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myrmecoleonの「グラフで見るニコニコ動画」 第41回

いま投稿が多いのは「艦隊これくしょん」「東方」「刀剣乱舞」

海外からも集まる100万人の「絵師」の遊び場・pixiv

2015年01月29日 18時00分更新

文● myrmecoleon

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 この連載では、独自に収集したデータを使って、みんな知ってるようで知らないニコニコ動画やpixivの現在を紹介していきます。今回は過去にも何度か取り上げたことのあるイラストコミュニケーションサービス「pixiv」をご紹介いたします。連載一覧はこちら

筆者紹介:myrmecoleon

 明治大学米沢嘉博記念図書館スタッフでニコニコ学会β実行委員。趣味で同人誌やニコニコ動画関連の研究をしてる人。記事に使ったデータ元の『ニコニコ統計データハンドブック2014』など同人誌をコミケで頒布。ブロマガでは連載記事の補足も。
 Twitterアカウントは@myrmecoleon。関わった近著に『進化するアカデミア 「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来』(イースト・プレス刊)。右の画像は筆者を擬人化?して描いてもらったキャラ「ありらいおん子」。男の娘。

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100万人以上が参加する日本最大のイラスト投稿サイト「pixiv」

 「pixiv」とはピクシブ株式会社の運営する「イラストコミュニケーションサービス」。

 ニコニコ動画が動画を投稿するように、個人がイラストを投稿し、それにコメントやタグを付け、あるいはイラストで反応するなかで人と人がコミュニケーションをとる場がpixivです。2007年9月にスタート、現在では国内のこうしたサービスでは最大のものとなっています。

 2014年6月から7月にかけて、2014年のコミックマーケット86で頒布した同人誌「コミケ、pixiv、ニコニコ動画 2014」の執筆のため、当時pixivの閲覧可能だったイラストについてメタデータの網羅的収集を行ないました。今回はこのときのデータを使って、pixivの投稿の様子についてご紹介いたします。

イラストは2300万以上、投稿者は110万名以上

 2014年7月時点で、pixivでは2300万件以上の投稿イラストが閲覧できます。サービス開始以来、毎年投稿数が拡大しており、いまでは月に50万件近くのイラストが投稿されています。

 会員登録しているユーザー数は1170万を超えており、そのうちこれまでにイラストを投稿したユーザー数は約110万。月間に投稿しているユーザーは20万名弱、うち新規の投稿者が月2万名近くです。

 上記は約半年前の数字となります。2015年1月現在の会員数は1300万を超えていますし、2500万件以上のイラストがあり、120万名以上の投稿者がいると予想されます

 こうしたネット上でイラストを描いて発表している人々を「絵師」と呼ぶことがありますが、そういう意味では100万人以上の絵師がpixivで活動しているとも言えるでしょう。

 前回紹介した通りニコニコ動画で視聴可能な動画数が約1156万、投稿者数が約86万(2014年11月末現在)となっていますので、投稿作品の性質の違いはあるものの、作品・クリエイターの数でpixivはニコニコ動画以上の規模のサービスとなっていると言えます。

 ちなみにニコニコ動画の姉妹サービスとして同様にイラスト投稿を主とする「ニコニコ静画」がありますが、pixivと同時期に調査したところでは、投稿者の総数は約14万とpixivの1割ほどの規模となっています。

 pixivではイラスト以外に小説の投稿機能もありますが、今回はpixivのイラスト投稿のみをご紹介します。参考までに2014年7月頃のpixivの小説投稿者数は約23万でした。イラスト投稿者と比較すると少ないですが、小説投稿サービスのなかでも有数の規模と言えるでしょう。

 なお、今回ご紹介しているpixivのイラスト投稿のデータだけでなく、ニコニコ静画・pixivの小説投稿のデータについても前述の同人誌で紹介していますのでご関心があればお求めください(入手方法などは最後に)。

2014年6月までのpixivにおいて、一般に閲覧可能なイラストの月別の投稿数を示したもの。削除等については十分管理できていないため注意

同じく2014年6月までのpixivにおいて、一般に閲覧可能なイラストで各月に最も古く投稿しているユーザーIDの数を示したもの

主な投稿者は女子学生。海外からの投稿も多いpixiv

 pixivのイラスト投稿者はニコニコ動画などと比較して性別・年齢などの情報を公開している傾向が高いです。約110万のイラスト投稿者のうち32%が性別と年齢を公開しています

 これらはあくまで自己申告であり、嘘の個人情報も当然含まれますが、割合としてはおそらく大きくないと予想され、30万以上の母数を考慮すれば傾向は分かります。このため下記では公開内容の真偽については考慮していません。ご注意ください。

 以下、pixivのイラスト投稿者がpixiv内で公開していた性別・年齢等の情報をもとに以下で分析していきます。

 まず、性別を公開しているpixivのイラスト投稿者のうち、3分の2近くが女性でした。pixivは女性の多いサービスとなっています

 女性投稿者では20歳をピークに20代前半と10代後半の女性投稿者が多く、男性では23歳をピークに20代前半に次いで20代後半の投稿者が多くなっています。対称的な傾向といえるでしょう(グラフ3)。

 pixivでは職業を公開しているユーザーも多いのですが、年代が若いこともあり、約半数が学生でした。大学生・大学院生や高校生が多く、中学生も1割以上います。「クリエーター系」「アーティスト」などとしているユーザーが6%、事務などの社会人が2割、「その他」も2割弱います。

 居住地を公開しているユーザーに関しては、やや東京都および北海道に集中している傾向はあるものの、国内ではおおむね人口分布に沿っています。

 特徴的なのは海外(pixivでは国ごとの記載はない)を居住地としているユーザーで、pixivでは21.1%のユーザーが海外からイラストを投稿しています。特に新規投稿者に海外からが多く、海外ユーザーの比率は年々増加しています。これはニコ動などと比較しても非常に高いです。

 pixivでは、外国語での投稿も自然と見かけますし、日本人のような画風で説明文の日本語も上手なのに実は外国人、というケースもいまでは珍しくありません。

 このように、pixivの主な投稿者層は、10代後半から20代前半にかけての女子学生です。また海外からの投稿者も2割ほどいると思われます。pixivは国内外の若い女の子たちの遊び場となっているようです

2014年6月までにイラストを投稿していた投稿者のうち性別・年齢を公開している約32万名中の性別・年齢ごとの比率を示したグラフ

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