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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 ― 第146回

新しいモバイルOSが明暗、Ubuntuのブースは大きく、JollaとMozillaはなくなった

2016年03月10日 10時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII.jp

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 今年も2月末にスペイン・バルセロナで「Mobile World Congress」が開催された。来場者は前年から6%増えて10万人の大台越えを達成。経済効果は4億6000万ユーロ(約580億円)とのこと。

 バルセロナのレストランやバールやホテルや民泊の関係者はきっと大喜びだろうが、一方でバルセロナ交通局はストを決行するという事態に(そのぶんタクシーは大繁盛。ちなみにスペインではUberは禁止)。それでも敷地面積11万平方メートルの会場、「Fira Gran Via」には2200社以上の出展社で埋め尽くされるなど大盛況だった。

MWCでのUbuntuブースはサムスンやファーウェイといった大手メーカーが陣取るホールに出展していた

端末メーカーの個性を感じたMWC

 今年は5G、IoTなどネットワーク側が中心だろうと端末にあまり期待をしていなかった。だが、フタを開けてみると端末も面白かったというのが印象だ。

 LGはMWCでフラッグシップを持ってきただけでなく、モジュラーフォン(「LG G5」)が印象的。ソニーはXperiaブランドを周辺機器にも広げ、体験にフォーカスを移した。”スマートフォンの画面ばかりを見ていませんか?”というメッセージは、見方によっては皮肉だがライフスタイルを提案しようという姿勢が感じられた。

本体下部がもモジュラー式になっていて、パーツを交換できるLGのフラグシップ「G5」

 かと思えば、HuaweiはSurface Pro対抗のWindows 10タブレット「HUAWEI MateBook」を発表。このように発表内容だけみると業界の底力を感じるが、これが数字に結びつくかどうかはわからない。スマートフォン市場は2015年に一桁成長に下がった。かつてのような成長は、(少なくとも)当分は望めないと言われているのだ。

ファーウェイはSurfaceと同タイプのタブレット型の2in1デバイスを発表

 こうしたMWCを彩った最新デバイスの話題はそれぞれの記事に譲るとして、姿を消したものもある。本連載でも何度も紹介してきた”新しいOS”、つまりAndroidとiOSに代わる選択肢を目指して立ち上がった新しいプラットフォームのうち、「Firefox OS」のMozillaはブースを構えず、「Sailfish OS」のJollaも自社がホールで製品を展示することはなかった。

 Mozillaは既報の通り、2月に正式にFirefox OSのスマートフォン向けの開発を終了することを発表した。今後はIoT向けにフォーカスすることになり、会期中はFirefox OSですでに協業関係にあるパナソニックが最新の「4K UHD LED VIERA TV」でFirefox OSを採用するという発表があった。

 MozillaにMWC期間中取材を求めたが、「パートナーオペレーター経由で新規スマートフォンのリリース予定がないため、Mozillaは出展しない」という回答だった。MWCでは商談エリアに担当者を置くにとどまったようだ。

今年のMozillaは出展はなし

好材料はあれど、雰囲気は暗かったJolla

 つづいてJollaは2015年末に一時解雇を発表するなど財政難に陥っていた。その後に資金調達に成功したとのことだったが、今年はブースはなし。2年前にホール1にブースを陣取り、昨年はタブレット「Jolla Tablet」まで見せていた(しかも、Jolla TabletはBest Tablet of MWC 2015も受賞している)ことを思い出すと、1年でこれほど変わるのかと思ってしまった。今年は会場近くのホテルでプレス発表会を行ない、取材は上記のMozillaと同じ会場内の共通の商談エリアのようなところで対応してくれた

 プレス発表会ではやっとSailfish OSを搭載したスマートフォンが他社(インドのIntex Technologies)から登場するメドがたった。その名も「Aqua Fish」。Intexによると、4~5月に販売開始という。これに加え、アフリカのメーカーmi-Foneも新たなOEMとして発表された。

 ここまでは予想の範囲だったのだが、Jollaの発表会では驚きもあった。個人的に気になっていたモジュラーフォンのFairphoneが正式にSailfish OSの採用を発表したのだ。Fairphoneは以前にも本連載で取り上げたように、パーツを付け替えられるモジュラーフォンとして最初に市場に登場したスマートフォンだ。

モジュラースマホの「Fairphone 2」での採用を発表。“真にオープンなOS”という要素で生き残りは可能だろうか

 その起源が”スマートフォンを作ろう”ではなく、フェアトレードというユニークなグループだ。これまではAndroidを利用していたが、「OSにも透明性を」とSailfish OSを求める声があり、2015年後半に出荷を開始している「Fairphone 2」で今後Sailfish OSも選べるようにするという。

 このようにいくつかの良いニュースはあるが、Jollaの人たちと話をしていて重たい雰囲気があるのは否めなかった。「独立したOSが必要」という根強い信念とともに、「BRICsの市場を重視」というのが成功(生き残り)の方程式には見えない。

 BRICsと言っても、当初狙っていた中国市場での展開がいまだ実現していないし、Sailfish OSの斬新なUIがこれらの市場向けといわれてもピンとこない感がある。Firefox OSもやはり新興国市場を狙っていたが、うまくいかなかったという前例もある。

 ちなみにMWCの会場で、Jollaの顔だったMarc Dillon氏に会った。Jollaの共同創業者でCOO、CEOを務めた時期もあった、同社にとっては重要な人物だ。Dillon氏は2015年9月にJollaを去っており、フィンランドでバッテリー関連のベンチャーを立ち上げている。Jollaの将来について意見を求めると、かなり厳しい見解を示していた。

 なお、プライバシースマホ「Blackphone」のSilenct Circleも今年は出展なしだった。

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