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PROGRAMMING 転職・独立しようかなと思っているエンジニアに役立つ知識をシェアしよう ― 第4回

失敗しない独立のために会社員時代にやるべき3つのこと

2016年09月15日 13時00分更新

大滝由子

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就職して3年が過ぎ、「そろそろ辞めどきかな」「この仕事をずっと続けられるのかな」と感じているエンジニアのために、転職と独立に役立つ「技術以外」の知識を紹介。派遣エンジニア、外資ITベンダーでトレーニングマネージャー、IT業界専門のベンチャーキャピタリストなど、IT を軸に多彩なキャリアを持つプロコーチの大滝由子さんが解説します。
今回は、起業・開業の仕事の決め方と、会社員のうちにやっておくことを紹介します。(編集部)

「やりたくないこと」から「やること」を決める

「自分が今やっている仕事は本当に自分が心からやりたいことではないのでは?」
「後悔のない人生を送るには本当にやりたいことを仕事にすべきでは?」
「自分にとっての天職はなんだろうか?」

キャリアについて悩む人へのコーチングの場面で私がよく耳にするのがこんな言葉です。

独立・開業を考えている人でも、いざ実行に移すとなると、

「自分自身でビジネスをするほど好きな仕事とか職種なんてないなぁ……」

といった具合に、何を仕事にするか悩んでしまう人が少なくありません。

どうも多くの人は頭の中に漠然と「天職」という概念があって、「天職」が見つかると自分の才能がガーッと開花し、活躍できるはずだ、というイメージを持っているようです。

「天職」見つけ出して独立したい気持はよくわかります。しかし、「天職」というものがあるのかどうかは古今東西、誰からも証明されていませんから、「天職」というキーワードにとらわれずにやりたい仕事を考えてみましょう。

「やりたいことが見つからない」「何を仕事にするべきかわからない」方におすすめなのが、次の2つの作業です。

  1. 「やりたくないこと」を書き出す
  2. 「どんな暮らしがしたいか」を書き出す

まずは「やりたくないこと」を書き出しましょう。

  • 満員の通勤電車に毎朝乗るのが嫌だ
  • 生産性の低い意味のない会議に出るのが嫌だ
  • スキルアップの機会がないプロジェクトに割り当てられるのが嫌だ
  • 尊敬できる人のいない職場で働きたくない
  • 意味のない付き合い残業をしたくない
  • 得ることがまったくない職場の飲み会に参加したくない

など、今の職場で常日頃思っている不満を挙げます。

次に、「どんな暮らしがしたいか」を書きます。壮大なことから細かいことまで、粒度を気にせずに書き出します。できるだけリアルに描写するのがよいでしょう。たとえば、実際のコーチングの場面では以下のようなことが挙がっていました。

  • 1500円のランチを躊躇なく食べたい
  • ランチの後は、ゆっくり座ってタバコを吸いたい
  • 帰った時に玄関がスッキリしていて欲しい
  • ベッドメイキングしてあるベッドに眠りたい
  • 夏休みは2週間とりたい
  • 海外のオフィスで仕事をしてみたい

パーソナル・コーチングのセッションでは、このリストについて優先順位をつけたり、すぐに実現できそうなものを探したりと深めていきますが、ここでは単純に書き出すだけで十分です。

この2つのリストを目につくところに貼って、毎日目を通しましょう。

「やりたくないことリスト」「自分好みの暮らしリスト」を日々意識すると、あなたの潜在意識がどうすればこのリストにある嫌なことを避け、自分好みの暮らしができるかを考え、日々の暮らしや読み物などからヒントになるものを探しはじめます。

何かを見たり聞いたりしても、「あ、これならできるかも」「こういうことをやってみたいな」と直感が働くようになります。コーチングで見ていると、不思議なことに自分の潜在意識が動き出すと思わぬところから、仕事についてのお声がけがあることが増えるようです。

独立・開業に年齢制限はありませんから、時間をかけてやりたい仕事をじっくり考えましょう。

「自分好みの暮らしリスト」のような小さな目標や夢を書き出し、3年後ぐらいにそのリストを見なおしてみると、リストに書きだしたものが実現されていることが多いです。私自身も数多く体験していますし、コーチングのクライアントや成功者からもたくさん聞いています。

「自分好みの暮らしリスト」について興味のある方は、ぜひ「夢は、紙に書くと現実になる! (PHP文庫) ヘンリエッタ・アン・クロウザー著」を読んでみてください。

会社員の間に忘れずにやっておきたいこと

会社員として働くことの大きなメリットに、社会的信用があります。1つの会社に長く勤めることが日本では大きな信用となります。大手企業ならなおさらです。逆に、自分でビジネスを始めてからの数年間は社会的信用を得ることが難しいので、次の2つは会社員のうちにやっておくことをおすすめします。

1.クレジットカードを作る

最低1枚はクレジットカードを作ること。固定収入のないフリーランスや起業して間もない経営者はクレジットカードの新規作成が本当に難しいです。

今はさまざまなクラウドサービスが開業をサポートしていますが、クレジットカードが必要なことがほとんどです。また、海外ではクレジットカードがないとあらゆる面で不便です。会議出張や旅行の機会は、いつやってくるかわかりません。海外で広く取り扱われているVISAもしくはマスターカードを1枚持っておくことをおすすめします。

2.住宅ローンを組む

人生設計で住宅ローンを利用する予定があるなら、信用のある会社員のうちに済ませておくことをおすすめします。

自分のビジネスをスタートしたばかりだからといって住宅ローンが組めないわけではありませんが、膨大な書類を用意して、ローンを返せる人材であるとプレゼンテーションする必要があります。会社員なら所定の用紙に記入して出せば済むのです。

さらに余力があれば、連載第2回で紹介したブログを開設するなど、会社員として本業に支障がない範囲で準備をしておきましょう。独立・開業後が随分と楽になります。以下は特におすすめです。

  • さまざまなクラウド会計サービスがありますが、簿記の知識を身に付けてください。簿記3級レベルでも十分役立ちます。
  • やろうと考えているビジネスを少しずつ副業でスタートしてください。私は、当初コーチングのビジネスを副業でスタートし、正社員プラス個人事業主で始めました。需要がある仕事なのか? その中でやっていけそうか? 試してみてください(事前に勤務先の就業規則は確認しましょう)。

開業後、最初のお客さまはあなたの仕事ぶりを見たことがある人です。会社員で働く毎日はとても重要です。取引先だけでなく、同僚、上司、部下あらゆる方面から信頼される仕事をしましょう。

次回は最終回。独立と起業どちらを選ぶべきか、自分のビジネスを軌道にのせ、それを継続するために心がけることはどんなことかを私の経験を踏まえて紹介します。

著者:大滝由子

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1971年生まれ。派遣社員からキャリアをスタートし、ベンチャー企業に勤務する途中、チームマネジメントの難しさとリーダーシップのあり方に悩んだところでコーチングと出会い、 2003年9月よりプロコーチとしてコーチングサービスを提供開始。その後外資系IT企業やベンチャーキャピタルなどにマネージャーとして勤めるも、組織で働くことにあまり面白さと特段のメリットを見いだせず独立し現在に至る。

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