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記者の耳 ちょっとそこらで聞いた話

アップルはInternet of Thingsで最大の試練を迎える

2015年01月18日 07時00分更新

盛田 諒(Ryo Morita)/大江戸スタートアップ

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 「アップルに依存しないビジネスができるのが最大の強みですね」

 ベンチャー企業が集まる「モーニングピッチ」で、とあるインキュベート事業者からそんな声が聞こえた。ベンチャー企業フォトシスが開発する、スマートフォンで解錠できるスマートロック「Akerun」についての話だ。アップルのiTunesのように、スマートロックを自社のプラットホームにできるのが強みだというのである。

 Akerunの強みは、サムターンキーがついたドアに寄生する形でビジネスができること。たとえば賃貸アパートにつければ内見を自動化できる。ホテルの部屋につければチェックインを自動化できる。事務所のドアにつければバイトの入室管理ができる。そこでビジネスの起点になるのはスマホではなく「鍵」そのものだ。

 今年の米家電見本市「2015 International CES」の主要テーマはモノのインターネット(Internet of Things)だった。とはいえスマート家電やスマートカーは数年前からテーマになりつづけているのだが、スマートフォンとつながることでインターネットにつながる小さな製品があふれるように飛び出してきた年だった。

 アプリ、ケース、イヤホン、スピーカー、エトセトラ。今までのスマートフォンビジネスは、基本的にスマートフォンを頂点としたエコシステムの中に成り立っていた。しかしAkerunのようにモノが主役のビジネスになれば事情は180度変わってくる。各事業者が自社のエコシステムを形成していけるのだ。

 モノのインターネット時代、グーグルには人工知能というソフトの武器があるが、アップルのハードだけでは武器としては弱い。事業者が自分たちの開発した「モノ」をアプリ代わりの課金プラットホームにしてしまえば、アップルは手数料を奪えなくなる。腕時計型の「Apple Watch」もiPhoneと本質的には変わらない。

 もちろんすぐにアップルが傾きはじめるわけではないが、アップルは自分たちのビジネスを支えてきたiTunesの仕組みそのものをモノ時代に合わせて変化させる必要がある。ハードとしてのスマートフォンの価格下落が進む中、時間は残されてはいない。アップルは試練のときを迎えている。

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