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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」第34回

ゆっくりTRPG、東方卓遊戯、卓ゲm@ster、etc...

ニコ動のTRPG動画4万本を大調査! ネットでアナログゲームが復活!?

2014年09月25日 18時00分更新

文● myrmecoleon

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TRPG動画のこれまでまとめ

 最後にTRPG関連動画に付いていたタグを各年ごとにまとめたものを見てみましょう(グラフ3)。

 ここまでに紹介したとおり、2008年から2011年にかけてはアイドルマスター関連の「卓ゲm@ster」が「アイドルマスター」「im@s架空戦記シリーズ」などとともによく投稿されており、関連で「紙芝居クリエーター」のタグも見えます。

 アイマスらしくP名(投稿者名)のタグも多いです。アイマスはP名をタグにつけるのが一般的だったこと、初期はTRPG動画の投稿数が少なかったことなどもあり、「ハワード・P」「権兵衛P」「がんびっとP」「ブリッツP」など代表的な投稿者のP名タグが上がっています(「萌漢P」はスーパーファミコンの「ソード・ワールドSFC」のプレイ動画投稿者)。

 プレイしているゲームシステムは最近も多い国産ファンタジーTRPGの定番「ソード・ワールド」やMMORPGなどを意識した新世代のファンタジーTRPG「アリアンロッド」の他、元祖TRPGの「ダンジョン&ドラゴンズ」が多かったようです。また2009年から2011年は「迷宮キングダム」の動画が多いですが、このゲームはさまざまなゲームデータをウェブページ上で公開しているというネットと親和性の高い特徴があります。

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 2010年から2012年では「東方卓遊戯」の動画が増えてきており、合わせて「ソード・ワールド2.0」の動画が増えています。また前述のとおり2011年からは東方・アイマス以外の二次創作TRPG動画が増加し、グラフ3では「カードファイト!ヴァンガード」のキャラクターによるTRPG動画の「イメージ卓リンク」や、二次創作系のTRPG動画全般に付けられる「二次創作卓リンク」が見えます。

 ゲームシステムでは汎用TRPGシステム「GURPS」や新世紀スタンダードTRPGを目指す「アルシャード」シリーズの「アルシャードガイア」、ウイルスの影響で超人となった少年少女をプレイする現代物の「ダブルクロス」など多様なシステムが見え、特に「ダブルクロス」は現在も投稿の多いゲームシステムの1つです。

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 2012年以降は「ゆっくりTRPG」とともに「クトゥルフ神話TRPG」の動画が増加し、2013年にはそれまでトップだった「ソード・ワールド2.0」の投稿数を抜いています。同じく2013年は「黒子の卓ゲリンク」の動画が増加しました。2014年は今のところおおむね2013年と同じような傾向ですが、ゲームシステムでは艦これ人気もあり圏外で「艦これRPG」がやや注目されています。

今回収集したTRPG関連動画について多かったタグを順に並べたもの。カテゴリタグは緑、二次創作作品に関わるタグは赤、ゲームシステムに関するタグは青、その他のタグは灰色に塗ってある。なおタグの定義範囲の問題があり、TRPGを原作としたコンピューターゲームやボードゲーム、TCGなどTRPG以外の関係のタグも混ざってる点注意

 未だ根強いファンのいるTRPGをニコ動で紹介しようという動きはニコ動初期から「アイドルマスター」「東方」の投稿コミュニティーのなかで育まれ、独特の二次創作的なリプレイ動画の形式が定着しました。やがて「ゆっくり実況プレイ」と「クトゥルフ神話TRPG」の奇跡的な結合から「ゆっくりTRPG」の劇的な人気が起こりTRPG人気が拡大、現在では若い女性の世代でもTRPGへの関心が進んでいるようです。

 暇つぶしツールとしてニコニコ動画などでは長時間楽しめるゲームプレイ動画などが人気ですが、「Novelm@ster」や「東方手書き劇場」のようにストーリーやキャラクターの会話を楽しむ動画も同様に人気があります。ストーリーのある動画を量産するのは容易ではありませんが、TRPGは参加者のやり取りによって自然と物語を創ることができるゲームです。

 実際、ライトノベル作家などになる訓練としてTRPGのプレイを勧める本もいくつかあります。TRPGが1980~1990年代のライトノベルブームの一因となったように、物語を創るツールとしてのTRPGが物語のある動画を求める需要に答えるために使われたことは、当時のTRPGとライトノベルの関係を繰り返しているようで興味深いところです。

 余談ですが、pixivの小説投稿などにもTRPGのリプレイやリプレイ“風”小説などがよく投稿されています。小説投稿機能を使ってシナリオなどを公開している投稿者もいます。実際にどれだけTRPGがプレイされてるかは不明ですが、やはり女性人気の強い作品の二次創作が多いです。小説の題材や練習としてTRPGをプレイすることが広がっているのかもしれません。

 TRPGのルールブックは新作でもない限りそうそう売れるものではないのですが、ゆっくりTRPGブームの渦中にあった「クトゥルフ神話TRPG」はルールブック本体もよく売れているらしく、2012年以降何度か重版しています。

 今回取り上げたようなTRPG動画を見てTRPGを始めた新米プレイヤーもたくさんいることでしょう。「艦これRPG」や「ログ・ホライズンTRPG」のような最近の話題作品のTRPG出版も、こうした機運を受けて出しやすくなった部分がありそうです。

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 TRPGに限らずアナログゲーム全般では「ニコニコ超会議3」内でも併催された「ゲームマーケット」が大変人気があるように、近年注目を集めています。「ニコニコ超会議2」でも行なわれた「人狼」などもネットを経由して国内でメジャーになったアナログゲームの1つかもしれません。

 動画投稿サイトが盛り上がる時代になって、かえって電気も使わないTRPGなどのアナログゲームが盛り上がっている様子は逆説的ですが、TRPG動画の流行などを見ているとネット文化とアナログゲーム文化はむしろ相補的な関係があるのかもしれません。

 ニコニコ動画はネットの世界のサービスですが、そのなかではTRPGのようなアナログの文化も取り込まれ、新しい表現によって新たな価値が与えられていきます。アナログゲームに限らず、こうしたことは起こっており、またこれからも起こるのではないかと思われます。今後も注目していきたいと思います。

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