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マンション管理会社向け業務システムの基盤にIBM SoftLayerを選択する理由

ITリテラシーの高くない現場にスマホとクラウドを持ち込む

2014年01月24日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 1月23日、青山TEPIAホールで開催された「アスキークラウド イノベーションコンファレンス」。「IBM SoftLayer」クラウドの導入事例セッションでは、スマートデバイスとクラウドを活用するマンション管理業務アプリケーション「SS Maintenance」の事例が紹介された。

「SS Maintenance」を開発/提供するC-UNIT SQUARE 代表取締役社長 上田健志氏(左)、エフ・アイ・ティー・パシフィック ICT企画室室長 安藤正信氏

マンション管理業務の実態と、ITによる「潜在的市場の開拓」

 マンションの管理業務は、オーナーから物件管理を委託されたマンション管理会社が、各現場業務を清掃業者や点検業者、修繕業者に委託するかたちとなっている。しかしながら現実には、管理会社のスタッフ数と比べて管理戸数が多すぎたり、現場作業の管理が「紙ベース」だったりするために、管理が行き届いていないケースが大半である、とC-UNIT SQUAREの上田氏は指摘する。

マンション管理業務の仕組み

 「実際、マンションの清掃状況を抜き打ちで検査してみたところ、10件中8件が管理業者の定める基準を満たさない『アウト』の状態。さらに清掃業者や清掃スタッフによるばらつきもある。20名の管理会社スタッフで3万戸の管理をするのは無理なのではないか?と考えた」(上田氏)

 マンション管理会社の抱えるこうした課題をITで解決するために、SS Maintenanceが開発された。マンションの清掃、修繕、定期点検といった現場作業の報告を、マンション管理会社側で管理するためのアプリケーションである。

 開発に当たっては、ユーザー(現場作業員)のITリテラシーが必ずしも高くないこと、そして中小企業が多い管理会社の実体を鑑みて、教育コストやシステム導入コストもなるべく削減することが大きなテーマとなった。このテーマを実現するためのキーワードが、「スマートデバイス」「クラウド」だったと上田氏は語る。

 「当社のスタッフがご両親にiPadをプレゼントしたところ、短期間でインターネットや動画再生を習得された。また、注文用紙と注文用タブレットが用意されているお寿司屋さんで、高齢の方でもタブレットを選んで使っている。それらを見て『ユーザーインタフェースさえ良ければ、教育コストもぐっと下がるのではないか』と考えた」(上田氏)

スマートデバイス+クラウドで現場報告、サービス品質を向上

 SS Maintenanceでは、スマートデバイス内蔵のカメラやGPSと、クラウドを活用している。具体的には、スマートデバイスを使って現場作業の報告を行い、管理会社がクラウド経由でそれを確認するというものだ。

現場作業員はスマートデバイスのGPSで現場マンションにチェックインし、内蔵カメラの画像を用いて作業報告を行う。クラウドを通じて管理会社が作業をチェック、作業指導を行うこともできる
作業報告を容易にし、内容のばらつきもなくすために、さまざまなUI上の工夫をしたという。たとえば異常報告は文章記入ではなく「一問一答」形式にしてある

 上田氏は、SS Maintenanceの導入によって、現場清掃作業のクオリティや効率がが大幅にアップするとともに、クラウドに集約された作業報告データは顧客(マンションオーナー)に対するエビデンスにもなると語る。また、現場に足を運ぶ機会の多い現場業者と管理会社とのコミュニケーションも大幅に強化され、顧客サービスの向上につながっていると述べた。

SoftLayerは「参入障壁をぐっと引き下げるプラットフォーム」

 SS Maintenanceをマンション管理会社に提供するうえで、なぜSoftLayerをクラウドプラットフォームに選んだのか。ナビゲーターを務める安藤氏からの問いかけに対し、上田氏は幾つかのポイントを挙げた。

 「標準機能およびオプション機能が豊富であり、顧客要件に合わせて柔軟に利用できること。仮想サーバーだけを取ってみても、共有サーバータイプと専有サーバータイプが選択できる。同様に物理サーバーも、ベアメタルサーバーからカスタマイズ可能なものまである」(上田氏)

 また、B2B領域における“IBMブランド”やSoftLayerクラウドの信頼性も、法人顧客に提案する際の重要な価値になっているという。もちろん、ITスタッフのいない管理会社でもIBM側から最適な提案が受けられること、自動化できない人的作業を含むサービスでも安心して任せられることなど、サービスの実態もB2B向けとして優れていると評した。

 そして上田氏は、SoftLayerを選択した最後のポイントとして「コストパフォーマンスに優れており、新しい価値提案と革新的なクラウドの活用ができること」を挙げた。

 「仮想サーバーと同じように、物理サーバーも月額制で利用することができる。さらに物理サーバーはカスタマイズできるので、従来実装が難しかったアプリケーションも実装が可能になった。(SoftLayerが保有する)データセンター間の通信コストも無料」(上田氏)

 上田氏は、SoftLayerは新しいビジネス領域への「参入障壁をぐっと引き下げるプラットフォーム」であり、今後はさらにアイデアを発展させ、実現していきたいと述べた。たとえばSS MaintenanceとCMSとの連携による「マンションオーナー向けのレポートサイト」、また建設や介護といった、現場作業報告/管理が必要な業界へのビジネス展開といったアイデアがあるという。

上田氏が披露したアイデアの1つ、マンションオーナー向けのレポートサイト。SS Maintenanceの蓄積データとCMSを連携させ、マンションオーナーとの情報共有を図る

 「日本のマンション管理会社が、高いサービス品質を武器に海外進出するケースも出てきている。SS Maintenanceもそれに伴ってうまく海外展開していきたい。多数の国にデータセンターを持つSoftLayerがその基盤となる」(上田氏)

 上田氏と安藤氏は、SS MaintenanceとSoftLayerクラウドを組み合わせて提供することで、マンション管理業界に変革をもたらすと抱負を述べ、講演を締めくくった。

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