnect 2017の基調講演は、ラスベガスのマンダレイベイ・イベントセンターで行われた
1日目の基調講演に登壇したIBM Watson&Cloud Platform SVPのデヴィッド・ケニー氏IBM Hybrid Cloud SVP & Directorのアーヴィン・クリシュナ氏

 なお、今回のInterConnect 2017にはおよそ2万名のIBM顧客やパートナーが参加し、会期中には2000を超えるセッションが催された。またブロックチェーン関連製品も多く発表されたが、これに関しては次回の記事でまとめてお伝えする予定だ。

「クラウド」と「コグニティブ」、そして「データ」という戦略

 IBMの会長、社長兼CEOを務めるジニー・ロメッティ氏は、2016年初頭から「IBMは、コグニティブ・ソリューションとクラウド・プラットフォームの会社として生まれ変わりつつある」というコーポレートビジョンを掲げている。日本IBMのクラウド事業を統括する三澤智光氏は、この言葉を次のように説明する。

 「これからはコグニティブの概念を取り入れた、新しいアプリケーションの時代がやって来る。IBMは、それをクラウドプラットフォームで支えていく会社になっていく、ということ」(三澤氏)

 ワークロードの特性に応じて柔軟に選択/最適化できるハイブリッドクラウド環境を提供するとともに、その基盤上で、Watsonが持つコグニティブの能力を組み込んだ製品、業種別ソリューション、さらにSIやアプリケーション開発のサービスを展開していく。これがIBMが考える自らの将来像だ。

顧客自身がアプリケーションに組み込み利用できるWatson APIの数は30を超えた(上の画像)。これとは別に、アナリティクスやIoT、セキュリティなどの分野ごとにWatsonをトレーニングし、活用しているソリューション群が存在する

 加えて、このビジョンにおいては「データ」もまた、重要な構成要素となっている。いくらIT基盤がコグニティブやアナリティクスの能力を備えたとしても、データがなければ深い洞察(インサイト)やビジネス価値は生み出せない。さらに、企業が自らの保有データでWatsonを学習(トレーニング)させて、自社独自の強みを持つ“パーソナライズされたWatson”を開発していくためにも、大量のデータが必要だ。

 そこでIBMでは、顧客自身が保有するプライベートデータ、一般公開されているパブリックデータ、そして買収したThe Weather Companyの高精度気象データや提携するTwitterのソーシャルデータなどのパートナー(ライセンスド)データを、クラウド上で収集/発見/連携/活用できる仕組みの用意も進めている。

IBMは「クラウド+コグニティブ(Watson)+データ」のプラットフォームを提供していく戦略だ(同社「Investor Forum 2017」資料より)

 その1つが、昨年10月の「IBM World of Watson」で発表された「IBM Watson Data Platform」だ。IBMクラウド上に構築されたこのプラットフォームは、あらゆる構造化/非構造化データの高速な収集やクレンジングなどの処理を行うとともに、機械学習モデルの作成をコグニティブ能力で支援する(Watsonが最適な機械学習アルゴリズムを推奨する)。加えて、企業内おけるさまざまなデータソース/データプラットフォームを仮想的に統合するハブとして機能し、データの“サイロ化”を排除して価値のあるデータの発見を促すと同時に、データサイエンティストやアプリケーション開発者間でのコラボレーションも促す。

 InterConnect 2017の基調講演では、Watson Data Platformの早期導入企業として米プレイファブ(PlayFab)が登壇し、オンラインゲームプラットフォームにおけるユーザー動向のリアルタイム分析に活用していることを紹介した。

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