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盛田 諒の「アスキー家電部」第1回

猫は「最高級のルンバ」に乗りたがるだろう

2015年10月01日 12時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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 猫はルンバの恩人だ。ロボット掃除機『ルンバ』に猫が乗っかり、リビングをすべるように移動していく。愛らしくもシュールな動画はYouTubeで1000万回以上もクリックされ、ついにはルンバのCMにも登場した。

 そんな猫は、ルンバ新製品の開発にも影響を与えたようだ。

「猫からヒントをもらったか? ──イエスです」

 ルンバ製品管理責任者のケン・バゼドーラ氏は言う。

 新製品『ルンバ980』は13万5000円のフラッグシップモデル。ルンバ上部についたカメラが画像認識によって部屋のレイアウトを把握し、同じく下部についたフロアトラッキングセンサーが動いた距離や方向を認識する。

 複数のセンサーを組み合わせたことで、ルンバは「すでに掃除を終えた場所」(自分が移動した場所)を正確に理解できるようになった。おかげで部屋の多い家でも効率的に掃除ができるようになった、同社究極の1台だ。

 意外なことに、複数センサー案のヒントになったのは「猫」だった。


iRobot『ルンバ980』(13万5000円)。カメラで部屋を認識する

猫が乗ってもちゃんと掃除ができる

 カメラセンサーは明るさの強度によって部屋の特徴点を把握している。しかしルンバにペットの猫が乗っかったり、物陰に入ってしまうと、カメラを使った正確なマッピングは難しくなってしまう。

 そのときもフロアトラッキングセンサーや段差センサーなど、ほかのセンサーを補助的に使うことで、ある程度のマッピングをして、きちんと掃除ができるようになる。バゼドーラ氏は“冗長性”という表現を使っていた。

「1つのセンサーだけに頼ってはダメ、ちゃんとした掃除はできない。これは10年以上も家を掃除してきたことで得られた、非常に重要な経験でした」

 どんな状況でもルンバが正常に動作するかは開発の焦点でもあった。

 まずは自社の実験室(ホームテスト・ラボ)、次に開発者の自宅、さらに社員の自宅、最終的に北米・欧州・日本でユーザーの自宅を使い、センサーとルンバの稼働状況について試験をくりかえしてきたという。

 価格を上げすぎないよう、スマートフォンよりも感度の低いカメラで認識できるようにアルゴリズムも考えられてきたそうだ。究極のルンバは、猫にも、環境の変化にも負けないセンサーの研究から生まれてきたわけだ。


ルンバ980はWi-Fiを通じてスマートフォンにつながる

ルンバはもっとスマートになる

 センサーといわれて頭に浮かぶのはスマートフォンだ。

 スマートフォンはGPSやジャイロなど複数のセンサーを搭載することで、さまざまなアプリを実現してきた。センサーを増やすことでできることの幅が広がり、精度も上がるロボット掃除機は、ポスト・スマートデバイス的な存在だ。

 じじつ、ルンバ980はWi-Fiを通じてインターネットにつながるなど、スマートデバイスに近いところがある。スマートフォンの専用アプリからルンバのスイッチをオンにしたり、スケジュール管理ができる。

 いまはまだ「プライバシーを重点的に考えている」(バゼドーラ氏)ということもあり、カメラがとらえている画像やマッピングデータはクラウドに送らない。あくまでシンプルな操作機能だけにとどめている。

 しかしiRobotは将来的にルンバ以外、たとえば家を守るガードロボットのような製品も、同じアプリ、サーバーでコントロールしようという計画がある。

 ロボットだけでは難しい要求も、クラウドサーバーならすぐに処理できる。将来的には、クラウドから的確な指令を出してルンバのようなロボットを動かすという流れも実現していきたいという。まさにスマートデバイスだ。

「ルンバ980によって、カメラもクラウドも使えるようになった。今後は音声で操作する可能性も考えたい。いまはまだ始まったばかりなんですよ」

ルンバ製品管理責任者のケン・バゼドーラ氏

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