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Dell/EMC統合後初のプライベートイベント、「Dell EMC World 2016」レポート

「“次の産業革命”を支えるインフラを提供」マイケル・デル氏

2016年10月21日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 10月18~20日、米テキサス州オースティンで「Dell EMC World 2016」が開催された。9月のEMC合併完了と「Dell Technologies」グループの発足以後、初めての開催となる同イベントにおいて、同社会長兼CEOのマイケル・デル氏が基調講演に登壇し、企業のデジタルトランスフォーメーションをどのように支えていくのかを語った。

Dell Technologies 会長兼CEOのマイケル・デル(Michael Dell)氏

メイン会場はオースティンコンベンションセンター

Dell Technologiesグループが誕生

 9月7日(米国時間)に完了した合併と新会社(Dell Technologies)設立によって、Dell Technologies傘下にはPC/シンクライアントのDell、サーバー/ストレージ/コンバージドインフラのDell EMCをはじめ、Pivotal、RSA、SecureWorks、Virtustream、VMwareの各事業ブランドが、それぞれの独立性を維持した形で名を連ねることになった。

Dell Technologies傘下には、Dell、Dell EMC、RSA、SecureWorks、Virtustream、VMwareの各ブランドが独立した形で入る

 合併完了を受け、今年のDell Worldは「Dell EMC World」という新たな名称で開催された。“第1回目”となるDell EMC Worldには、87カ国からおよそ8000人が参加している。デル氏によれば「参加者の7割が(Dell Worldには)初参加」とのことで、EMC側の顧客やパートナーも多く参加したことを伺わせる。

 デル氏は、合併により誕生した「世界最大のテクノロジープライベートカンパニー」Dell Technologiesのあらましを紹介した。20分野のガートナー マジッククアドラントで「リーダー」ポジションを獲得しており、2万件以上の特許知財を持ち、年間45億ドルのR&D投資を行っている。効率の良いグローバルサプライチェーンも有しており、プロフェッショナルサポート網は165カ国、6万人を抱えることになるという。顧客層も拡大し、Fortune 500企業の98%が同社の顧客だ。

データセンター、働き方、セキュリティの変革を幅広いポートフォリオで支える

 今回のDell EMC Worldのテーマは「Let the transformation begin.」、つまり「トランスフォーメーション(変革)を始めよう」と呼びかけるものだ。

オースティン空港にも「Let the transformation begin.」の広告が。なおDell Technologiesのコーポレートカラーは“朝焼けの色”だという

 最近では、あらゆる業界で「ビジネスのデジタルトランスフォーメーション」の必要性が叫ばれるようになっている。デル氏は、企業がデジタルトランスフォーメーションを実現していくためには、「データセンターの変革」に加えて「ワークフォース(働き方)の変革」「セキュリティの変革」の3つが必要であると語り、Dell Technologiesが持つ幅広い製品/サービスポートフォリオを通じて、それを支援していくと説明した。

 「データセンターの変革」については、データセンターインフラ製品の新たなブランドである「Dell EMC」が誕生し、このブランドの下で両社(そしてVMwareなどのグループ企業)のイノベーションを結集した製品/サービスの提供に取り組んでいく方針をあらためて強調した。

 製品関連の新発表においても、まったく新しい製品というよりも、両社製品/テクノロジーの統合を進めた発表が目立った。たとえば、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)の「VxRail」および「VxRack System 1000」では新たに「PowerEdge」サーバーを採用したほか、PowerEdgeサーバーをサポートするバックアップストレージ「Dell EMC Data Domain」の仮想アプライアンス版(ソフトウェア版)のリリース、「Dell SCシリーズ」ストレージにおけるEMCストレージソフトウェア群への対応などがある(製品関連の新発表詳細は、稿を改めて紹介したい)。

PowerEdgeベースで生まれ変わったHCI製品「VxRail」

 デル氏が特に強調したのは、プライベートクラウドと複数のパブリッククラウドとを使い分けるハイブリッドクラウド戦略の重要性だ。

 「クラウドとはあくまでも『ITの運用モデル』のことであり、(リソースやデータをどこに置くかという)『場所』のことではない。パブリッククラウドの進化は目覚ましいが、『パブリッククラウドのみ』を使うという戦略は、(SoR/モード1システムのような)予測可能なワークロードに適用する場合は競争力が弱まると考えている」(デル氏)

 ハイブリッドクラウド導入と成功への道筋は、3ステップで進むとデル氏は説明する。「インフラとアーキテクチャの『モダナイズ(近代化)』」、「デリバリと管理のプロセス『自動化』」、「クラウドサービス提供者としてのIT部門の『変革』」の3ステップである。そして、IT部門のこうした動きをサポートするのが、それぞれDell EMC、VMware、Virtustreamの各製品/サービスだという。

Dell EMCがインフラの「モダナイズ」を、VMwareが「自動化」を、そしてVirtustreamがIT部門の「変革」を、それぞれ支援すると述べた

 もっとも、先ごろ発表された「VMware Cloud on AWS」VMwareとIBMの戦略提携、さらにAzure上のPivotal「CloudFoundry」といった動きに象徴されるとおり、特にパブリッククラウド領域においては、顧客が幅広い選択肢を享受できることが最優先の要件であることも付け加えた。

 データセンターの変革と同様に、「ワークフォースの変革」についてはDellブランドのクライアントソリューション群が、また「セキュリティの変革」についてはRSAやSecureWorksの製品群、そしてVMwareの「AirWatch」が、顧客のトランスフォーメーションを支えていくと紹介している。

 「Dell EMCをひとことで言えば、『次の産業革命を支えるインフラを提供できるITプロバイダー』だ。デジタルトランスフォーメーションを、ぜひとも牽引していきたいと考えている」(デル氏)

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