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大手に訊くスタートアップ支援の狙い ― 第4回

世界を見据えて起業家の輪に入っていくJAL

2015年12月21日 16時00分更新

文● 中山智/ 編集●ガチ鈴木/大江戸スタートアップ 撮影●曾根田 元

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 大手企業によるスタートアップ企業への支援が加速している。直接的な投資や協業だけでなく、ピッチイベントの開催、イベントへの協賛、インキュベーションプログラム、アクセラレータープログラムの実施など。大手企業は何を狙い、スタートアップ企業へと近づくのか。

日本航空(JAL) 最終回(全4回)

 日本航空(JAL)は2014年6月に“JALチャレンジ宣言“を発表。この活動の一環として、「起業家の翼になりたい」と、スタートアップ企業のサポートを行っている。3回にわたって、スタートアップ支援の状況を伺ってきた。最終回も前回に引き続き、同社がスタートアップ企業からのアイデアを受けて、どのように活かしたいかをプロジェクトを担当している佐々木雄司氏に話を伺った。

プロジェクトを担当する日本航空コーポレートブランド推進部シチズンシップグループ 佐々木雄司氏

 日本航空としては、自分たちの発想にはないアイデアを期待しているのはもちろんだが、それ以外に「新しい人脈の輪に入っていけることが大きい」と佐々木氏は語る。実際にピッチイベントなどに参加して気が付いたのが、こういったイベントに参加する企業やグループがお互いに顔なじみで、いわゆる起業家同士の輪“アントレ村“として横のつながりも非常に強い。重要な情報がここにあると気が付いたのだ。

 人脈の輪の中に入ることで、アイデアの種の段階から企業に関わることができるため、より事業化が進めやすくなるというわけだ。そのため、意識しているのは「おもしろさのみならず事業化できる可能性も重要な要素」とのこと。

 また海外を飛び回っている起業家に対してもアピールできるように、「最近では海外事業者のイベントにも協賛している」とのこと。海外の企業や人財も歓迎し、グローバルな視線でのアイデアもしている。

フィンランドで行なわれたスタートアップイベント“SLUSH“

 実際に日本航空はフィンランド発祥のスタートアップの大規模イベント“SLUSH“のアジア版“SLASH ASIA”のサポーティング・パートナーとなっている。また11月にフィンランドで開催された本家の“SLUSH“にも、日本の起業家が海外の最新スタートアップ事情に触れられるよう起業家の移動をサポートしている。

 このようなSLUSHへの協力などをとおしてノウハウを積む一方、今後は自分たちでエアラインに特化したイベントなどの開催も視野に入れているという。日本航空にアプローチしたい企業にとって、より門戸を広く設定するつもりだ。

日本航空は、SLASH ASIAにサポーティング・メンバーとして参加している

 佐々木氏によれば、日本航空がスタートアップをサポートすることで日本航空のさまざまな部署を刺激する良いきっかけにもなっていると語る。現状ではスタートアップ企業のサポートとして、マイルやマイレージカードの提供を行なっているが、佐々木氏の部署がすべてを担当しているのではなく、それぞれの部署に協力してもらう体制だ。

 大企業の場合、こういった新しい活動には、動きの遅さや非積極的な面が多く見られる。その点について、佐々木氏は「日本航空は破綻を経験したことにより、企業として新しいことにチャレンジすることで、変化することを求めている。そのため、どの部署も積極的にスピーディに対応してくれる。また、起業家の「アイデア」のみならず、そのスピリット自体を感じることでより、さまざまなことにチャレンジしていける社内風土ができることを期待している」という。

■関連サイト
「チャレンジJAL」宣言

佐々木雄司氏(1987年11月25日生まれ)、2010年4月に日本航空株式会社に入社。JALスカイ・成田事業所での航空業務、総務部CSRグループを経て、現在コーポレートブランド推進部シチズンシップグループに所属。スタートアップ支援事業や折り紙教室などの事務局なども担当する

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