安さのポイントは
Windowsのライセンス価格無料化が関係!?
これほど安い理由何かと言えば、Windowsのライセンス価格の無料化が挙げられる。4月にサンフランシスコで開催された「BUILD 2014」では「9インチ未満のタブレットやスマートフォン、IoT(Internet of Things)デバイス向け限定だが、Windowsのライセンス価格を無料にし、Officeも低価格にする」ことが発表されていた。
ただし、上記で紹介した製品を含むいずれの低価格Windows 8.1タブレットにもOfficeはインストールされていない。無料なら正規版をインストールするが、安くても有料なら正規版といえど勘弁ということだろうか。
また「億道数碼」(Emdoor)という深センのメーカーが、前述のAtom Z3735D/Z3735EベースのWin8.1(Android4.2.2も可)タブレットを低価格でOEM供給したことも大きい。IWORK8にしろWinPad A1 Miniにしろ、基本スペックが似ているどころかカメラ位置まで同じである。
億道数碼は9インチ以上のタブレットもOEM供給している。その1つは1280×800ドット表示が可能な10.1インチモデルで、CPUにはAtom Z3740Dを採用し、メモリーは2GB、32GBストレージというスペックだ。
これが七彩虹というPCパーツメーカーからは「Colorfly i106 Q1」という製品として、タブレットメーカー「原道」からは「W11」という製品として、それぞれリリースされている。それぞれ1500元(約2万4000円)程度とプラス1万円強高くなっている。
ただ、OEM供給元は億道数碼しかないかというとそうでもなく、PCメーカーで知られる「神舟」(HASEE)は、億道数碼のラインナップにはないCeleron 1017U(1.6GHz)ベースのWindows 8タブレットを実売価格1500元(約2万4000円)でリリースしている。
また、Windows 8タブレットから新規参入の「偉彦」というメーカーは、Baytrail-Tベースながら億道数碼のSSDを採用したWindows 8タブレットを販売し、タブレットメーカーの台電は億道数碼の製品より薄い7.4mm厚のWindows 8タブレットをリリースしている。値段は前述の競合する製品と肩を並べる。
ハイエンドモデルも3~5万円程度で買える!
今回紹介した中国メーカーのハイエンドモデルは、どんなスペック&価格なのか。
前述の偉彦の「PH-101T」は、1920×1200ドット表示が可能な10.1インチIPS液晶を搭載。CPUにAtom Z3775D(1.5GHz)を採用し、2G RAM、64GBストレージ、W-CDMA対応のSIMカードスロットを搭載して、1799元(約2万9000円)となっている。
偉彦同様、Windowsタブレットを専業とする新興メーカー「楽凡」のハイエンド製品「F2-極速版」は、1920×1080ドット表示が可能な11.6インチIPS液晶を搭載。CPUにCeleron 1037U(1.8GHz)を採用し、4GB RAM、64GBストレージというスペックで2999元(約4万8000円)となっている。日本で売られている製品と比較すると高くはない。
余談だが、インドをはじめとした中国以外のアジア各国で同社製品が販売されているかというと、現状はまだ出ていない。ただし中国に比べればアジア各国でのタブレットニーズは高いので、今後リリースされるのではないかと期待したい。
また、数社が競い合うことで、より製品が安く入手できるようになることも期待しよう。最近では、PM2.5などで人々が中国行きをためらう傾向にあるが、かつて香港にDOS/Vパーツを買いに行ったように、中国に行く際に買いに行くのもいいかもしれない!?
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。書籍では「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)、「日本人が知らない中国インターネット市場[2011.11-2012.10] 現地発ITジャーナリストが報告する5億人市場の真実」(インプレスR&D)を執筆。最新著作は「日本人が知らない中国ネットトレンド2014」(インプレスR&D)。
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