SSDは通電せずに保存するのが苦手
ちなみに、フラッシュメモリーは書き換え可能な回数が限られているという話が出ることがある。しかし、近年のSSDは書き換え可能な回数が大幅にアップしていることから、ほとんど問題がない。
たとえば、PCからストレージへファイルを上書きしたとき、HDDでは同一のセクターに対してデータを上書きする。対するSSDでは同一セルへの書き換え回数の上限があることから、書き込み命令があった際に空いているセルに書き込み、あたかも上書きしたかのようにOSへ返答する「ウェアレベリング」という技術を用いる。そのため、セルの数が多いほど書き込みが分散され、寿命が飛躍的に伸びる。
それよりも、前述のような電子的なデータ損失のほうが問題だ。一般的に、SSDは再度電源を入れなおせば電子の流出を防いでデータ保持期間が延びるといわれることがある。しかし、実際には再度データを上書きしなければ、セルに通電されずデータが失われてしまう。
一方、HDDは磁気記録となるため、データ保持のための上書きは不要。強い磁界や温度変化の激しい場所といった外部環境に影響されない場所に保管する必要があるものの、自然とデータが蒸発するというリスクはSSDよりも少ないといえる。
とはいえ、通年での保存となれば季節による温度変化は避けられず、HDD内部のメカにダメージをあたえることもある。
内部のドライブが正常動作するかを確かめたり、プラッタ軸周囲のベアリングが固まらないよう通電するといったメンテナンスを行なう場合もある。
重要なデータは複数のHDDや光学メディアなどに分散して保管しておくことを心掛けたい。このあたりは第3回で解説したいと思う。
SSDへの過信は危険! HDDとの併用がオススメ
上記を踏まえて考えてみると、全データをSSDに任せることはせず、HDDとの併用がおすすめのスタイルといえる。
利用頻度の高いファイルをSSDへ、低いものをHDDへと振り分けるのが理想だが、具体的にはOSやプログラムデータはSSDに残し、データなどをHDDに振り分けるといいだろう。
データの中でも、ドキュメントをSSDに残したりといった、自分なりのスタイルもいいかもしれない。最近のノートPCでは、SSDしか搭載しない機種も多いが、そうした場合は外付けのHDDやNASへ定期的にデータをバックアップするのがおすすめだ。
では、どんな製品を選べばいいのかについては、次回以降で詳しく解説したいと思う。
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