理論値最大1300Mbps! 最速のIEEE 802.11acルーターを選ぶ!!
2014年06月17日 12時00分更新
各機種の通信速度を実測テスト
最後に、1300Mbpsクラスの11ac対応Wi-Fiルーターがどれだけの通信速度を叩き出すかを計測していきたい。
今回注目したいのはインターネット接続時のスループットではなく、家庭内におけるWi-Fiルーターと対応デバイス間の無線通信速度だ。
家庭内では、ほかのPCやHDDレコーダーなどに保存されているハイビジョン動画をWi-Fi経由でノートPC、スマホやタブレットなどで観るような使い方が増えてきている。そのときに安定して重いデータを快適にやりとりできてこそWi-Fiの価値があるというものだ。
ここでは、各Wi-Fiルーターがどれだけの通信速度で無線通信しているかを計測する。通信速度の計測には「LAN Speed Test」を使用した。
LAN Speed Testは、LANのデータ転送速度を計測するツールで、PCのキャッシュや内蔵HDDの影響を排して、LAN上のPC間でやりとりされるデータの純粋な転送速度を計測できる。
もちろん無線LANもサポート。ツール上でサーバー役をするPCと、クライアント役となるPCを指定し、クライアントからサーバーにアクセスしてデータをアップロード(書き込み)/ダウンロード(読み取り)したときの速度を計測する。
サーバー役を有線接続したPCに、クライアント役にWi-Fi接続したノートPCに指定すれば、Wi-Fiルーターを介したときのLAN内でのデータ通信速度が計測できるというわけだ。
今回の計測では、計測する11ac対応Wi-Fiルーターにサーバー役となるデスクトップPC(Windows 8.1 Update 64bit、Core i5-2400S、メモリー8GB)を有線接続し、クライアント役となるノートPC(Windows 8.1 Update 64bit、Core i5-3230M、メモリー8GB)をWi-Fiで接続。
ノートPCには各Wi-Fiルーターのメーカーが提供している11ac対応子機(USB接続)を使用する。いわば純正の親機と子機というわけだ。
11ac対応子機が2種類あれば(詳細は下記のコラム参照)、それぞれで計測する。各Wi-Fiルーターは、通常の利用シーンを考えてインターネット(auひかりマンションタイプVDSL方式)に接続している。
Wi-Fi接続するノートPCを配置する計測場所は、Wi-Fiルーターを設置した部屋の隣室。部屋間の壁は石膏ボードで、木製のドアが閉まっている状態だ。
今回は1300Mbps対応Wi-Fiルーターに対して、866Mbps対応子機と433Mbps対応子機で計測したが、下りはおおむね200Mbps以上の数値が出ていることがわかった。
当然ながら“ギガ超え”といく結果はなかったものの、このスピードでデータ転送できれば、かなり重めのコンテンツでもストレスなく再生したりダウンロードしたりできるだろう。
計測結果の中では、エレコムのWRC-1750GHBKと同社の866Mbps対応子機「WDC-867U3」の組み合わせが下り303.6Mbpsを叩き出し、最も高速となった。
なお、NECアクセステクニカは433Mbps対応子機を製品化していない。そこで同タイプの親機をイータネットコンバーターとして接続し、実験PCと有線接続したうえで速度を計測してみた。結果はやはり下り/上りともにずば抜けた速度となった。
次回は、製品数が爆発的に増えている866Mbps対応Wi-Fiルーターについて製品解説と速度チェックを行なう。
11ac対応子機について思うこと
前述したとおり、11ac対応Wi-Fiルーターは、MIMOのアンテナ本数の違いによって1300Mbps対応、866Mbps対応、433Mbps対応の3クラスの製品が市販されている。
ところが、11ac対応子機の場合、現時点では1300Mbps対応製品が登場していない。866Mbps対応と433Mbps対応の2種類のみが市販されているのだ。
ということは、PC+子機の組み合わせにおいて、実質的には1300Mbps対応Wi-Fiルーターのパフォーマンスを最大限引き出すのは不可能、ということになる。1300Mbps対応Wi-Fiルーターを極限まで活用するには、同タイプのWi-Fiルーターを2台用意し、1台を親機に、2台目をイーサネットコンバーターとして利用することとなる。
また、11ac対応子機は基本的にUSB接続だが、866Mbps対応子機はUSB 3.0に接続して使う。なぜならUSB 2.0のデータ転送速度の上限は480Mbpsだからだ。そこに866Mbps対応子機を接続したとき、実測値としてUSB 2.0のデータ転送速度を超えるスピードは出ないにしても、その上限速度がボトルネックとなる可能性があるからだ。
今回の検証で、この子機の制限を考慮しなくていい結果はNECのAterm WG1800HPだけである。逆に言えば、子機の性能がアップすれば各社Aterm WG1800HP相当のパフォーマンスアップが見込める、ということでもある。
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