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YouTube動画広告でスマホアプリを広める「AdWords」活用法

2015年02月09日 15時29分更新

文●池村 修/エキサイト

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 スマートフォンアプリのマーケティングノウハウを紹介する本連載。前回の記事では、グーグルの広告配信プラットフォーム「Google AdWords」によるアプリのインストールを促進する広告の活用方法を解説しました。今回は、AdWordsの動画広告を使ったアプリの宣伝方法を紹介します。

YouTube動画広告の種類と特長

 AdWordsでは、以下の3種類の動画広告をYouTubeに出稿できます。

TrueViewインストリーム動画広告

 YouTubeで動画を再生する前に挿入される動画広告です。広告の再生から5秒が経過すると「広告をスキップ」のボタンが表示されます。

TrueViewインストリーム動画広告 設定画面

 ユーザーが30秒以上視聴するか、もしくは30秒未満の動画では最後まで視聴した場合に課金されます。

TrueViewインディスプレイ動画広告

 YouTubeの検索結果、関連動画、オーバーレイ、パートナーのサイトに表示される広告です。

TrueViewインディスプレイ動画広告 設定画面

 ユーザーが広告をクリックすると動画が再生され、実際に動画が再生されたときにだけ課金されます。リンク先は、YouTubeチャンネルか、動画再生ページに限定されます。この広告はPCにのみ対応しています。

モバイル アプリ宣伝用のインストリーム動画広告

 モバイルアプリのインストール促進に特化した広告フォーマットです。iOS/Androidの「YouTubeモバイルアプリ」内で動画を再生する前に表示されます。

モバイル アプリ宣伝用のインストリーム動画広告 設定画面

 広告の再生中は動画の下にバナー画像が表示され、インストールボタンをタップするとアプリのダウンロードページへ遷移します。ユーザーが30秒以上視聴するか、もしくは30秒未満の動画では最後まで視聴した場合に課金されます。

 YouTube動画広告の設定方法や事例はこちらで確認できます。

広告を配信するユーザーをセグメントする

 第13回で解説したオンラインキャンペーン同様、動画キャンペーンでも広告の配信先のセグメントが可能です。

ユーザー層

 性別、年齢、子供の有無を選択できます。

AdWrodsユーザーセグメント 設定画面

インタレスト

 広告を配信したいカテゴリーを選択できます。

AdWrodsユーザーセグメント 設定画面

 左の一覧から選択し、追加をクリックすることで、右に追加されます。

 オプションで、

  • トピック
  • リマーケティング
  • キーワード
  • プレースメント
を指定できます。

AdWrodsユーザーセグメント 設定画面

ターゲットデバイスとOS

 キャンペーン情報で、広告掲載先のOS(バージョン含む)、端末のモデル、通信キャリアやWi-Fi指定などを細かく設定できます。

AdWrodsユーザーセグメント 設定画面

地域と言語

 キャンペーン情報で設定できます。市区町村まで指定できます。

AdWrodsユーザーセグメント 設定画面

効果的な動画広告のための4つのポイント

 AdWordsを使ってYouTubeに動画広告を出稿するときのポイントを紹介します。

動画の再生開始5秒で勝負が決まる

 インストリーム動画広告は、広告が5秒間再生された後、広告をスキップするか残りの部分を見るかをユーザーが選択できます。

 そのため、最初の5秒間でどれだけ興味を引くかが重要です。5秒間でユーザーに興味を持ってもらうクリエイティブ作りを心がけましょう。

AdWordsアカウントとYouTubeアカウントをリンクしよう

 動画広告向けAdWrodsのアカウントとYouTubeチャンネルをリンクすることで、以下の機能が利用できるようになります。特別な理由がない限り、リンクさせるとよいでしょう。

  • 再生回数
    広告再生完了率を表示できます
  • Call-to-Action(オーバーレイ)の利用
  • リマーケティング
    リンクしたチャンネルでの視聴データからリマーケティングリストを作成し、動画広告を見たユーザーだけに広告を表示できます
  • エンゲージメント
    動画や動画広告の獲得アクション数の統計情報を取得できます

 AdWordsアカウントとYouTubeチャンネルのリンクは、AdWordsの「共有ライブラリ」内の「リンク済みのYouTubeアカウント」から設定します。複数のYouTubeチャンネルとリンクできます。

AdWordsアカウントとYouTubeチャンネルのリンク

PCで動画広告を実施するなら、アノテーションを活用しよう

 広告ではありませんが、YouTubeの動画の上にテキストやリンクを重ねて表示する「アノテーション」機能が便利です。

 設定方法は、YouTubeアカウントにログインし、アノテーションを入れたい動画の編集ページから、「アノテーション」を選択します。この機能は、モバイルやタブレット等のデバイスでは表示されません。設定方法はこちらで確認できます。

 以下の動画は、アノテーションを使用した動画です(PC閲覧推奨)。

YouTubeのアノテーションが使用されている例。サイトへリンクしている

YouTubeのアノテーションが使用されている例。YouTubeチャンネルへリンクしている

スマートフォンでも利用できるCall-to-Action オーバーレイ

 「Call-to-Action オーバーレイ」は、アノテーションに似た小さなリンク領域です。スマートフォンでも表示できるのが特徴ですが、TrueView動画広告向けにAdWordsを利用する場合に作成でき、広告キャンペーンを実行しているときだけ表示されます。クリックや表示回数で料金は発生しないので設定しましょう。

 Call-to-Actionを利用している動画の例

YouTubeのCall-to-Action オーバーレイが使用されている

 Call-to-Action設定画面です。見出しと画像、URLと、設定できる項目はアノテーションに比べてシンプルです。

YouTubeのCall-to-Action設定画面

エキサイトで実施したAdWrodsアプリ広告の失敗事例

 エキサイトで実施したYouTube動画広告のキャンペーン事例を紹介しましょう。前回と同じく、「エキサイトニュース(iOS)」のインストール拡大を目的に、既存の動画の素材を使って動画広告を配信しました。

YouTube動画広告はインストールの拡大には不向き?

 動画はユーザーが興味のあるものしか見ないので、ある程度セグメントをしながら配信します。

  • インタレストマッチ
  • ニュースアプリ内で人気のあるカテゴリーをセグメントしました。

    YouTubeのインタレストマッチ 設定画面

  • キーワードターゲティング
  •  アプリ内で人気の高いカテゴリーでセグメントしました。

    YouTubeのインタレストマッチ 設定画面

     効果の良いインタレストやキーワードに対して、さらにセグメントしていきます。

  • トピックターゲティング
  •  ニュースの中でも経済系かビジネス系か、インターネットの中でもテクノロジー系か不祥事ニュース系か、スマートフォン・タブレットの最新技術情報系か、エンタメの中でもゴシップ系か芸能人情報系か、さらに絞り込んで配信していきます。

 以下は、実施したYouTube動画広告の結果です。動画の視聴率は7%、クリック率は0.1%、コンバージョン率は0.05%という結果で、インストールの拡大という目的に対しては厳しい数字になりました。

 動画のクリエイティブに関しては、25%再生が91%、50%再生が17%、75%再生が10%、100%再生が7%と最初の段階で離脱が多く発生しています。「はじめの5秒で惹きつける」クリエイティブ内容を変更する必要があることがわかりました。

 次回は、ネットワーク広告以外の手法でアプリを広める手法を紹介します。

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