このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第337回

Kabylakeは2016年8月末に投入 インテルCPUロードマップ

2016年01月04日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 皆様、新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 スーパーコンピューターの系譜は少し休憩させていただいて、その間に主要な製品ロードマップのアップデートをお届けする。今回はインテルのCPU編である。前回は8月だったので4ヵ月ぶりになるが、実はあまり情報そのものは変わっていない。

2013年~2016年までのインテルCPUロードマップ

Skylakeは動作周波数を上げるために
パイプライン段数を増やした可能性アリ

 まずはCore i7 Extremeからになるが、これに先立って少しSkylakeコアの話をしたい。前回、HaswellとBroadwellコアを比較した上で、現在のインテルの14nmプロセス、つまりP1272はSoC向けで、動作周波数が低いところでの消費電力は下がるが、その反面高速動作をさせにくい(急激に消費電力があがる)という話をした。

 この際に、高速動作向けのP1273が登場すれば動作周波数が上げられるだろう、と予測をしたのだが、これが間違いであった。

 なにが間違いかというと、このP1273にあたる「High Speed Logic向け14nmプロセス」は、どうも2015年の比較的早い時期に開発が放棄された模様だ。つまり14nmを利用する製品はすべて、現在のP1272でなんとかしないといけない。

 そしてSkylakeではなんとかなってしまった。実際のところ、例えば「Core i7-6700K」なら定格で4GHz、ターボブーストでは4.2GHzまで引き上げられる。

 なぜこれが可能になったかというと、諸々考えた結果としての筆者の結論は「CPUパイプラインに手を入れた」である。要するにパイプライン段数を少し増やし、パイプラインの中でクリティカルだった部分を緩和したことで、動作周波数を引き上げられたとみている。

 古いところではPentium IIIが180nmプロセスで1.13GHzそこそこだったのが、Pentium 4で2GHzまで引き上げできたというアレである。

 もちろんPentium 4のようにダイナミックに段数を増やしたわけではないため、動作周波数の上がり方も緩やかであるが、それでも「Core i7-5775C」が定格3.3GHz、ターボブーストで3.7GHzどまりだったから、それなりに性能の底上げに貢献したことになる。

 もっともその代償は、消費電力の増加である。下のグラフは、現在発表されているすべてのHaswell/Broadwell/Skylakeのコアについて、横軸を定格動作周波数、縦軸にはTDPをコア数で割ってプロットしたものだ。

BroadwellとHaswellの消費電力分布図

 離散的になっていてわかりにくいのだが、近似曲線を見ていただくと、BroadwellとHaswellは非常に似た傾向で、ただしBroadwellの方がTDPが低くなっている。問題はSkylakeで、2.5GHzあたりからBroadwellを超えて消費電力が増え、4.7~4.8GHzあたりでHaswellとも交錯しそうな勢いである。

 なぜBroadwellとSkylakeが同じ14nmプロセスなのに、これだけカーブが違うかといえば、もちろん細かく改良はあるのだが、基本的なところはパイプライン段数が増えたことによる消費電力増加がその理由と思われる。

Core i7 Extremeの最上位は
10コアの「Core i7-6950X」

 話をCore i7 Extremeに戻そう。実は一時期、Broadwell-EのベースになるXeon E5向けのBroadwell-EPや、Xeon E7向けのBroadwell-EXをキャンセルしてSkylakeに移行するという計画が持ち上がっていた。

 ところが最終的にこれはなくなり、きちんとBroadwell-EP/EXを挟むことになり、Skylake-EP/EXは2017年度に持ち越しになった。

 理由は比較的簡単で、動作周波数そのものを3.5GHz以上にしたいのであれば、BroadwellベースよりSkylakeの方が有利である。ところが3.5GHz以下がメインになる場合、Broadwellベースの方が消費電力が少なく、しかもCPUコアのエリアサイズも微妙に小さいために有利となる。

 昨今のXeonの場合、動作周波数を引き上げた製品よりも、コア数を増やした製品の方が売れ行きが良い状態であり、この観点で言えばSkylakeベースよりもBroadwellベースの方が製品として良いことになる。

 Skylake世代では別の付加価値をつける形で差別化が図られる予定であるが、このようなことから、Broadwell-Eが再び復活することになった。

 ただし投入時期は当初予定されていた2016年第1四半期からややずれて、2016年の6月になりそうである。

 トップエンドは10コアの「Core i7-6950X」となる模様。動作周波数は3GHzとやや控えめである。10コア20スレッドを誰が使うんだ? という気もするが、世の中には24コア48スレッドのマシンを自腹で構築した逸般人もいるので、それなりに需要はあるのかもしれない。

 この6950Xのほかに、6/8コア構成の6800K/6850K/6900Kも予定されている。スペックは下記のとおり。

CPUのスペック表
製品名 コア数 動作周波数 3次キャッシュ
Core i7-6800K 6 3.4/3.6GHz 15MB
Core i7-6850K 6 3.6/3.8GHz 15MB
Core i7-6900K 8 3.2/3.7GHz 20MB

→次のページヘ続く (Kabylakeは2016年8月末に投入

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン