スプリントはかつてのソフトバンク
ニールセンが行なったLTEダウンロード実効速度テストでは、スプリントが全米でナンバーワンになったという。ニューヨーク、シカゴといった主要都市でも、最も速いのがスプリントだったという。
「かつて日本でもソフトバンクのネットワークはつながらないと言われ、Twitterにも書かれた。いまに見ていろと思ってきた。だが、つながるようになってもなかなか信じてもらえなかったが、いまでは世界一モバイルネットワーク環境に優れた日本において、最もつながるネットワークがソフトバンクモバイルになったといえる。スプリントも、かつてのソフフトバンクモバイルと同じ状況。これからスプリントのネットワークは、さらに改善していくことになる」と、ソフトバンクがモバイルキャリア事業に参入した当時の日本と同じ状況にあることを示す。
こうも語る。
「昨年前半には、T-Mobileの買収を断念したこともあり、スプリントのビジネスは遠くて、苦しくて、長い戦いになるとはっきりと申し上げた。だが、いまは自信を持って戦えると言えるところまできた。これは大いなる前進である。スプリントが最終黒字になるのも近い。2015年度と2016年度の2年間で、EBITDAを約4000億円改善していくことになる。私のプライドに賭けてV字回復を実現してみせる」とした。
さらにこんなことにも言及してみせた。
「最近の新聞、雑誌の記事には『スプリントで苦しんでいるソフトバンク』、『海外で苦戦しているソフトバンク』という枕詞がつくことが多い。これからは、みなさんが枕詞を少し変えようと思うようになってくるだろう。必ずそうしてみせる」
T-Mobileの買収断念後、スプリント買収について、初めて強気の姿勢を見せたといえよう。
国内のネットワーク設計も真剣に見直した
2つめは、国内の通信事業がフリーキャッシュフローを創出しはじていることだ。
孫社長は、国内通信事業で営業利益が増加するとともに、フリーキャッシュフローがコンスタントに4000~5000億円が稼げる状況になったことを示し、「売上高に対するフリーキャッシュフローは世界中を見渡しても高い企業であるといえる。この数年間、設備投資を行なってきたが、それも設備投資のピークは過ぎた。また、サービスARPUが増加し、さらにソフトバンク光でも利益を確保できる状況になってきた」とする。
とくに今回の会見では、熊本地震の状況についても触れた。
「東日本大震災のときには、ソフトバンクは900MHzの許認可を得ていなかったこともあり、ネットワークがつながりにくい状況にあった。もしつながっていれば、亡くなった命を少なくできたのではないかという責任も感じた。その後、一直線に設備投資を行ない、ネットワークの設計も真剣に見直した。熊本地震では最初にネットワークが全面復旧したのがソフトバンクモバイル。東日本大震災での責任を痛感したことを行動、実績で示した。また、鉄塔が倒れても気球に通信機器をつけて、空から電波を中継するといったことも行なった。また、日本では移動ネットワーク接続車を圧倒的な数で所有している。他社の10倍ぐらい持っているのではないだろうか。この7~8年で、大規模なネットワーク障害を起こしたことがないのはソフトバンクだけである。ネットワークを真剣に守っているかがわかってもらえるだろう」と語った。
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