個別学習に近い指導ができ、結果もリアルタイムに分かる
では、なぜ、これほどの成果が、短期間にあがったのか。横尾市長はその点を次のように自己分析してみせた。
「ひとつは、個別学習指導ができるようになったという点。これまでの仕組みでは、どうしても全体学習指導にならざるを得なかったが、STUDYFITでは、それぞれの学習レベルにあわせた無駄のないスキルトレーニングが、きっちりとできるのが特徴。何度か現場を訪問したが、児童たちは、昨日までやったところの続きから、それぞれにスタートして、自らのペースで学習していた。
さらに、従来の教育手法では、テストを行ったあとに、教員が点数をつける作業を行い、翌日あるいは翌々日、場合によって翌週の指導になっていたが、STUDYFITは、リアルタイムでテスト結果が出るため、弱いところをその場でサポートできる。これがよかったのだろう」
授業に入る心構え、雰囲気を作るという副次的効果も
そして、朝の時間帯を利用する方法も、学習効果に大きく寄与していると語る。
「実証研究では、授業が始まる前に、毎朝10~15分のタブレット学習の時間を設け、先生の指導、監督のもとに、全員で学習をしている。ここでは、集中する時間を持つことの重要性を感じた。集中力を持つこと、あるいは集中する習慣を朝の時間帯に持てることは非常にいい」としながら、「やってみてわかったのは、朝の早い時間に、集中力を高めることができる静かな時間を持つと、いいリズムで授業に入れるという点。ややざわざわしそうなクラスになるかなと思っていた教室でも、落ち着いた雰囲気のなかで授業をスタートでき、学校内の風紀の問題、あるいは雰囲気づくりでもプラス効果があったと判断している。これは副産物であるかもしれないが、教育は学力向上だけでなく、子供たちのいる環境を高めていくということも大切。今回の実証研究を通じて、この点を強く感じた」とする。
教室の雰囲気を学習しやすい環境にする点でも効果があったというわけだ。
「こうしたことが、日本全国の学校で行われるようになれば、日本全体の学力向上につながるだろう」と、横尾市長は期待を寄せる。
横尾市長によると、実証研究が行われた多久市は、孔子の里といわれ、1708年に創建された孔子の多久聖廟(孔子廟)がある。子供たちは「論語」を暗唱し、論語かるたを使って、小学校時代に、100の論語の言葉を覚えるという。
朝10~15分の集中時間の活用、そしてかるたを使った学習など、多久市の小学生の学習方法は、ビジネスマンにも応用できそうなヒントになりそうだ。
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