ラケットにセンサーを付けて
久しぶりにテニスを再開
しかしながら、テニスに復帰すると言っても、色々準備が必要です。ブランクが数年あると、やっぱり自信がなかなか無いので、ある程度練習してからでなければ、ゲームをしても迷惑をかけてしまうなんて考えてしまいます。実際、ご近所のテニスだと、あまり神経質になる必要はないのですが、部活でやってた口だとつい……。
そこで東京で少し稽古をつけてもらうことにしました。7月の3連休、前回の記事でIngressを試していたときのことです。もちろんテニスコートまで、暑い最中に1時間半ほどHackしながら歩きました。
テニスの練習はわりと好きな方です。準備運動の後、短い距離で打ち合うミニテニスやボレー・ボレーからスタートし、だんだん距離を取って、ベースラインでのラリーへ。こうしてだんだんと肩をならしていき、スマッシュやサーブの練習をして、最後に20~30分ほど試合形式でゲームをして1時間が終わり、というメニューです。
夕立も心配されたので室内コートを予約したこともあり、1時間で2リットルの水を飲み干すほどの消耗……。しかし、今回の練習には強い味方がありました。
「ZEPP Tennis」という、ラケットのグリップエンドに装着するセンサーです。ラケットの動きや振動を検知し、このデータをスマートフォンに転送して、アプリでショットの傾向を見たり、スイングを3Dでビジュアライズすることができます。
3軸ジャイロセンサーと2つの加速度センサーが内蔵された、1辺28mm、厚さ11mmの黄色いセンサーは、秒間1000ものデータを記録してくれます。バッテリーも内蔵しており、2000ショットまで記録可能なのでスタミナは十分です。シリコンゴムのマウントを使って、ラケットにセンサーを固定します。
センサー6g、マウント12gで合計18g。できるだけ軽いラケットを使いたいという人にはちょっと気になる重さかもしれません。筆者の場合、重さよりも、グリップエンドが長く、不安定になる部分が気になりました。サーブを打つとき、普段小指を余らせて握るクセがあり、ちょうど小指1本分がセンサーにかかってしまうのです。
スマホにダウンロードした専用アプリとのペアリングは、Bluetoothで行います。最近Bluetoothで接続する機器が増えてきたため、筆者はiPhoneですが、Bluetoothのオン/オフだけでなく、Bluetooth設定画面へのショートカットが、コントロールセンターに欲しくなってきました。
スイングをスマートフォンで見て、すぐ修正する
ミニテニスとボレー・ボレーを済ませてから、水分補給の際にiPhoneでデータを見てみました。すると、ラケットのどこにボールが当たっているのか、フォアハンド・バックハンドの割合、スピンの割合が円グラフになって表示されました。
ただ単に、ボールが当たった位置や打球の傾向がビジュアライズされるだけかと思われるかもしれませんが、実際に自分がプレーしたデータを瞬時に見ると、こうしたデータが何を意味するのかが体感的に分かるのです。データは語る……。
久しぶりにやったにしては、ラケット中央での打球が57%とまずまず。ラケットの先っぽや手元に当たった打球はそれぞれ5%と3%なので、フットワークでボールとの距離感を調整する必要があるということがわかります。
またラケットの軌道面の上側に11%、下側に24%当たっているというデータがわかりました。基本的にトップスピン(順回転)をかけようとしているスイングなのですが、上側に当たっているのはボールが跳ねてくるときに遅れて振り始めていたため、ボールの上側をラケットの上側で叩いてネット。下側の24%は軌道が先に行っていることを表すので、焦って降り始めが早すぎということなのです。
と、ビジュアライズされた画像1枚で、上の2段落で書いた内容のフィードバックが得られ、対処を考える事ができるのです。これを練習中に見て、すぐに次の玉から修正すれば、正しい感覚を素早く再現できるようになります。これはスゴイ。
また、面白かったのはサーブです。
サーブモードでは、センサーからのデータによって3Dビジュアライズでスイングを表現してくれます。当たった瞬間だけでなく、構えからラケットを担いでボールを打ち、フォロースルーまでの軌跡を表現してくれるのです。図の赤い部分が、ボールに当たった位置です。
この3Dのアニメーションは、360度回転させることができます。そのため、打点の位置も、前後だけでなく左右を見ることができるのです。これも、iPhoneでサーブモードに切り替えて、ただボールを打つだけで記録できます。
(次ページでは、「自分の感覚と実際のプレイを結びつけられる」)
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