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山根博士の海外モバイル通信 ― 第263回

Windows 10 Mobile初搭載「Lumia 950/950XL」はノキアの歴史の産物だった

2015年10月19日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ゆうこば

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 Windowsスマホの動きが活発化しています。日本では「Windows 10 Partner Device Media Briefing」が開催され、国内6社が製品を開発中であることがアナウンスされました。一方、海外では10月7日に「Lumia 950XL」「Lumia 950」の2モデルが発表されています。実はこの2モデル、開発名には秘密が隠されていました。

もはや低スペックとは言わせない!超ハイスペックなLumia 950XL

 まずは、2機種のおさらい。Lumia 950XLはSnapdragon 810、ディスプレーは5.7インチ。Lumia 950はSnapdargon 808を採用し、ディスプレーは5.2インチ。どちらもメモリーは3GBに、ストレージは32GB、ディスプレー解像度は1440×2560ドット。メインカメラは2000万画素でカールツアイス製の「Pure-Viewカメラ」を搭載、正面カメラはセルフィーも十分楽しめる500万画素。外部端子はUSB Type-Cで急速充電に対応。さらに、ワイヤレス充電も可能、そして、Windows Hello用に赤外線カメラを搭載するなどスペックはてんこ盛り。「Windowsスマホはスペックが低い」というこれまでの定石を一気に打ち破るモデルとなったのです。

Lumia 950XL
Lumiaの2サイズ展開はすっかりおなじみ。5.2インチのLumia 950

 2015年3月発表の「Lumia 640」も画面サイズの大きい「Lumia 640XL」が用意されたように、マイクロソフトは旗艦モデルの2サイズ展開を積極的に進めているようです。iPhoneも今や2サイズが当たり前、消費者の多様なニーズに応えるためにはスペックの異なるモデルでバリエーション展開を図るだけではなく、上位モデルで複数の画面サイズを提供するのがいまやトレンドなのでしょう。ソニーモバイルのXperia Zシリーズは古くからコンパクトモデルを出していますし、サムスンもGalaxy Sシリーズでミニやプラスのモデルを出しています。

新型Lumiaの開発コード……どこかで聞いたことがある?

Lumia 950XLとLumia 950の開発名は「Cityman」、「Taklman」

 ところで各メーカーは新製品の開発時には開発コード名を付け、製品化の際に実際の製品名を決定する例が一般的です。Lumiaシリーズもノキア時代から各モデルには開発名がつけられていました。最近の例だとノキアの最初のAndroidスマホ『Nokia X』の開発コード名が「Normandy(ノルマンディー)」だったりと、曰くつきの開発名を持った製品もあります。さて、Windows 10 Mobileを搭載した最初のモデルとなるLumia 950XLとLumia 950にもそれぞれ開発名がありました。Lumia 950XLがTalkman、Lumia 950がCitymanです。最新モデルにしては何やら普通の名前、あるいは「man」というネーミングにどことなく古さを感じさせますが、そこには理由があるのです。

ノキア初のポータブル端末「Nokia Cityman」(右端)。「Nokia Taklman」(左端)は自動車電話サイズ

 この2つの開発名は、実はノキアの初期の時代の携帯電話の製品名なのです。まず、Citymanのほうは1987年に最初のモデルが発売された片手で持ち運びできるポータブルサイズの携帯電話。モトローラが1983年に発表した世界初のポータブル型携帯電話「DynaTAC」と同系のスタイルで、それまで出ていた本体と受話器がコードでつながったいわゆる自動車電話タイプの携帯電話にはないモビリティーを与えてくれた製品でした。Citymanはその後多数のモデル展開がされるほどヒットしたのです。

だいぶスマートになった1987年登場の『Mobira Cityman NMT900』

 Citymanで携帯電話の人気に火をつけ、その後ノキアは4ケタ型番のモデル展開を広げて2000年代頭にはトップメーカーへと成長していきました。つまりCitymanはノキアそしてマイクロソフトにとって携帯電話の元祖とも言える製品なのです。その名前を開発コードに付けられたLumia 950XLはWindowsスマホでシェア奪回を狙うマイクロソフトの意気込みが詰まった製品と言えるでしょう。

ノキア初の携帯電話は「Mobira Senator」。「Talkman」は同じシリーズ

 一方のTalkmanはCitymanよりも先に出たモデル。ノキア初の携帯電話「Mobira Senator」は1982年に発売された製品で、その翌々年には「Nokia Actionman」、「Nokia Talkman」と製品展開を増やしています。とはいえ、当時は1年に1〜2モデルが出る程度という古き良き時代でした。このTaklmanやSenatorは一応持ち運びができる携帯電話ですが、自動車に乗せて利用するのが現実的な大型のもの。それでも屋外や移動中に通話ができる画期的な製品だったわけです。

1980年代はまだNokiaとMobiraのブランドが混在していた

 Mobira Senetorは1モデル、Actionmanは2モデルに終わりましたがTalkmanはCityman同様多数のモデル展開がされ、本体+受話器ながら片手で持ち運べるコンパクトな製品も登場しました。CitymanとTalkmanはノキアの携帯電話事業の礎を築き上げたモデルであり、Lumia 950XLとペアで登場するLumia 950にTalkmanの名前が付けられたのは必然だったのです。

「Connecting People」の精神はいまも引き継がれている

ノキア全機種の博物館ページ「Nokia Museum」

 さて、筆者もノキアマニアとしてこれまで数多くのノキア端末、そしてマイクロソフトになってからのLumiaシリーズを購入して使い続けてきました。ノキアマニアとして全機種を買いそろえたいなんて夢もありますが大昔のモデルや最新Lumiaを全て買うのは不可能です。ということで、ちょくちょく訪れるのがノキアの携帯電話のほぼ全モデルの写真を掲載しているNokia MuseumというWebページ(http://nokiamuseum.info/)。古くからのノキアファンにとっては自分が使っていた懐かしのモデルを見ることができるでしょうし、最近のスマホユーザーの人にとっては世界最大メーカーだったノキアがどんな製品を出していたかをじっくりと振り返ることができます。

Windowsスマホがこれから楽しくなるぞ

 昔を回顧する内容になってしまいましたが、ノキアだってまさか1980年ころに携帯電話事業に特化して、その後世界シェア1位になり、さらにはマイクロソフトへ事業売却するだなんて思ってもいなかったことでしょう。ノキアのキャッチフレーズであった「Connecting People」世界中の人々をシームレスにつなぎたい、その思いが今のLumiaには引き継がれています。そんなLumiaの最新モデルを筆頭に、国内だけではなく海外でも多数のメーカーから今後Windowsスマホが多数登場してくるでしょう。2016年はWindowsスマホが面白くなる、筆者はそう断言したいと思います。

■山根康宏さんのオフィシャルサイト

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