アメリカ地質調査所(United States Geological Survey)は4月10日、多数のスマホ搭載加速度センサーのデータを統合することで、地震早期警報システムとして十分な性能を出せるとの研究結果を発表した。
クラウドソーシングEEW(earthquake early warning:地震早期警報)は、多数のユーザーが持つスマホの加速度センサーを利用し、地震の揺れを通報して集計、各自のスマホの位置、揺れの強さや方向から震源地を割り出し、(時間的に可能であれば)揺れの到達までに各自のスマホに警報を発する。
USGSとカリフォルニア工科大、ヒューストン大、カーネギーメロン大、NASA ジェット推進研究所(JPL)らの共同研究では、東日本大震災の際に得られた揺れや揺れを感知したスマホデータなどを活用し、近い将来起きると考えられているカリフォルニア大地震に適用。人口分布に合わせてスマホを配置したシミュレーション計算を行い、約5000件のデータがあれば十分精度の高い警報を発せられると算出した。
もちろんスマホを持って歩いているときや車を運転しているときなどでは地震と異なる揺れが得られ、またスマホを置いている机が揺れやすいかどうかでも揺れの大きさは大きく変わる。研究では、近い地点にあるスマホで同じ揺れが検出され、机の上などに置かれていて地震微動(P波)と第二波(S波)を捉えたデータのみを有意なデータとして警報のトリガーとする。ノイズとなるスマホデータを除いても、カリフォルニアであれば人口の0.2%からデータを所得できればほぼ誤報なしに警報システムとして実用可能なものになるとしている。また、来るべきカリフォルニア大地震のような大規模地震でなくても、震度3~4程度の地震でも有効だという。
日本では気象庁の緊急地震速報システムが用いられて全国に高感度地震計が設置されて活用されており、米国でもUSGSが観測網の充実を図っているものの、精度を上げるには膨大な地震計配備が必要とされる。個々のスマホから得られるデータは不正確だが、大量のデータを即時に収集・分析すれば有意なものにできるというアプローチも注目したい。
なお、ユーザーのスマホから揺れ情報を収集して震源特定に活かそうという試み自体はさほど目新しいものではない。カリフォルニア大学バークレー校地震研究所が開発したiPhone用アプリ「MyQuake」(2014年1月公開)ではUSGSからの地震速報を見るだけでなく、アプリから揺れデータを収集し、クラウドで共有されたデータから震源や規模を推測できる。