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超高性能GPSで作る空の道の精度は数cmオーダー!

空の安全を確保する飛行機「チェックスター」を見に行った

2016年12月24日 12時00分更新

文● 藤山 哲人 編集●北村/ASCII.jp

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これであなたもチェックスター博士!
全アンテナをまるっと紹介!

 いろんな無線機器を調べるチェックスターだけに、機体に搭載されているアンテナの数が旅客機以上にパネェ。なので、1個1個のアンテナを解説しているサイトは、世界中を探してもほとんどないと思うので、無線技師の小黒さんに、全部教えてもらった。

コクピット上にある右側の平たいアンテナはGPSアンテナ。その左にある羽の形をしたのがトランスポンダ(飛行情報などのデジタル情報リンク用)用のアンテナ

トランスポンダのさらに後ろにある平たいアンテナは、TCASと呼ばれる「空中衝突防止装置」用アンテナ。近くを飛行する飛行機に自機の高度と進行方向を知らせ、互いに衝突する危険性がないかを判断する。もし進路が交わる場合は、自動的に回避行動を取る安全装置

羽根型で1本飛び出ているいかにもアンテナ!っていうのは、通信用のVHFアンテナ。地上にいるときは高さを稼げる屋根のアンテナを使う。電車の先頭車の屋根上にもよく付いているヤツ

赤いロゴの上にあるのは、GPSアンテナを補強するOmniSTARの電波を捕らえるアンテナ。これでGPSの精度は20cm以内となる!

機体後部のアンテナは、右がVHFアンテナ、左がVHFとUHF共通のアンテナとなる。VORやDMEなどを捕らえる

機体屋根と尾翼に張っているロープのようなものは、遠距離通信用のHFアンテナだ

下に回ってコクピット足もとには、トランスポンダ

ノーズギア(車輪)後ろは、地上に向けたVHFアンテナ

TACANと呼ばれるVOR/DMEの進化版マーカー受信用で左右で遂になっている。もともとアメリカ軍が使っていた方式なので、和名は「戦術航法装置」と物騒なものに

羽の付け根下の機体ほぼ中央にあるのは、マーカー用アンテナ。着陸時に空港からの距離を測定する

こちらも衝突回避用のTCASアンテナ。自分より下にいる飛行機と通信する。その後ろに見えるのは、アンテナでなく排水口。左上のLEDライトは、着陸時に灯すランディングライト

データリンク用UHFアンテナ。GPSの精度を高めるOmniSTARでは20cmほどの誤差まで精度を上げたが、これをさらに補強する地上とのデータリンク(RT測位)を使って、数cmの誤差まで精度を高める。移動しながら測定するため、その移動距離やドップラー効果もジャイロで補正するという

最後尾についている地上向けVHFアンテナ2本と、それにはさまれたアンテナに見間違える排水口

垂直尾翼の左右についているILSのローカライザーアンテナ。これで滑走路中心への電波をキャプチャー!

ちなみにこれはアンテナじゃないけど、電波を地上に向けて発射し、跳ね返ってくるまでの時間を調べて高度を調べる電波高度計

空の基盤を作り空の安全を担保するチェックスター
それは仕事でなく愛情のような姿勢の上にあった

 誰にも見えない裏方で、もくもくと飛行機の安全運航を支えるため、日夜電波の道をメンテナンスするチェックスターのクルーたち。当たり前の空の安全は、たくさんの人々の日々の仕事の積み重ねで確保されていることに感謝したい。

 なにより驚いたのは、国土交通省なのにお役所じゃないところだ(失礼!)。今回取材させていただいた皆さんは、空や飛行機や無線が大好きで、とかく「仕事」としてやってしまう緻密で面倒な検査を、「まるで趣味のように嬉々として」やっているところだ。筆者はヒコーキマニアでもあるため、取材と趣味の話がごっちゃになって、今年一番慌しいインタビューになってしまった。

 最後にいい意味で、国土交通省らしくない「チェックスター」のPV(出典:国土交通省)を見て欲しい。管制の声も入っているので、左下の英字幕を読むとよく分かる。

 年末に飛行機で帰省する人は、cmオーダーで飛行機が飛んでいるということや、離着陸経路に注目して乗ってみて欲しい。そこには新しい「飛行機」を見つけられるだろう。

【取材協力】

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