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米MS、特許使用料でSamsung提訴 Nokia買収で見解に相違!?

2014年08月04日 18時00分更新

文● 末岡洋子

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 Microsoftが8月1日、米ニューヨーク州南部連邦地方裁判所でSamsungを提訴した。モバイル分野でよくある特許侵害ではなく、2社が合意している特許クロスライセンスの契約に基づくライセンス料支払いを怠ったためという。MicrosoftがSamsungと競合するNokiaのデバイス事業を買収し、既存の合意について見解が一致しなくなったことが契機となっているようだ。

 MicrosoftとSamsungは2011年9月、スマートフォン分野での特許クロスライセンス合意を結んだ。この合意のもとで、Samsungは特許ライセンス料(使用料)を払ってMicrosoftの特許を使用できるというものだが、具体的なライセンス料金などの詳細は公開されていない。

 MicrosoftはSamsung以外にも多くのAndroidメーカーと似たようなライセンス契約を結んでおり、このような合意のもと、Android端末の販売台数に応じて特許ライセンス料を得るモデルを構築している。しかし、法廷に提出した書類でMicrosoftは、Samsungが期限内に特許ライセンス料を支払っておらず、遅延分の利息の支払いも行っていないと主張している。

 Samsungを提訴を発表した公式ブログ(http://blogs.microsoft.com/on-the-issues/2014/08/01/microsofts-samsung-action/)でMicrosoftの法務副顧問兼コーポレートバイスプレジデントのDavid Howard氏は、2013年9月にMicrosoftが発表したNokiaのデバイスとサービス事業部の買収の後、その年末よりSamsungは契約を履行していないと主張している。

 「意見の相違を解決しようと数ヵ月間試みたが、Samsungは複数の文書や話し合いでわれわれの契約の内容に対して土台で合意できない点を明らかにしていた」とHoward氏。一方で、SamsungはNokia買収後もこのクロスライセンス合意が有効かどうかについて合法的に確認していないとも攻撃している。

 スマートフォンの特許に明るいFlorian Mueller氏はFoss Patentsブログ(http://www.fosspatents.com/)にて、SamsungはMicrosoftがNokiaを買収したことで、当初の合意を履行する義務はないと考えているのだろうと分析している。

 MicrosoftがNokia買収発表時に発表した資料によると、買収によってNokiaは60件以上に及ぶ特許ライセンスをMicrosoftに譲渡する形となり、MicrosoftはこれらNokiaのライセンス関係を既存のパートナーと組み合わせることができるなどのことから、「最もコスト効率のよい特許関連の取り決めを得られる」としている。

 この資料では、MicrosoftはSamsungについて、「MicrosoftとSamsungの合意により、追加の支払いなしに、カバーされるデバイスを追加できる」と記している。Mueller氏によると、この結果、MicrosoftがNokiaを買収後、Samsungは継続してAndroid端末の販売に対してMicrosoftにロイヤリティーを支払う一方で、MicrosoftはNokiaデバイスにおけるSamsungの特許についてロイヤリティーを支払わずに済むことになってしまうとしている。

 SamsungはMicrosoftの提訴に対し、「現在レビュー中」とのコメントを主要メディアに出している。SamsungはAndroidスマートフォンのほか、わずかではあるがMicrosoftの「Windows Phone」ベースのスマートフォンも開発している。

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