2014 International CESにおいて、正直「?」と思われたものがあった。前回紹介した「SmartWear」もそうだが、東芝の発表の中にあった「BORDERLESS BOARD」もその1つだ。
パッと見は、シャープの「フリースタイルAQUOS」のような、無線LANを内蔵した屋内用ポータブルテレビに見えるのだが、どうやらバッテリーは搭載しない様子。そもそも「ディスプレー」という表現なので、テレビでもない――つまり、同社の次世代製品はテレビというカテゴリーから離れていくのか、とも勘ぐってしまう。
そこで、同社のテレビ製品の商品企画を担当する本村裕史氏を直撃した。
CES開幕前のプレスコンファレンスで、同社デジタルプロダクツ&サービス社 社長の徳光重則氏が語った「今年は攻めます」を実践する1つの形がBORDERLESS BOARDとのこと。
本村氏は「テレビを極めていくのは本丸」と強調したうえで、今年はテレビの領域だけにはとどまらない、テレビの概念を超えたような製品を同時に開発していくと説明した。
実際、東芝ブースの中心には、“最強画質の2Kテレビ”こと「REGZA Z8」で導入した、自社開発の直下型バックライトに4K液晶パネルを組み合わせた次世代REGZAが展示してあった。こちらの製品化は近いように思える。
一方でBORDERLESS BOARDは、既存のテレビともタブレットともちょっと異なるような製品だという。「確実に24V型(小型)の液晶テレビの需要はあるが、そのカテゴリーの製品はテレビとしてだけ使うのはもったいない。YouTubeを見れたり、アプリが動いたっていい」という同氏。
BORDERLESS BOARDは、テレビとして使う時間が長いだろうが、それだけではなく、ウェブを見たり、動画を見たり、アプリを動かしたりなどで、ずっとつけっぱなしにして使えるもの――いわば、家庭内インフォメーションディスプレーだという。
バッテリーを内蔵しなかったのは「持ち運ぶという提案を何度かさせていただいているが、実際にユーザーはあまりしない」とのこと。その用途はタブレットがあればいいという判断のようだ。
つまり、東芝の提案は据え置き型のディスプレー(テレビ)を家の中のいろんな場所に設置するということ。そういえば、よくよく東芝ブースを思い出してみると、洗面台に置くような鏡の中にディスプレーを埋め込んだものや、壁の巨大ミラーに複数枚のディスプレーを埋め込んだフレームレス・ディスプレーなどを展示していた。
BORDERLESS BOARDはテレビのような外観をしているが、実際には埋め込み型ディスプレーのジャンルに属する製品のようだ。
ただ、置く場所に応じてテレビとしての機能の“強弱”が必要と本村氏は述べる。リビングに置く鏡はテレビとして使う頻度が高く、キッチンならウェブの料理レシピを見たり、洗面所の鏡なら交通情報や天候などの情報を閲覧する機会が高くなる。そのような、使う場所における最適化も考慮して製品化を進めるようだ。
BORDERLESS BOARDについては「テレビの小型ラインがそういうものに置き換わっていく、とまでは言わないが、そういう製品も登場していく」ということだ。
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