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山谷剛史の「アジアIT小話」 第101回

中国で4~6画面のマルチディスプレーPCがバカ売れしている理由

2015年06月19日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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ミニPCでもマルチモニターが可能なモデルが!

 Atom搭載の超小型PCもオンライントレード人気によって注目されつつある。スマートフォンアプリでは見るにも注文するにも画面が小さくて不便なので、寝室や書斎にもう1台オンライントレード用のPCを購入しようというわけだ。

 今までメディアプレーヤー(中国ではHTPC、Home Theater PCという)としてミニPCが売られていたが、オンライントレードに使えるという触れ込みのほうが魅力的なのだろう。オンライントレード用ミニPCと呼ばれることが多くなった。

Giada(杰拓)の「G320」小型ながらCore i5搭載を搭載し、DisplayPort×6を擁す

立人の最新ミニPC「Mr.NUC」。Core i3またはCore i5搭載。本体サイズは幅118×奥行118×高さ51mm。上面のライトが7色に変わるなどデザインにもこだわる

 超小型PCは、日本で未発売の中国メーカー製含め、多くの製品から選択することができる。中国メーカーではGiada杰拓e-mini立人が面白い。

ZotacのZBOX MA760

 ミニPCというと、そのサイズからコネクター類はどうしても限定され、シングルモニターになるものばかりだが、日本でも超小型PCをリリースするZotacから、サイズはそのままに4画面出力(DisplayPort×4)を可能にした「Zotac ZBOX MA760」が、「Z股神机」(Zotacの神トレード機)として売られている。

 スペックは、CPUがAMD FX-7600、メモリーはDDR3 4GB、ストレージは500GB SATA、グラフィックスはAMD Radeon R7となっている。日本での発売も期待されるところだ。

バブルが崩壊したら中古市場はモニターだらけに!?

 過去にも2007年に中国株バブルはあったが、当時はマルチディスプレーで素早く株を買おうなんて話はなかった。

 スマートフォンはなく、インターネットがろくにできないフィーチャーフォンしかない時代。社会人は会社のPCでオンライントレードを行なったり(中国の中小企業では会社のPCに自由にソフトをインストールできる風潮がある)、昼休みにネットカフェに行っては株価をチェックしたりしていた。

いくつものウィンドウを開くわけではないようだ

いくつものウィンドウを開く、というわけではないようだ

 当時のパソコン誌で、トレーディング用のマルチディスプレーPCを推奨する記事など見たこともなかった。今や個人的マネーゲームのために、専用PCをはじめとした専用ネット端末を導入するのだから、彼らの金儲けのための投資もずいぶん増えた。

 2007年当時の筆者の周辺の中国人を見ても、何人もオンライントレーディングをはじめたが、株バブル崩壊で逃げ切れず涙を流している。

 株バブルが崩壊した後は、インターネット利用者がうなぎのぼりだったにもかかわらず、オンライントレーディングの利用者が減少した。儲からなくなると数千万人単位でサービス利用を停止する人が出てくるのは中国の特徴だ。

 2007年の上海株指数のピークは6100だったが、今回の株バブルはより多くのインターネット利用者が参戦し、2007年以上の数字を出すのだろうか。そしてバブル崩壊した後、中古モニターが中古PC市場で大量に投げ出されるのだろうか。気になるところである。


山谷剛史(やまやたけし)

著者近影

著者近影

フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場」「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立 」(星海社新書)。

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