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最新技術をラインナップ全体に反映、高級ネットワークでさらに高音質化

人気のB&W CMシリーズがS2に進化

2014年09月05日 13時00分更新

文● ASCII.jp編集部

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注目モデルはブックシェルフ最上位のCM6 S2

 ラインアップの中で特徴的なのは、CMシリーズのブックシェルフとしては初めて「ツゥイーターオントップ」、つまりツイーター部分をまげのようにキャビネットから独立させた「CM6 S2」をリリースした点だろう。

ツィーターを上部に独立させることで、バッフル面への反射や後方への音の広がりに差が出てくる。

 CM6 S2は使用するドライバーユニット、キャビネット容積などはほぼCM5 S2と同様。ただし5kHz~20kHzの中域・高域の指向性を計測すると、背後に自然に音が展開するようになっており、より奥行きが深く立体的な音場表現ができるようになる。

ブックシェルフではウーファー。フロア型ではミッドレンジに利用しているFSTの分解図。同じ3WayスピーカーでもCM10だけは800シリーズに近いものとなっている。

 また、ラインアップのうち「CM10 S2」だけはミッドレンジのFSTにフェライトマグネットではなくネオジウムマグネットを使用。またバスケットをネジで止めるのではなく、後ろからバーで引っ張ったフローティング構造としている。さらに、ミッドレンジの能率をツィーター/ウーファーと合わせるために入れている抵抗も通常のセメント抵抗ではなく、長低歪みのメタル抵抗とするなど、CMシリーズではあるが、使用部品は上位のB&W 800シリーズに近い構成となっている。

 音質的にもほかの3Wayモデルと比較して、CM S2シリーズと800シリーズをクロスオーバーするようなワンランク上のクオリティーになる。ちなみにCM8 S2、CM9 S2、CM10 S2に使用されているケブラー配合のペーパーコーンのウーファーの素材などは従来と大きな変更がない。

信じられないぐらい自然、CM6 S2の圧倒的な空間表現力

 今回D&M本社の開発用試聴室で新CMシリーズのサウンドを確かめることができた。もっともわかりやすい比較ということで、旧「CM5」と新「CM5 S2」、そしてCM5 S2とほぼ同程度のサイズでツィーターをキャビネット上方に分離した「CM6 S2」の3機種を聴いた。

ソース機は発表されたばかりのHDーDAC1を使用。マランツのフラッグシップセパレートアンプと組み合わせている。

 まずCM5だが音が整った試聴室でゆとりある性能のアンプで駆動すると、改めてその実力の高さを感じる。空間の広さ、そしてすっきりと明快な分離などを感じ、「音が鳴っている」というよりは「音がそこにある」という言葉がしっくりとくるリアリティーの高さはB&Wならではだ。

CM6 S2を設置しながら、記者たちとコミュニケーションをとる澤田氏。

 これをCM5 S2に変更して聴くと、これでも十分だと思っていたCM5のサウンドの情報量が増し、さらに高次元のサウンドになるという驚きがある。すぐ気付くのは高域の抜けのよさで、いくつかのサンプルのうち、琴ではピンと張った弦の立ち上がりと反響、声楽曲では伴奏のピアノの整ったバランス、そして続く男性ボーカルの声の生々しさがずいぶんと改善され真実味を持ってくる。音像がより明確となり、そして埋もれがちな細かな残響などもきちんと拾うようになってくる。特にボーカルより上の帯域の改善の度合いの高さが印象的だ。

 最後にCM6 S2。デモを担当した澤田氏によると、販売代理店向けの試聴会ではB&Wの担当者から「この違いがわかるか」とディストリビューターの耳を試すような発言もあったそうだ。使用するユニットやキャビネットのサイズなどはほぼ同一。澤田氏も記者たちにも「ブラインドでやったほうがよかったかもしれないですね」と冗談交じりにコメントしたので、内心びくびくしながら音を聴いたが、そんな心配は不要だった。

 CM6 S2の音を聴くと、CM5とCMS S2の改善とは方向性が変わっており、より空間表現の改善を感じさせるものとなった。スピーカーは試聴室の中ほど、後ろの空間をかなり広く取った状態で設置されていたが、遠くにある反対側の壁に迫るぐっと深く、立体的な奥行きを感じる。そして単に空間が広がるだけではなく、高い情報量を維持したまま、音が空間自体になじむのだ。これは特に声楽曲を聴いて感じた。

 こうしたスピーカーの持つポテンシャルを十分に引き出すためには、鳴らす環境自体の整備も必要になってくるのだろうが、新CMシリーズを手にした人々は試行錯誤しながら、その実力の本質に迫っていける権利を得られるとも言えそうだ。これは本当に楽しい体験になりそうだ。

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