数多のVRヘッドセットのなかで、どういった製品がオススメなのかを探っていく本記事。今回取り扱うのは、サイズが4~6インチのスマホを内蔵できる、ヘッドフォン付きのVRヘッドセット「Virtoba X5」だ。実売価格は2189円(2017年6月16日現在のAmazon価格)。
ヘッドフォン付きのVRヘッドセットは、以前紹介したサンワサプライの「400-MEDIVR3」が4980円とやや高めだったが、Virtoba X5は2000円以上安いので、かなりお買い得だ。
スマホの搭載機構はまずまず優秀
VRヘッドセットの前面パネルを開けると、3.5mmステレオミニプラグが右側に配置されている。これをスマホのイヤフォンジャックに挿し込むことで、本機のヘッドフォンからスマホの音声が聞こえるようになる。
スマホは、前面パネルを開けて、本体側にある左右の台に載せて内蔵する。前面パネルを閉じると、パネルの裏面中央に備わっている上下にたわむプラスチック製のパーツがスマホを抑え込むため、スマホがズレ落ちることはない。
実際、今回使用した5.5インチの「Xperia Z5 Premium」、「iPhone7 Plus」では、本体内でズレたりする問題は発生しなかった。プラスチック製のパーツは、スマホが触れる端の部分にゴムが付いているので、スマホに傷がつくことはなさそうだ。
頭に固定して快適にVRを視聴できる
Virtoba X5はヘッドバンドを備えているため、頭に固定することができる。以前紹介したサンワサプライの「400-MEDIVR3」は、ヘッドバンドを調整できず、しっかり固定できないため、手で支えて使う必要があった。しかし、Virtoba X5のヘッドバンドは、伸縮性があり、頭の左右上下をぐるりと囲い、マジックテープでのサイズ調整も可能で、頭の大きさに関わらず快適に被ることができる。
本機の視野角は120度と、数値の上ではOculus RiftやVIVEの110度よりも上。しかし、実際に視聴してみたところ、Oculus RiftやVIVEよりも視野角では、劣るように感じた。しかし、スマホのVRヘッドセットとしては、十分な視野角を確保していて、画質もキレイだった。
ちなみに本機はレンズ前のクッションが大きいため、眼鏡だと引っ掛かってしまい、入れることはできなかった。
だが本体の上部中央に、瞳孔間距離(IPD)を調整するダイヤル、左右には焦点距離を調節するダイヤルが備わっている。このダイヤルで調整することで、視力が0.01の筆者の目でも、ピントが合った状態で映像を楽しめた。人によっては乱視などにより、視聴が難しいこともあるだろうが、ある程度快適にVRコンテンツを楽しめそうだ。
音質は一般的だが一体感は◎
肝心のヘッドフォンの音質は、ソニーのカナル型イヤフォン「MDR-NWNC33」(4900円前後)を直接スマホに挿した時と比較。使用したアプリは、バイノーラル録音など、音にこだわっている「なごみの耳かきVR」。本アプリは、その名のとおり、なごみちゃんに膝枕してもらい、耳かきしてもらうというもの。そのため、寝転がる必要があるのだが、Virtoba X5は頭に固定できるため、両手を使うことなくリラックスできた。
ただ、やや音がこもって聴こえたのは残念。雑味があるなどの粗悪感こそなかったが、声を聴く分にはふつうといったところ。しかしながら、MDR-NWNC33などの一般的なイヤフォンを使ったときのように、ケーブルに邪魔されることがないので、VRに没入する点では、ヘッドフォンが備わっている点は、うれしいところだ。
また本体下部には、半円を倒すことで音量の調整が可能なレバーと、画面をタップするボタンを備えている。ボタンは、タップする場所を指定できるわけではないので、現状ほぼ意味をなさないが、音量調整レバーは、VRヘッドセットを被ったまま、自分好みの音量に調整できるので、結構重宝する。
Virtoba X5は、ウリのヘッドフォンこそ平凡だが、この価格帯なら納得できる。簡易的なVRヘッドセットのなかには、手で支えなければならないモノもある点を考えれば、ヘッドフォン付きで頭に固定できて2000円台前半の価格はお買い得。手を使わずVRが視聴できて、音質は気にしないという人になら十分オススメできる一品だ。