ギークが夢中になるのはレシピをデータとして記録できるから
問題としては、抽出時に結構な力でプランジャーを押さえつけることになるため、薄い陶器製のコーヒーカップなどは、粉砕してしまう可能性があることです。
またフィルターが収まるキャップの直径が7センチほどあるため、これより内径の小さなカップは使えません。付属のファンネルを使う手もありますが、チャンバーを自立させるのが難しく、ちょっと危なっかしいので、私はあまりやりたくないなと思いました。
要するにマグカップを使ってねということです。このあたりは実にアメリカンな仕様です。
しかし、一度やってみると、いわゆるギークと呼ばれている人たちが夢中になるのも、無理はないと思いました。
コーヒー豆の銘柄、ローストや挽き方は当然として、粉の分量、お湯の温度と分量、蒸らし時間、 プランジャーを押し下げるスピードなど、コーヒーの味を左右するパラメーターはいくつもあるわけですが、それらの操作はカンや経験値ではなく、ほとんどがデータとして記録できる。それをレシピとして共有できれば、同じ味が再現できるわけです。
またユーザー発案による「倒立法」なる淹れ方も人気となるなど、エアロプレスをハックするがごとき楽しげなレシピも生まれています。次回はそうした方法を試してみたいと思います。
訂正とお詫び:初出時、キャップの直径に誤りがございましたので、訂正いたしました。(2015年04月08日)
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エアロプレス コーヒーメーカーAEROBIE (エアロビー)
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ