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日本通信、14年度上期22.4%減益 - 3300万台のiPhoneが今後のターゲット

2014年10月31日 23時00分更新

文● 大河原克行

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MVNOの市場動向と課題

 また、今回の決算発表では、同社の事業戦略や、MVNOの市場動向についても説明した。

 日本通信の三田聖二社長は、「2年前に格安データSIMを投入したが、現時点でもMAVNO市場はわずか1.1%であり、100社以上の企業が、小さな池の中で競争している。社会への影響が何も起こっていない状況でもある。この状況は、MVNO市場を開拓してきた企業としては不満である」とした。

現時点でもMAVNO市場はわずか1.1%

 また「まだ価格弾力性に課題がある。さらにiPhoneは国内3キャリアががっちりとロックしている点も課題。2012年にSIMロック解除のガイドラインが出されたが、現時点では、決して十分には機能していない。こうしたことが解決されなくてはならない。産業を創出し、産業を育て、その結果、エンジョイできるようにしなくてはならない」と語る。

iPhone 6を手にして説明する日本通信の三田聖二社長

 それを補足するように、福田副社長も次のように語る。

 「日本通信は、2011年に980円の格安SIMを発売し、2014年には2980円の格安スマホを提供し、マジョリティ層へのアプローチを開始した。これにより、SIMやMVNOという言葉に対する認知度は高まっている。

 だが、普及率が1%に留まっている理由は、3つの課題があるためだ。ひとつは、通話定額料金の提供の課題。今年7月に3キャリアが2700円の通話定額料金を打ち出したが、この料金ではMVNOには卸されていない。そのため、5000〜6000円の通話利用者の場合は、MVNOよりもキャリアと契約した方が安いという結果になっている。

MVNO市場の課題

 ふたつめはMNPのリアルタイム化の問題。MVNOにMNPで申し込むと、SIMを書き換えてユーザーのもとに送るのに2〜3日間かかる。電話がその間かけられないという大変な問題が起こる。そして、MVNOにはキャリアのように直営ショップがなく、安心で信頼できるサポートが提供できないことが3つ目の課題」とする。

MNPリアルタイム化の実現を目指す

 日本通信では、今年7月にNTTドコモに音声網の相互接続申し入れを行ない、格安通話定額の実現に取り組むほか、同じく今年2月にはNTTドコモに対してHLRおよびHSSの相互接続を申し入れ、MNPリアルタイム化の実現を目指しているという。

日本通信の計画

 また、10月1日からiPhone SIMフリーコールセンターを開設し、iPhoneにおける日本通信のSIMカード利用に対する不安を解決することに取り組んでいるという。「iPhone SIMフリーコールセンターは約1カ月を経過したが、いい反応がある」(福田副社長)としている。

最大ターゲットは約3300万台のiPhone

 日本通信において、今後の最大ターゲットとしているのが、iPhoneユーザーの取り込みだ。

 「これまではアップルストアで販売されている数十万台規模のSIMフリーのiPhone、NTTドコモが販売した約500万台のiPhoneの合計五百数十万台がターゲットだった。だが、来年予定のSIMロック解除により、ソフトバンクモバイルの約2400万台、auの約900万台をあわせた約3300万台のiPhoneが新たなターゲットとなる。6倍以上の市場に対してアプローチできるようになる」(福田副社長)とする。

SIMロック解除の義務化により、何が起こるか

今後の最大ターゲットとしているのが、iPhoneユーザー

 日本通信では、月額3980円の音声付きPlatinum SIMサービスや、月額2980円のデータ通信のみのPlatinum Data SIMサービスを提供。音声通話では、「03スマホ iPhone」版として、03などから始まる固定電話の番号を利用しながらiPhoneから連絡ができ、さらに、固定電話の番号で自分のiPhoneに電話がかかってくる。

iPhoneユーザー取り込みのための準備

 「03スマホによって、固定電話から携帯電話への通話料金が3分の1になること、携帯電話の浸透によって契約数が減少している固定電話の将来性を守れるという点でメリットがある」(日本通信・三田社長)という。

 また11月からは、iPadおよびiPhone 6 Plus向けに、6ヵ月の定額SIMを発売。一定期間分のデータ通信を一括購入できるため、法人が通信契約しやすいというメリットがあるという。

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