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山谷剛史の「アジアIT小話」 第101回

中国で4~6画面のマルチディスプレーPCがバカ売れしている理由

2015年06月19日 12時00分更新

文● 山谷剛史

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電脳街では、マルチディスプレー対応PCがほしいといえば、相談に乗ってくれる

電脳街の店では、マルチディスプレー対応PCがほしいといえば、相談に乗ってくれる

 中国でスマートフォンがネットデバイスの主役になっていく中、PCでのマルチモニターが注目されている。

 マルチモニターニーズが出てきたと思えばデュアルモニターでなく、いきなりモニター4個(横2×縦2)だの6個(横3×縦2)だの言いだすメディアやユーザーが出てきて極端だ。

ビデオカード2枚挿しで6画面を実現するタワー型PC

ビデオカード2枚挿しで6画面を実現するタワー型PC

 6画面や4画面を売り出す目的として「仕事をより効率化!」とか「複数の監視カメラ画像を一括監視!」という触れ込みもあるが、それよりも「これであなたもオンライントレーダー!」がその理由だ。

 過去にはBitcoinが原因で、日本円で5桁後半の、中国の都市住民の平均月収の倍はするハイエンドGPU搭載のビデオカードが売れた時期がある(関連記事)。

 中国のITを振り返れば、一儲けできるか、面白いゲームが遊べるかで、ハードウェアが普及している。オンライントレーディングでハイエンドPCやビデオカードやモニターが売れてくるのは中国では「いつものこと」といえる。

 上海株指数が1年間で2000から5000へと2.5倍となり、中国株が中国人の間でホットな話題となった結果、2014年末でのオンライントレーダー数は7849万人にのぼる(今はもっと多いだろう)。

 13億人という人口の一部ではあるが、圧倒的な絶対数である。その多くがスマートフォンのオンライントレードアプリを利用しているわけだが、ごく一部の人々がスマートフォンでは遅くて不満だとばかりにPCやモニターを求めて、オンライントレードに特化したPCがオンラインショッピングサイトや電脳街などで売られるようになった。割合としては少ないが、絶対数としては結構な人数がマルチモニターに向かったのである。

 風が吹けば桶屋が儲かるというが、今の中国では株価が上昇続きなら、PCやモニターが売れるらしい。

 スペックは安定した動作のため、400W電源+タワー型ケース、それに8GBメモリーを採用。CPUにcore i7(Haswell)と、ストレージにSSD+HDDを採用するハイスペックモデルもある。

298元(約6000円)という出物も

298元(約6000円)という出物も

 値段はモニターレスで3000元台(6~8万円)から、モニター付きだと、21.5型モニターとモニターアームを4台分セットして7000元(14万円)、6台分セットで1万元(20万円)程度から購入できる。

 安定性を重視し、スペックに余裕を持たせているため、値段も少々高め。とはいえ依頼を受けてパーツさえ買ってくれれば、人件費無料で組立作業をするのが中国式だ。

ショップブランドPCはコストパフォーマンスの高いAMDも健闘している

ショップブランドPCはコストパフォーマンスの高いAMDも健闘している

 それにしてもこの価格設定でどうやって6画面出力を実現しているのだろうか。6画面出力できる製品といえば、イコールDisplayPort×6の製品であり、現行製品では10万円前後はするだろう「AMD Firepro W600」などの製品しかなく、これでは数万円のPCを組むことは不可能だ。

 ビデオカードを調べてみると(多くの製品は見せたがらないが)、ビデオカード2枚挿しのものもあるが、2010年にリリースされた「SAPPHIRE HD5870 eyefinity」(関連記事)が多く採用されている。

 当時はハイエンドビデオカードであったが、今であれば中国では1000元(約2万円)でお釣りがくる。旧世代の製品を活用することで、比較的安価に超広大解像度を実現しているのだ。

(次ページに続く、「ミニPCでもマルチモニターが可能なモデルが!」)

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