購入してしばらくは問題なく使えたが……
小米製品ではもはや定番のダンボールのパッケージを開封し、セットトップボックスだから、ACアダプターとHDMIケーブルを接続するだけで、セットアップは終了だ。
リモコンから電源をオンにするだけで、メニュー画面が立ち上がる。iCNTV(中国互聯網電視平台:中国インターネットテレビプラットフォーム)と表示される。
中国のコンテンツのほか、ハリウッドや日本の映画や韓流映画など、外国のコンテンツも充実している。日本のコンテンツでは有名どころでは「そして父になる」「風立ちぬ」など比較的新しいコンテンツがある。
出荷状態のまま利用すると、普通にこれらのコンテンツが見られ、しかも2~3週間はその状態が続いた。あまりインタラクティブではない教育用アプリを入れることはできる。
しかしある日、突然ユーザーに選択の余地なく、システムのアップデートがはじまる。アップデートされると、コンテンツ一覧こそ表示されるが「iCNTVの認証サーバーに接続できません」というエラーメッセージが表示される。まさに無慈悲に“ただの箱”と化したわけだ。
しかし、中国ユーザーはあきらめない!
実は過去に自腹レビューしたスマートテレビ(関連記事)も、同様の理由と突然のアップデートによりオンラインコンテンツが見られなり、ただのテレビとなってしまった。大枚はたいた製品が、突然政府の強硬手段で使えなくなるというのは中国らしい。
そしてまた、ユーザーたちがネットで情報を交換して、“ただの箱”になんとかして息を吹き込むのが、またなんとも中国らしい。
百度の検索窓に「小米盒子」と入力すると、「小米盒子でソフトを入れる」や「小米盒子でテレビを見る」といった検索候補が表示される。その候補で検索すると、まさに小米盒子でネットテレビを見る方法が書かれたQ&A掲示板「百度知道」にたどり着く。
それによれば、「スマートフォンで、TV OS1.0非搭載のセットトップボックス用の動画アプリをダウンロードし、それをセットトップボックスに転送してセットアップすれば復活する」という。
セットトップボックス用の動画アプリも、検索すれば簡単に見つかる。中国人のヘビーユーザーでなくとも、自作PCからはじめたオールドユーザーなら、この程度のセットアップは朝飯前だ。また「iCNTV」で検索すると、トップには「iCNTVクラック版ダウンロード」のリンクが表示される。
小米盒子のメニュー画面の中で、スマートフォンから転送してアプリをインストールというメニューがあるが、政府の動きを察知して搭載された機能なのかどうかはわからない。新製品である「小米小盒子」は果たして本当に発売されるのだろうか。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)。
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