グーグルの「自動運転車」(ロボットカー)が実用段階に近づいている。
4月末、同社は「自動運転車による市街地走行が可能になった」と発表。自動運転車はバスや歩行者はもちろん、交通指導員の「止まれ」のサインや、自転車の右折・左折を示すジェスチャーすら見分けられるという。
「自動運転車は、人間のように疲れたり注意力が散漫になったりはしないので、常に周囲に気を配れる」(同社)
「ITとクルマの融合」は近年の大きな流れだ。例えばエヌビディアのプロセッサー「Tegra」は、アウディが自動運転システムの頭脳に採用。今年1月にラスベガスで開催された家電見本市「インターナショナルCES」のステージで、無人走行を披露している。
国内メーカーも自動運転の実現に動いている。トヨタや日産は、すでに自動で車庫入れできる「インテリジェントパーキングアシスト」を実用化。トヨタは昨年、首都高での自動運転のデモを成功させており、日産も2020年までに自動運転を実用化するという。
各社がしのぎを削る中、新たに名乗りを上げたのが、「パソコン売れず崖っぷち」のインテルだ。同社は昨日、自動運転技術などを手がける日本のベンチャー、ゼットエムピーへの出資を発表。インテルの高性能半導体と、ゼットエムピーの自動運転技術を組み合わせるのが狙いと見られる。
インテルはすでにBMWやインフィニティ(日産)向けに車載インフォテインメント(IVI)を提供している。今回の提携は、より自動車産業そのものに近づく決意の表れと理解できる。
政府が2013年に発表した「日本再興戦略」の「戦略市場創造プラン」では、安全運転支援システムと自動走行システムの市場規模は2030年に20兆円まで拡大すると予測。モバイル分野でグーグルにしてやられたインテルが、日本のベンチャーとタッグを組んでグーグルに挑む日が近づいている。