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マイクロソフト・トゥディ 第195回

Windows ストア、Win7の「Windows 10強制アップデート」で普及を狙う

2016年06月06日 10時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉

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Windows 10へのアップグレードを強く推奨する理由

 日本マイクロソフトが、Windows 10へのアップグレードを強く推奨するのには理由がある。

 ユーザーにとっては、これまで使用していたWindows 7やWindows 8.1に比べても、同じPCを使用していながら起動時間が短縮。さらに、ウェブブラウジングの高速化といったパフォーマンスも向上するというメリットが享受できる点がそのひとつだ。また、常にセキュアな環境が提供されるというメリットもある。

 そして、Windows 10は、最後のメジャーバージョンアップと言われており、今後の機能強化は、Windows 10をベースに行なわれることになる。

 7月にも公開される「Windows 10 Anniversary Update」をはじめ、今後提供される最新機能はすべてWindows 10上で提供されることから、今、無償でWindows 10にアップグレードしておけば「Windows as a Service」という考え方のもと、最新の機能が常に利用できるというわけだ。

Windows ストアを通じて、安定的な収益モデルを確保する

 一方で、マイクロソフトにとっても、多くのユーザーをWindows 10にアップグレードしておきたい理由がある。

 サポートコストの低減や、最新技術を体験してもらうことで、新たなPCへの買い換えを促進するなどの理由があるが、なかでも最大の理由は、Windows ストアを通じて最新アプリ/コンテンツを販売する仕組みについて構築を急ぎたいという点が挙げられるだろう。

 Windows ストアは、Windowsアプリやコンテンツなどを購入できるマーケットプレイスだが、最も普及しているとされるWindows 7では、Windows ストアから提供されるWindowsアプリを購入するといった使い方ができない。だが、Windows 8.1以降であれば、Windows ストアで、Windows対応アプリを購入するといった提案が可能だ。そして、Windows 10では、UWPアプリを入手できるようになる。

 Windows ストアを通じたアプリの販売によって、サードパーティが開発した製品でも、マイクロソフトには3割の販売手数料が手に入る。言い換えれば、マイクロソフトがWindows ストアを通じて安定的な収益モデルを確保するには、Windows 7のユーザーをいかにWindows 10に移行させるかが重要な鍵になるのだ。

 マーケットプレイスを通じた収益モデルは、アップルがAppStoreで、グーグルがGoogle Playで成功しているビジネスモデルだ。つまり、モバイル時代、クラウド時代の収益モデルの構築に一番遅れているのが、マイクロソフトのWindows ストアということになる。

 マイクロソフトでは、2018年頃までに、全世界で10億台のWindows 10搭載デバイスを普及させたいとしているが、この環境をいち早く確立することが、アプリで安定的に収益を確保するためのポイントだ。

 マイクロソフトは、UWPアプリの増加に向けて、各種施策に積極的に取り組んでいる。マルチプラットフォームで、ネイティブモバイルアプリを開発するためのXamarinもUWPアプリを増やすための重要な施策になる。

 無償アップグレードの仕組みがある今こそ、Windows 7ユーザーをWindows 10へとアップグレードさせることが、マイクロソフトにとっては将来に向けたビジネス基盤を構築するための最大のチャンスといえるのだ。


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