いよいよ電測ツアー開始
キャリアアグリゲーションの仕組みとは
今回のツアーは最大220Mbps対応の新型WiMAX 2+ルーター「Speed Wi-Fi NEXT W01」で、バスで移動しながらリアルタイムの速度測定を行なうというもの。なお、ファームウェアはキャリアアグリゲーションに対応しているものだが、まだ一般ユーザーには配布されていないいわばベータ版のようなもので、実際にユーザーが利用するまでには改良されるとのこと。
そもそも、WiMAX 2+はどのようなキャリアアグリゲーションの仕組みで、下り最大220Mbpsという速度を達成するのか? UQコミュニケーションズは30MHz幅の周波数でWiMAXを提供しており、その後追加で20MHz幅の割当を受け、こちらではWiMAX 2+のサービスを提供している。そこで前者のWiMAXの30MHz幅のうち、20MHz幅をWiMAX 2+に切り替えて、20MHz幅+20MHz幅の組み合わせで倍速化するというものだ。
WiMAX 2+のキャリアアグリゲーションは、プライマリーセルとセカンダリーセルの2波を利用する。前者はデータ通信と制御の両方を行いながら端末とやり取りをする。後者はデータ通信だけだ。プライマリーセルは基地局との位置や通信状況に応じて、セカンダリーセルを利用するかどうかを制御する。
要海氏によると、携帯電話の会社でキャリアアグリゲーションを導入しているところは、たとえば800MHzと2GHzというように周波数帯が分離している(電波の条件が異なる可能性が高い)ので、それぞれが独立で動き、条件のいい時だけキャリアアグリゲーションを行なう。しかしUQコミュニケーションズのシステムは使用している周波数帯が連続しているので、ほとんどのケースでキャリアアグリゲーションが途切れないという。これは広い帯域を持っているUQコミュニケーションズならではのメリットと言える。
実測の数値で下り195Mbpsが出た!
ツアー最初の測定は、まずバスを停止させ、MIMOの効果を活かすために電波が反射しやすい建物の側という条件のよいところで行われた。実際に測ってみると、いきなり195Mbpsを測定。キャリアアグリゲーションの本領発揮といったところだ。
もっとも、バスが走りだすと、さすがに195Mbpsを維持したままとはいかない。電波が反射してMIMOが活きやすい建物の近くだと高速になるが、平屋や2階建て程度の建物が多いところでは100Mbpsほど。バスの速度やバスの周りの建築物、基地局からの距離など、条件によって通信速度はめまぐるしく変わっていたが、それでもキャリアアグリゲーションが有効にならない時間はほとんどなかった。
ちなみに、真岡市におけるWiMAX2+の2波化に関しては大きなトラブルもなく、ユーザーからクレームもなかったというが、それについて要海氏はこんな裏話を聞かせてくれた。「まずWiMAXの回線をしぼって、大丈夫かどうか測定したら、異常にトラフィックが多い。えっ、どうしてこんなことになっているんだ、と大騒ぎして……。それでよく調べてみたら、測定で我々が繋いでいたからだったんです(笑)」
下り最大220Mbpsの通信速度は魅力的
ユーザーが増加しても維持できるかに注目したい
実際に体験してみると、やはり移動中でさえ100Mbpsを記録する時間が多かったというのは魅力に思える。基地局の間でわずかに途切れることがあったとはいえ、ほとんどキャリアアグリゲーションで繋がっていた。
本格的なサービススタートとなる3月末以降、WiMAXユーザーの多い環境で周波数の切り替えをどのようなペースで進められるかが、今後の課題となってくるだろう。ツアー最後の質疑応答において要海氏は、「1年以内に(全国すべての切り替えを)何とかしたいと思ってます。技術の責務だと言われているので、頑張ります」と熱意を語っていた。